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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

注目される「社内情報連絡」(1)

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 若干古いデータになるが、CIOマガジンがアイ・ティ・アールおよびドイツ証券と毎年行っている「IT投資動向調査2006」(2005年9月実施)の結果に面白い部分があるので分析をしてみたい。

 まず調査内容に「主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化」という項目があるのだが、この中では「情報・ナレッジの共有・再利用環境の整備」が重要度、2008年度の予想実施率の両面で1位、そして「全社的なコンテンツ管理インフラの構築」が同じく両項目で2位となっている。

 ところが次の「アプリケーション注力度指数」という項目では、「EIP(企業情報ポータル)」「文書管理製品」「Webコンテンツ管理製品」といったナレッジマネジメントやコンテンツ管理系のアプリケーション3つを抑えて、「社内情報連絡」が上位なのである。

 そして、これを裏付けるようにこのところ私のところに

通達や連絡・お知らせといった社内での情報連絡が破綻をしかけておりどうにかして欲しい

といった相談をする企業が増えてきている。この相談に

1日に社員が受けるメールの量が膨大になりその処理だけで1日が終わってしまう

必要な情報を探し出すことができずに現場の業務が混乱している

というのを加えた3つの悩みが、最近の大企業に共通の悩みであり、これらを解決することがIT部門の喫緊の課題らしい。

 実際に私が聞いた事例だと、ある銀行では、社内の掲示板システムに1日に流れる通達・連絡の平均件数に1通あたりを読みこみ対応を行うために必要だを思われる所要時間の平均値を掛けたところ1日の業務時間を超えてしまっていたそうである。

 通達・連絡が増えた原因としては、M&Aに代表される合併や規制緩和による商品アイテム数の急な膨張などが考えられるが、多くの企業であまりにも増えた通達・連絡に社員が音を上げているのではないだろうか?

 こうした企業が現在採った施策としては、通達・連絡を伝える手段の見直しを図り、掲示板のポータル化、パーソナライゼーションや新着および更新通知といった機能の提供を行うことが多い。さらにもう一歩踏み込んで、フィードバック機能と称して「受信者側から見た通達の評価」をシステム化する企業も現れている。受信者の意見をフィードバックすることによって不要な通達・連絡の発信を抑制させると共に、読みにくい・わかりにくい内容の改善までを実現するというものである。

 このBlogで何度か紹介した「探す」だけでなく「伝える」という部分についても今、多くの企業で取り組みが始められてきている。

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