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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

AI時代だからこそ考えたい、「人が育つフィードバック」とは

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AIが学習や仕事を支援する時代になり、「教える」とは何かを改めて考える機会が増えました。私はこれまで、学ぶ立場と教える立場の両方を経験してきました。その経験を振り返ると、1つの問いにたどり着きます。

人は、本当に苦手なことだけを繰り返せば成長するのでしょうか。

新卒でプログラマーとして働いていた頃、私はオンライン処理のプログラミングが得意でした。一方で、バッチ処理には苦手意識がありました。そこで私は、「まず得意なオンライン処理で経験を積み、自信をつけてからバッチ処理にも挑戦したい」と上司に相談しました。

しかし、上司の判断は逆でした。「苦手を克服しなければならない」という考えから、私はバッチ処理だけを担当することになりました。

もちろん、苦手なことに挑戦すること自体は必要です。しかし、私が疑問に感じたのは、改善のための具体的なフィードバックがほとんど得られなかったことでした。

何ができていて、何を改善すればよいのか。それが分からないまま苦手な業務を繰り返しても、成長を実感することはできませんでした。

その後、ある学校でパソコンインストラクターを務めたときにも、同じような経験をしました。新任講師には準備が追いつかないほど多くの授業が割り当てられ、先輩講師からは「できていない点」の指摘が中心でした。

改善点を指摘することは大切です。しかし、「ここはできている」「次はこうしてみよう」という具体的な助言がなければ、自分の現在地も、次の一歩も見えません。単に自信を失うだけです。

結果として私は混乱し、十分に力を発揮できませんでした。何ができているから、わからないからです。

一方で、私がフラワーアレンジメントで出会った先生の指導は、まったく異なるものでした。

先生は、日本フラワーデザイナー協会の理論に基づいて基礎を丁寧に教えてくださいました。しかし、作品づくりになると、「ここからはあなたの感性で生けてみましょう」と、生徒自身の表現を尊重してくださいました。

理論は教える。しかし、作品は先生が作るのではなく、生徒自身が考える。この指導を受けたとき、私は「教育とは教え込むことではなく、自分で考え、挑戦できるよう支援することなのだ」と実感しました。

この経験を振り返る中で、教育学でいう「形成的フィードバック」という考え方を知りました。

形成的フィードバックとは、単に「良い」「悪い」を評価することではありません。学習者が目標に向かって成長できるよう、現在の状況を把握し、「次に何を改善すればよいのか」を具体的に示すための支援です。

形成的フィードバックは、「目標までのギャップを埋めるために、考え方や行動を変えることを意図して与える情報と土屋麻衣子先生は指摘しています。

参考: やる気と行動を促す形成的フィードバック 土屋麻衣子研究室https://www.fit.ac.jp/~tutiya/program.html

教育学では、このような学習を支える働きかけを『形成的フィードバック(formative feedback)』と呼びます。この考え方を知り、私は過去の経験が一本の線でつながったように感じました。

苦手な課題に挑戦することは大切です。しかし、その挑戦を支える形成的フィードバックがなければ、学習者は自分の現在地も、進むべき方向も見失ってしまいます。

一方で、すべてを教え過ぎれば、自ら考え、試行錯誤する機会を失ってしまいます。人材育成に求められるのは、この絶妙なバランスなのではないでしょうか。

さらに、AI時代になり、この問いはますます重要になっています。AIは多くのフィードバックを返してくれます。しかし、人間もAIも、常に正しいフィードバックができるとは限りません。

だからこそ、育成する側には、相手の状況を見極めながら適切なフィードバックを設計する力が求められます。同時に、学ぶ側にも、与えられたフィードバックを鵜呑みにするのではなく、その妥当性を考え、自らの学びへとつなげる姿勢が求められるでしょう。

私は今回の経験を振り返り、人材育成とは次のような営みではないかと考えるようになりました。

人材育成とは、相手の強みを見つけ、それを足場として新たな課題に挑戦できるよう支援すること。学習者が自ら学びを調整できるよう促すことである。

AIが急速に進化する今、私たちは「何を教えるか」だけでなく、「どのように人の成長を支えるか」という人材育成の本質に、改めて向き合う時代を迎えています。

皆さんは、部下や後輩、あるいは子どもたちの強みに目を向け、それを成長の足場として活かせているでしょうか。そして、相手が自ら学びを調整できるようなフィードバックを届けられているでしょうか。

AIは知識や助言を与えてくれます。しかし、人を成長へ導くために必要なのは、一人ひとりの強みを見極め、その人に合ったフィードバックを届けることです。

価値観は様々ですが、AI時代だからこそ、人を育てるとは何か。その原点を、改めて考えてみたいと思います。

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