【ブックトーク】今年は祖父の軌跡を追いかけてみます。/『祖父たちの零戦』
昨年末に公開された映画版「永遠の0」、公開週から邦画ランキング首位を走っているとのことですが、私も年末に観に行ってきました。さすがに全てのエピソードをまとめるには尺が足りず、大分間引きされていましたが、原作を丁寧に解きほぐしたいい出来だったと思います。既にDVDを買うつもりでいますが、もう一度位はスクリーンで観たいかなとも、零戦のエンジン音とか赤城とか、いろいろと圧巻でした。。
さて、こちらの原作となる『永遠の0』は百田尚樹さんのデビュー作でもあるわけですが、執筆時に一番参考にされたのが神立尚紀さんの『零戦 最後の証言』とのノンフィクションとのこと(続編もあります)。先月、別の視座での『零戦 搭乗員たちが見つめた太平洋戦争』がNHKでも放映されてたのでご存知の方もおられると思いますが、それらのエッセンスが凝縮されているとも言えるのが、こちらの一冊。
『祖父たちの零戦』(神立尚紀/講談社文庫)
主人公は、先の対戦を零戦パイロットとして生き抜いた進藤三郎さんと鈴木實さんのお二人。彼らの、戦前、戦中、戦後と通しての物語を軸にして、大東亜戦争に対する当時の“普通の日本人”の感性が綴られています。ノンフィクションではありますが、目の前の出来事のように映像が浮かぶ、そんな生き生きとした筆致に、背筋が伸びる思いで読了しました。
冷酷な現実と冷徹に向かい合っていた現場の指揮官、そして、それに応えていった先人の方々、特攻の生みの親とも言われる大西瀧治郎中将の想いは奈辺にあったのでしょうか。終戦直後に自裁されていますから、残された言葉から推測するしかありませんが、、
“日本民族がまさに滅びんとするときに、
身をもってこれを防いだ若者たちがいたという事実と、
これをお聞きになって陛下自らのお心で
戦を止めさせられたという歴史の残る限り、
五百年後、千年後の世に、必ずや日本民族は再興するだろう”
このような想いが込められた“戦後”を受け渡された“私たち”は、先人たちに応えるだけのことをできているのだろうか、こんな自問がはてしない螺旋のように繰り返されます、私も“祖父”の足跡を追いかけてみようと、あらためて。
「永遠の0」を観て何かしらを感じるところがあった方は、原作もですが、こちらも是非手に取ってみてほしいと、そんな風に感じる一冊です。
【あわせて読んでみたい、かもな一冊。】
『零戦 最後の証言』(神立尚紀/光人社NF文庫)
『海賊とよばれた男』(百田尚樹/講談社)
『零式戦闘機』(柳田邦男/文春文庫)
『「武士道」解題』(李登輝/小学館文庫)
『日米開戦の真実』(佐藤優/小学館文庫)
【補足】
なお、文庫版の解説は百田さんが書かれていて、なんとも豪華な感じです、、と、よくよく見れば、どちらも「ナオキ」さんなんですね。
ちなみに先日、お世話になっている「東京朝活読書会(エビカツ読書会)」での【テーマ:2014年の目標】の回で紹介しました。今年は私自身の祖父の足跡(大正10年生まれ、従軍経験有)を追ってみたいとの思いから、どこまで追えるかはわかりませんが、先の大戦の話は息子にも伝えていきたいなとも。
ご興味を持たれましたら、是非こちらから覗いてみてください~
>>> エビカツ!~東京朝活読書会の本棚(ブクログ)