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携帯デバイスを用いた新しいカード決済

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画期的なクレジットカード決済サービスを提供しているSquareに注目が集まっている。
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2009年にTwitterの共同創業者の一人が立ち上げたSquareは、スマートフォンやiPadにプラグインできる無料のカードリーダー(会社名のとおり正方形)とアプリケーションを導入するだけで容易にクレジットカード決済ができる。
既存のクレジットカード決済代行会社が請求していた複雑な契約、月額費用、初期設定費用などはいっさい必要とせず、かかるコストは唯一下記のトランザクションフィーのみである。
- カードスワイプ型: 2.75%
- キータイプ型: 3.5% + 1回のトランザクションあたり15セント

参考までに、下表はクレジットカード決済代行会社数社の月額費用等。
(表をクリックしていただくと、より鮮明に見えます。)

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手数料自体はSquareは一見高いように見えるが、総合的に見るといかにクレジットカード決済に要する費用を安く抑えることができるかがよくわかる。


このビジネスモデルは、クレジットカードを扱うためのデバイス等を導入することが困難な小企業、高額な月額費用と手数料を好まない企業やユビキタス企業などに多く受け入れられている。 ファーマーズマーケットのような路地での出店でもクレジットカードが使えるようになったのである。
また、決済代金は36時間以内に入金されるので、超早期の資金回収は中小企業にとってとても大きなメリットとなる。
あるピザ配達会社は、配達先にてクレジットカードで支払いを受け入れることが可能になったことにより、Square導入後に売上が35%増加したとのことである。


iPhone、iPad、iPod Touch、Android Phoneで稼働するカードリーダーは今まで100万台以上出荷し、1日の決済総額は400万ドル超、年間ベースで20億ドル以上の決済を扱うまでに成長し、現在では10億ドルの会社価値となっている。
新規マーチャントも月間30,000 ~ 50,000のペースで増えている。


カードリーダーはWeb上で無料でオーダーできるが、Target、Best Buy、Apple Store(一部)、Walmart等計9,000以上の店舗でも9.99ドルで販売されている。ただし、この9.99ドルは後日オンラインで返金される仕組みになっており、あくまで初期費用無料を徹底している。


ところで、クリスマスが近づくこの時期になるとショッピングモールや大型ディスカウントストア入り口などで慈善団体による募金活動が盛んになる。その一つであるSalvation Armyに対して、Squareは通信キャリアのSprintと提携してカードリーダーおよびスマートフォン/ワイヤレスサービスを提供し、クレジットカードでの募金を可能にした。サンフランシスコ、シカゴ、ダラス、ニューヨークの4都市でのスタートだが、来年はさらに増えるであろう。

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さらに、Squareは一般消費者にもSquare Card Caseという画期的なサービスを提供している。
スマートフォンにSquare Card CaseのAppを導入しクレジットカード登録等の設定を行った客が、Squareを扱う店舗に近づくと店舗側のAppに客の情報が自動的に現れ、客は携帯デバイスやクレジットカードを見せなくても名前を言うだけで決済できるというものである。店舗側としても顧客の来店や購入情報を即座に把握でき、そのままロイヤルティプログラムにも利用できるというメリットがある。


最近は、このSquareに代表されるように既存の決済手段に変わる新決済が台頭しつつあり、目が話せない。

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