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エンタープライズコラボレーションの今と今後を鋭く分析

IBMの提唱するアクティビティ・セントリック・コンピューティング

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 ずいぶんと時間がたってしまったが、先月のLotusphereのレポートの続きとして「アクティビティ・セントリック・コンピューティング」についてコメントを書いておきたいと思う。今週には日本でもIBM Workplace Forumが開催されるので宿題はこの前に終わらせておこう。
 「アクティビティ・セントリック・コンピューティング」については、初日にコンセプトが発表された後にLotusphereの最終日にいくつかのセッションが開催されそこでIBMの考えているコンセプトの一端が「アクティビティ・エクスプローラー」というツールともども紹介された。
 まず、IBMのいうActivityの定義だが、原文をそのまま引用すると

 「An activity represents the relationships that emerge between people,the artifacts they work on, their communication and coordination,and the business process they use to complete their work.」

 ということである。具体的な例としては「商談を進めてクロージングまで持っていく」「RFP(提案依頼書)への回答として提案書のプレゼンを行う」といったものとなるらしい。いままでの言葉でいうと「タスク」が最も近いかもしれないが「アクティビティ」は目的を持っており、「タスク」というよりはもう少し「プロジェクト」に近い概念のようだ。
 IBMではこういった「アクティビティ」の実行の際には、具体的な行動としては「メールを送る」「会議を行う」「資料を編集する」といった個別の作業が発生するとしている。デモでは「アクティビティ・エクスプローラー」を使ってこういった個別の作業をスレッド型に登録し、それぞれにメールやWeb、文書ファイルやIMといったものを関連付けて管理・遂行していく流れが示された。
 アクティビティスレッドではアクティビティを階層型に登録するとともに、関係者や関係の文書、さらには会議やIMなどを情報と一緒に登録することができる。イメージとしては、スレッド構造をもったTodo管理ソフトで、そのTodoの1つ1つにWebサイトや文書へのリンクを貼ったりメールやIMを関連付けてそこから作業を実施するような感じである。従来のToDo管理ソフトとちょっと違うのは関係者といった人の情報まで関連付けられるところだろうか?登録した関係者とそのままIMで会議を行うなどのコラボーレーション面の充実には、さすがグループウェアの老舗の腕の見せ所という印象を受けた。
 IBMでは「アクティビティ・セントリック・コンピューティング」の目指すものは、こういった仕事を遂行するためのオブジェクトならず人間関係やその連絡手段までをツールを使って取りまとめ、ユーザが関係者と情報共有しながら協働で作業に当たることだとしている。
 例えばポータル上では自分の手持ちの「アクティビティ」が一覧で表示される。メールやIMの操作中に該当メッセージをすぐにその「アクティビティ」の所定の場所に保管できるようになるイメージだ。これらは次期Notesであるハノーバーだけでなくオフィス関連製品にも機能搭載され、ブラウザインターフェーズも提供される予定となっている。
 現時点では「アクティビティ・セントリック・コンピューティング」はコンセプトであり実現できていることは少ないが、その最終形はチームコラボレーションを効率化するだけでなく、成功したコラボレーションのパターンを再利用することによるベストプラクティスの共有になるだろう。
 例えば、過去の類似プロジェクトのスケジュールを再利用することでプロジェクト立案の効率化だけでなくプロジェクト運営の品質向上が図れることを考えると、過去の作業分担やコミュニェーションの取り方を踏襲することで、より密度の高い無駄のないコミュニケーションが取れる日が来るかもしれない。

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