世界の危機脱出 ー ZenGがけん引するマーケティング5.0
11月11日、語呂のいい日に今年はコロナで運営方法を180度転換、記念すべき『特別座談会ワールドマーケティングサミットをどう読むか』(主催:公益社団法人日本マーケティング協会)が開催されました。
これは、先立つ連続48時間のオンライン版ワールドマーケティングサミットeWMS(e World Marketing Summit 2020)にリアルタイム参加した識者7人が、それぞれの視点を交わし合う場。※WMS1カ月アーカイブ映像は本日開始〜12月14日まで、視聴参加は新規申し込み可。
冒頭では、ワールドマーケティングサミットの発起人、フィリップ・コトラー氏がスピーカー約80名、世界100ヵ国以上配信、視聴者60万人を集めたeWMSの基調講演を一斉視聴(関連記事:【MarkeZine】2020年11月13日)。
この日、マーケティングプロフェッショナル向けのイベント2時間に、350人がオンライン参加という注目度の高さは圧巻です。
現代マーケティングの父、ワールド マーケティング サミット グループ ファウンダー、ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院 教授 フィリップ・コトラー氏
リアル登壇、それぞれの立場から見えるもの
公益社団法人日本マーケティング協会 事務局長/服部 峰郎氏が司会を務めた登壇者の顔ぶれを紹介しましょう。
富士フイルム株式会社 e戦略推進室長/板橋 祐一氏は、2019年のワールドマーケティングサミットのグローバルパートナーとして世界各地を巡業。フロリダ在住のコトラー氏と連絡を取ってきた運営当事者です。
株式会社シナモン 取締役会長兼チーフサステナブルデベロップメントオフィサー、神奈川県顧問 鎌倉市参与/加治 慶光氏は、2019年ワールドマーケティングサミットジャパンにも登壇、現在は地方自治体のスマートシティ化も支援。
慶応義塾大学大学院 経営管理研究科 准教授/山本 晶氏は、口コミやインターネットの対人的影響、余剰資源とシェアリングエコノミーといった消費者行動に注目します。
一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授/鈴木 智子氏は、経営、デザインシンキング、ブランドマネジメントが専門。社員が参画する全員経営を研究しています。eWMSでは同学名誉教授、野中郁次郎氏の講演に喜びもひとしおです。
ネスレ日本株式会社 専務執行役員/石橋 昌文氏は、社会貢献と変革推進を両立するマーケティングの挑戦を率いるCMO。2014年からワールドマーケティングサミットの指揮者、運営者を務めています。
Note プロデューサー/徳力 基彦氏は、コーディネーターのiU情報経営イノベーション専門職大学 教授/江端 浩人氏とともに、ワールドマーケティングサミットジャパン アンバサダーを務めます。世界の変化を、日本から最も間近に見てきた人物たちと言えるでしょう。
『特別座談会ワールドマーケティングサミットをどう読むか』オンライン参加者はなんと350人
求められる愛、人間性という本質
歴史に残るであろうダイナミックな展開をみせる初のeWMS開催。日本の識者の注目点とは。
登壇者からは「環境が変われば変わるほど、同じ本質的な価値が意味を持つ」「株主価値最大化からの脱却、人間らしさ、道徳といった日本のお家芸が求められる」「日本以外らしさを大切にすると世界の描く未来予想図に向かう」といった、日本企業へのエールが飛び交いました。
さらには、「ミレニアル、Z世代と呼ばれる若い世代のエシカル消費がこれからのブランディングの柱になる」「Z世代は日本でも将来の消費をひっぱるジェネレーション」といった未来予想図を描きます。
また世界的にみて社会の断絶やコロナ被害が比較的浅い日本は「デジタル庁の設立により一気に回復の速度が速まる」という楽観視が示されました。
「来年のワールドマーケティングサミットの話もはじまっている」と、次への歩みも確実に始まっています。去る今年3月、コトラー氏と富士フイルムホールディングス代表取締役会長・CEO 古森 重隆氏は共著で『Never Stop - Winning Through Innovation』(2020年3月28日、Kotler Impact Inc. Canada 刊、英語)を上梓。その日本語版も準備が進んでいます。
eWMSには世界約30か国から、実に多様な世界屈指のマーケティングのプロが結集。マーケティング実践者注目の熱量を放つメッセージやプラクティス、さらにはスーパースター研究者による垂涎の学術発表まで、まさに百科事典のように刺激に満ちたコンテンツが満載です。
「ビデオだからこそ、再生して鼓舞されながら、別端末で文献やシラバスを調べてと、学びがどんどん深まる贅沢な視聴ができる」「あの話とこの話がこうつながるのか、と本を読み合わせるように知をつなげられる」と、先行視聴した登壇者の興奮が伝わってきました。
そしていよいよ今日、WMS1カ月アーカイブ映像が開始(〜12月14日まで、視聴参加は新規申し込み可能)。ボーナストラックが加わる約80セッションを日本語で視聴できます。そのほんの一部、7人が熱く紹介した21スピーカーと主なトピックは下記のとおりです。
■幸せ、4.0、5.0その他マーケターへのおすすめ
- ジェニファー・アーカー氏(愛)
- ローラ・ライズ氏(ブランド)
- 野中郁次郎氏(ヒューマナイズ)
- サディア・キブリア氏(ソーシャルプレナーシップ)
- 高岡浩三氏(NRPS)
- ロバート・ウォルコット氏(イノベーション)
- ナンシー・ネムス氏(AI)
- イワン・セティアワン氏(マーケティング5.0)
- ヘルマワン・カルタジャヤ氏(マーケティング5.0)
- ベロニカ・シヴィエロ氏(ソーシャルメディア)
- ジュゼッペ・スティリアーノ氏(リテール4.0)
- マウロ・ポルシニ氏(デザイン)
- ロベルト・クロシ氏(パーパス)
- ラジュ・シソディア氏(コンシャス)
- サンドラ・ヴァンダーメルウェ氏(自己超越)
■基本、高次のマーケティング、サイエンスの視点
- フィリップ・コトラー(ソーシャルマーケティング)
- デービッド・アーカー氏(ブランド)
- ドミニク・ハンセンズ氏(効果測定)
- V.クマー氏(カスタマーエンゲージメント)
- ドミニク・テュルパン氏(DX顧客体験)
- マーク・オリバー・オプレスニク氏(マネジメント)
「マーケティングで世界をより良く」筆者も折に触れて襟を正すコトラー教授の呼びかけ、志です。
世界がパンデミックと戦う今だからこそ、知と情熱を共有し、手を携えていきましょう!
『特別座談会ワールドマーケティングサミットをどう読むか』座談会登壇者
前列 左から、公益社団法人日本マーケティング協会 事務局長/服部 峰郎氏、株式会社シナモン 取締役会長兼チーフサステナブルデベロップメントオフィサー 神奈川県顧問 鎌倉市参与/加治 慶光氏、一橋大学大学院 経営管理研究科 准教授/鈴木 智子氏、慶応義塾大学大学院 経営管理研究科 准教授/山本 晶氏、後段 左から、富士フイルム株式会社 e戦略推進室長/板橋 祐一氏、ネスレ日本株式会社 専務執行役員/石橋 昌文氏、iU情報経営イノベーション専門職大学 教授/江端 浩人氏、Note プロデューサー/徳力 基彦氏