Intel Core Ultraプロセッサ展開とCopilot+ PCの見解
CESのタイミングでIntelから製品発表がありました。これらの製品展開から見たCopilot+ PCの展開について考察してみたいと思います。
Intelの発表
CESのタイミングでIntelは主に下記の発表をしました。
今回インテルが発表したのは、新型プロセッサのPanther Lakeです。そして、Intel Core Ultra 200Vシリーズ(Lunar Lake)のvPro対応、Intel Core Ultra 200Uシリーズを追加すると発表しました。Intel Core Ultra 200Uシリーズは低価格モデルで、従来のCeleronやPentiumインテルプロセッサーの後継となるNPU非搭載モデルです。 まず、インテルは今後の展開として、Panther LakeとNova Lakeという開発コードネームのプロセッサを発表しました。Panther Lakeは今回、実際のチップを展示し、各パソコンメーカーからPanther Lakeを使用したパソコンも展示されていました。このPanther Lakeは、Core Ultraシリーズ2の後継となるもので、まずはモバイル版のプロセッサとして2025年後半に登場します。現段階ではSoC(System on a Chip)ではなく、Lunar LakeのようなSoCとは見られていません。
さらに、Nova LakeはCore Ultraシリーズ2のデスクトップ版プロセッサの後継として登場します。今回の発表には含まれていませんでしたが、インテルはすでにロードマップとしての発表を計画しています。これはおそらく2026年の1月頃に発表されると見られています。
現在のIntel Core Ultraプロセッサの展開
現在のインテルCore Ultraプロセッサの展開としては、第一世代のMeteor Lakeと呼ばれるCore Ultraシリーズ1に相当するプロセッサ、そしてLunar Lakeと呼ばれているCore Ultraシリーズ2のUltra 200Vプロセッサ、そしてArrow Lakeと呼ばれているCore Ultra 200Sおよび200H/HXプロセッサがラインナップされています。 今回はArrowアローLakeに追加する形で、Core Ultra 200Uというモバイル向けのプロセッサが登場しています。ただし、これらのラインナップのNPU性能を見ると、Copilot+ PCに必要な40TOPS以上のNPU性能を持つのはLunar LakeのIntel Core Ultra 200Vだけになります。
新たに、Core Ultraと名前が付かないCore 200S、Core 200H、Core 200Uというプロセッサが発表されました。Core 200Sは、デスクトップ向けの主に組み込み用のプロセッサで、開発コードネームはBartlett Lake-Sです。これはNPUを搭載していません。特徴としては、第12世代から第14世代のCoreプロセッサと同じCPUソケットLGA 1700がそのまま使えるという点です。商品名は「Core i7」となります。 そして、Core 200HとCore 200UはRaptor Lake-H Refreshというコードネームで出ています。これはモバイル向けのプロセッサです。NPUは非搭載で、低価格のモバイルプロセッサとなっています。このRaptor Lakeという名前からもわかるように、第14世代のCoreプロセッサであることがわかります。
Intelプロセッサの展開とCopilot+ PCに対する懸念
このようなプロセッサの展開ですので、Copilot+ PCの対応はどうなるのかと懸念していました。というのも、このたくさんのシリーズの中で、Copilot+ PCに対応する40TOPSのNPUの性能を持つプロセッサは、Core Ultra 200Vだけです。当初、Arrow Lakeが出た時に、NPUが40TOPSの性能モデルだと思っていたのですが、NPUに関しては11~13TOPSでした。よって、当時は今後出てくるWindows PCはすべてCopilot+ PCになるはずだと思っていましたが、この状況を見ると、Core Ultra 200V だけが特殊なSoCという扱いになっていて、Copilot+ PCになれるPCも限定的になるのではないかという懸念がありました。したがって、Copilot+ PCの立ち位置が中途半端になるのではないかと心配していました。
各社のモバイルPCの状況
また、パソコン各社のモバイルPCの状況を見てみます。大きく三つの展開に分かれています。新発売のモバイルノートPCはIntel Core Ultra 200Vシリーズが主流です。よって、Copilot+ PCということになります。 そしてもう一つ、バリューモデルで10万円前後のノートパソコンです。これはIntel Core Ultraシリーズ1が使われています。今までの第12世代、第13世代のIntel Core iプロセッサの後継としてのパソコンには、Intel Core Ultraシリーズ1が使われています。また、一部のゲーミングパソコンやモバイルワークステーションについては、Intel Core Ultra 200Hや200HXシリーズが適用されています。
この状況から見ると、パソコン市場としては、Copilot+ PCに集中する傾向があると見ています。Microsoftとしても、Copilot+ PCをブランディングして、パソコンメーカーもCopilot+ PCであることをアピールして発売しているという状況になっています。
一方で、QualcommのSnapdragon Xシリーズを搭載したパソコンも新発売されています。Snapdragonシリーズについては、一部の互換性の懸念があるものの、Surface Pro第11世代をコンシューマ市場向に投入したことで、普及に勢いがついていると思います。実際、プロセッサを気にせずにWindowsマシンとして購入する人が多いです。更に、Snapdragon搭載のパソコンはバッテリーの持ちが非常に良く、電力効率も高いため、互換性以上にメリットが目立っています。一方、Snapdragonを使うことでゲームなどはできませんが、ゲームをする場合は、現行のCore iシリーズのハイパフォーマンスモバイルプロセッサを搭載したノートゲーミングパソコンやデスクトップパソコンを選択することができます。そのため、ノートパソコンでゲームが動かなくても問題がないという意見もあります。
見解
よって、私の見解としては、2025年のパソコン市場では、モバイルパソコンはIntel Core Ultra 200VシリーズのCopilot+ PCが主流になると考えています。そして、ノートパソコンに関しては、ミドルレンジ以上についてはCopilot+ PCになるという傾向があります。ただ、今後の動向としては、Panther LakeとNova LakeのNPU性能によってどのような製品展開になるか、見ていく必要があると思います。
Intel Core Ultraプロセッサ搭載パソコン購入するときの注意
また、実際に購入する際に注意したいのが、メーカーのカタログや店頭の表示に「Core Ultraプロセッサ搭載」と書かれている場合です。これについては注意が必要です。まず、「Core Ultraプロセッサ搭載」といっても「シリーズ1」の可能性があります。これはNPU性能が11TOPSのもので、CopilotプラスPCではありません。 さらに、「Core Ultraプロセッサシリーズ2搭載」と書かれていても、Core Ultra 200Hや200HXの可能性もあります。これについてもCopilot+ PCではありません。特にゲーミングPCやゲーミングノートパソコンについては注意が必要です。そして、デスクトップパソコンで「Core Ultraプロセッサ搭載」となっている場合、ほとんどの場合、Copilot+ PCではありません。これは、Arrow LakeのIntel Core Ultra 200Sを搭載しているからです。ただし、一部のパソコンについてはIntel Core Ultra 200Vを搭載しており、Copilot+ PCである場合があります。
見分け方としては、製品スペックのプロセッサ型番に注意してください。プロセッサの型番の末尾に「V」があったら、Copilot+ PCと見てください。例えば、Intel Core Ultra 7 258VやIntel Core Ultra 5 226Vなどです。末尾に「K」「F」「KF」「TU」「H、HX」または表記がないものに関しては、Copilot+ PCではありませんので注意してください。
各社のプロセッサの状況とCopilotプラスPCについての関係は今後も注目していきたいと思います。