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CRMシステム作っている会社に勤めるシステムエンジニアの日記帳。

夜明けの段々畑。

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押し入れの中を整理していたら、高校生の頃のいろんな思い出の品が出てきた。「思い出の品」と書けば聞こえがいいが、実際その大半は「ガラクタ」だ。

当時オレは、いわゆる「草の根BBS」を運営していた。インターネットが流行する前の、パソコン通信の時代の話だ。ホストマシンはX68000で、9600bps×1回線、2400bps×1回線の24時間運営だった。当時、アスキーが出版していたパソコン通信専門誌「ネットワーカーマガジン」の取材を受け、2ページぐらいの紹介記事を載せてもらった覚えがある。赤本(大学入試過去問題集)を片手に、ピースしてるアホ面が載った。封印した。今から15年以上も前の話だ。

オレの運営していた草の根BBSのテーマは「音楽」。当時、ちょうどDTM(Desktop Music)が流行始めた頃で、MML(Music Macro Language)を使った打ち込みデータも、パソコン通信では多数公開されていた。MMLとは楽譜を記号+数字で記述する簡易言語で、「ドレミファソラシ」は「CDEFGAB」に対応する。ドイツ音名だな。長さはその後に数値で指定し、例えば「ド」の四分音符なら「C4」、「ソ」の付点八分音符は「G8.」になる。これを、メロディ、伴奏、ベースといった複数のパートで記述していき、同時に鳴らすことで1曲を構成する。

その頃のオレがTM-NETWORKにハマっていて、シンセサイザー使って遊んでいたことは以前のブログに書いた。この頃に作曲した曲とか作詞した歌詞をBBSにアップロードしていたのだが、次第にDTMを趣味とするいろんなユーザが集まってくれるようになった。会員が作った音源データもアップロードされ、地方ローカル局としてはそこそこ盛り上がっていたと思う。

前置きが長くなった。ガラクタの中から出てきた一冊のノート。その中には、当時オレが書き綴った詞が綴じられていた。その中の1ページに目が止まる。「夜明けの段々畑」。元々はウチの草の根BBSにアップロードしてくれた、ある会員が作った自作曲の音源データだった。うっとりとするようなバラード調の曲調が特徴で、「これに歌詞を付けてみたら結構面白いんじゃねーか」と掲示板で盛り上がって、オレが勢いで詞を書いた。オレの会心の作になった。

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『夜明けの段々畑』

なすびの太郎 昨日まで隣にいた友
農協のトラックを 見送る俺たちに
ヤツは微笑みさえ そっと浮かべてた

今日もまた 夜が明けてく
朝露の中 静かな光
切ない気持ちになるのも 静か過ぎる夜のせいさ
今は一人 流されそうな
星座の中に この手を伸ばし……

悲しい気持ち 叩きつける
この腕の熱い拳振り上げて
ああ、オレはきっとアイツのこと
いついつまでも 忘れない

nasubi forever ...

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断っておくが、これはコミックソングではない。たぶん。この詞は、農協に出荷されていった親友のなすびくんを想う、ジャガイモくんの切ない歌だ。当時、X68000には「カラオケPRO68K」という音源データに併せて歌詞を表示出来るフリーソフトウェアがあり、このデータ形式で公開したところ、結構なダウンロード数があったように記憶している。

思えばオレも若かったいつかの時期まで、創作活動でメシ食っていきたいと真剣に思っていた。「ドラゴンゲート」という著名人が講師に名を連ねた通信講座で、作詞家コースを受講したこともあったが、結構早いうちにサービスは終了した。それがなぜか大学生の頃は自衛官になりたいと思い、航空自衛隊の幹部候補生試験→不合格→民間に就職した。カラダは相当鍛えていたが、アタマを鍛えるのを忘れていた。

しかし、若い頃に培った創作経験も、きっと今のオレのどこかに活かされているとオレは信じている。……。カラオケはうまいぜ?

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