現代は「新しい発見やビジネスチャンスは少ない」のか?
「お父さんの時代と違って、新しく会社作ったり、新しいことを発見するのは難しいんだよ。今わ」
日曜日に娘とカフェに来て勉強や仕事をしていると、となりの席の20代と思われる大人の男性が主張していた。 話している相手は両親と思われる白髪の50歳代ぐらいの夫婦であった。
仕事に集中したかったが、ついつい聞こえてしまう。どうも大学を続ける意味と就職について話しているようだ。
「発明なんて出尽くして応用するぐらいしかないし、、、、宇宙だってお父さんの時代に月着陸したっきりで、新幹線、、、、小説だってストーリーの焼き直しが多いし、音楽なんかあれだけの音符の組合せだから本当に新しい曲なんかでないでしょ」
途中から聞いたので話の脈略がわからないが、なるほど、と思わされる部分もある。
父親と思われる男性が、学生時代は難しくても企業で経験を積んで起業している人も沢山いるから、ちゃんと大学出て働きながら考えればどうかと言ったが。
「ソニーとかホンダのような会社はお父さんの時代に生まれた後、
出てきてないでしょ? 、、、今の時代に会社作るのはリスクが大きすぎるんだよ。そういう会社に入るのも大変だし、入っても直ぐにリストラされちゃうし、、、年金だって納めるばかりでもらえないんだよ」
その後も現状を悲観的にとらえる青年と初老の男性との会話は続けられた。 結局最後まで、大学をやめてパートしながら財テクで大きなお金を得るチャンスを掴みたい青年と、大学をちゃんと出て、企業に入って欲しい父との会話は平行線だった。
<発明や起業のチャンスは増えている>
本当に新しい発見や起業のチャンスは少ないのだろうか? 新しい発見という意味では30年前より日本の特許件数もノーベル賞受賞者も増えている。 日本人というとらえ方をすれば、ビジネス、スポーツなどで成功している人も増えているし、若者が減っていることを考えれば、若者の活躍の場は増えているのではないだろうか?新規上場企業も明らかに30年前より多い。 私たちの頃は規制も多く、財閥系グループと取引しないと成り立たなかったが、今の方があきらかに自由でチャンスが多いと感じる。
<ITサービス、メディア分野は最大のチャンス>
確かに製造業でのチャンスは減ったかもしれない。今、最も大きなチャンスはやはりITとメディア(広告)ではないだろうか。 インターネットを利用して様々な情報、技術を、新しいアイディア、ビジネスモデルで提供することで製造業に比べれば格段に簡単に起業し、大きなチャンスを掴むことが出来る。
また、物理的に物を作らないので環境に対しての悪影響は製造業より少ない。
この若者は特別なのかもしれないが、同様の閉塞感を持っている若者は多いのかもしれない。 ぜひ、ITとメディアの分野で日本発の新しいサービスを提供し、世界へ羽ばたいて欲しい。 そのためにも大学と企業内でしっかりと経験を積んで欲しいものだ。