PayPalの実店舗への進出
1998年に設立されたオンライン決済サービス会社のPayPalは、eBayでの決済に広く利用され、2002年にeBayに買収された。
アカウントを開く際に、クレジットカードと銀行口座の登録をPayPalに行い、オンラインで実際に決済する場合はPayPalアカウントだけで可能である。クレジットカードの入力を必要とせず、実際のお金の流れは PayPalが中に入って行うので、eBayで未知の人との決済や、無名E-Commerce企業との決済時の不安感を拭う。
現在ではアクティブユーザー1億1,000万人を抱え、まさにEコマースの成長を決済の側面から支えてきたPayPalだが、今度は実店舗での決済に進出している。
全米で2,000店舗以上展開している住宅リフォーム関連材料等の小売チェーンHome Depotは、1秒間で同時20,000トランザクションを処理できるインフラストラクチャーを用意し、PayPalでの決済を可能としている。
あらかじめウェブ上のPayPalアカウントで登録し暗証番号を得ることにより、
- PayPalカードと暗証番号入力による決済
- 電話番号と暗証番号入力による決済
の2種類が可能となる。電話番号と暗証番号入力による決済は、クレジットカードや現金やスマートフォンを全く持ち歩かなくても購入できることが最大の特徴である。
クレジットカードやデビットカードなどの利用によるアカウント盗用の心配もなく、また電子レシートがPayPalアカウントに送付されるのでレシート用紙の節約にもなる。アメリカで広く受け入れられている返品に関しては、PayPalアカウントから電子レシートを印刷して持参することにより可能となる。
財布など何も持ち歩かなくても購入できるのはとても魅力的で、他の小売店などでも展開され始めると、利用者はかなり増えることだろう。ただし、10桁の電話番号と4-8桁の暗証番号を入力する際、レジの近くにいる人が覗き込んで最大18桁の番号を覚えてしまったら悪用される可能性はあり、ハイテク以前のセキュリティが万全とは言えそうにないかもしれないが・・・、入力を見てぱっと18桁を覚えれる人はそうそういないだろう。
一方、前回ご紹介したSquarer同様、スマートフォン接続のカードリーダーとappを提供することにより、個人企業などがクレジットカードでの決済を可能にする"PayPal Here"というサービスの展開も世界で進めている。
現在は、アメリカ、カナダ、ホンコン、オーストラリアでパイロット展開しており、イギリスでも近々に開始される予定である。
ところで、今までPayPalは日本でなかなか浸透しなかったが、先月ソフトバンクとのジョイントベンチャー"PayPal Japan"を発表しており、今後日本でも急速に普及すると思われる。