『Androidがモバイル市場を制する10の理由』 vs. 『BlackBerryが米エンタープライズ市場で快進撃を続けている5つの理由』の両方を読んでみて。
記事の比較は、興味深いことが多いのですが、5日違いでのこの2つの記事は、久々にふーんと頷きます。
・http://www.itmedia.co.jp/anchordesk/articles/1005/14/news011.html
・http://www.eweek.com/c/a/Mobile-and-Wireless/10-Reasons-Why-Android-Will-Dominate-the-Mobile-Market-813700/
・http://japan.zdnet.com/sp/feature/07tenthings/story/0,3800082984,20413531-4,00.htm
・http://blogs.techrepublic.com.com/hiner/?p=4158
前者のAndroidが、モバイル市場全般について10もの項目で理由を伝え、一方、北米のエンタープライズ市場No1であるカナダRIM(リサーチインモーション)社のBlackBerryが5つの項目で快進撃を続ける理由を伝えているわけですが(タイトルそのままですね ^^;)、RIM社側が手を打ったというのは、少しゆがんだ見方かもしれませんが、少なくとも記者の方は、Androidでこんな記事になっているという点を突いて取材したのかなぁと勘ぐりたくなります。
-
さておき、Google/Androidは、「オープンだ」と言いますが、RIM社も「オープンだ」と言っていおり、その違いでいうならば、Nexus Oneの販売をやめたGoogleは、ソフトウェアでの勝負(実際にはソフトウェアの向こうにあるトラフィックや情報なども含む)に専念し、多くの移動機メーカー(ケータイ、タブレットコンピュータ、電子書籍ビューアー端末など)やキャリアと協業するというオープン、一方のRIM社は、エンタープライズアプリケーションとの統合必要なオープンであり、端末BlackBerryおよびサーバ製品であるBES(BlackBerry Enterprise Server http://ap.blackberry.com/jpn/software/server/)を提供し、提供するエリア(国)のキャリアとの協業により商品を供給する点においては、やや狭き道を通っている事になるでしょう。
エンタープライズで戦うためにBlackBerry導入に必要となるBESは、その導入(統合)そのものや、運用(トラブルシューティングなど)の大変さから、SIerや運用管理ツールの導入及びエキスパートの育成が必要となり、また、BESのエキスパートが十分に存在しているわけでもない現状からすると、中堅・中小への導入には、かなりの手間と苦労を要しているはずです。(2年ほど前の情報を中心に書いているので、ここ2年で劇的な変化があったかもしれませんが)
一方で、Andoridは、端末発売当初から暫くは、エンジニアなどのイノベーター市場のみ評価されてきましたが、移動機メーカーが徐々に新機種をAndroidで提供し始めたことで、明らかに次のステージ=コンシューマ市場での最初の勝利へと進んできました。
これは、Apple/iPhone/iPadなどとの市場争いを含むコンシューマ市場を獲るという明確なメッセージが含まれている気がしてなりません。
日本国内でのAppleの販売戦略については、昨今の大手家電量販店でのネット販売終了などを見ても同様に、直販および絞り込まれたチャネルにより、自社が製品らしさを売っていくというちょっと昔のAppleに戻った感じがしてなりません。
そもそも、Appleクローンというか、OSとして供給する気が無いAppleですから、移動機メーカーは、限られたOS・ミドルウェアからの選択肢をチョイスすることになり、Appleを扱えないキャリアとしても、Apple以外でどのようにシェアを取るかだけを考えることになるでしょう。
異論反論はあるかと思いますが、コンシューマ市場のAppleと、エンタープライズ市場のRIMは、とても似ていると思うのです。
それぞれの課題としては、数多くの移動機メーカと戦い続ける必要があること、得意としていない市場でのシェアをどのように伸ばすかということ(Appleならエンタープライズ向け、RIMならコンシューマ向け)などがあるでしょう。
日本国内においては、Appleフリークが、あらゆるAppleのデバイスを購入し、複数のデバイス(iPod・iPhone・iPadの3つを持ち歩く人も増えていくでしょう)を持ち歩き、簡単に使いこなすことで、メーカではなく、ユーザがエクスペリエンスを自分の周囲に伝えるという強力な宣伝パワーを持っており、これをエンタープライズ市場に持ち込むためには、オルタナブロガー坂本史郎さんの「いいじゃんネット」の商品CACHATTOとIBMという最強企業により、エンタープライズiPhone/iPad活用モデルを広めることも可能でしょう。(XperiaなどのAndroidにも対応していますが。)
その次のステップとしては、あらゆるシステム部門がYesと言ってくれるような運用管理ツールの更なる強化がなされることで、巨大企業にも更に受け入れられやすくなることでしょう。
そう、ある意味、オープンというか、外部で勝手にエンタープライズ向けを強化するという、コンシューマ市場で起きていることと似たようなエクスペリエンスを伝える現象が起きるかもしれません。
RIMに関しては、最新版(といっても北米では既に昨年に発売している)BlackBerry Bold9700
を昨日発表していますが、今までのところ、一般の女性が個人用として持っているのか?となると、日本ではほぼゼロではないかと想像できます。 昨日の当方のブログでも取り上げましたが、女性開発陣による商品開発が進められるならば、未来的にYESになるかもしれません。 但し、もっとも難しい条件がRIM社の協力です。 相手はカナダの移動機メーカーであり、北米を中心とする売れている市場を全ての中心に置いており、なかなか日本市場を見てはくれません。(当社での経験上も踏まえ)
よって、短期的には、北米市場でのコンシューマ向け機種の発売およびその成功があって、やっと日本にやってくるということになると思いますが、期待を持ってウォッチしたいと思います。