はじめから海外を見ないと勝てません。
私達は、高度成長を支えた親の世代から引き継げなかった物がいくつかある。市場にあたらしい製品を投入した(もしくは、「投入された」)後の販売拡大力だ。
2月に経済産業省から公開された、「日本の産業を巡る現状と課題」に興味深いデータが記載れていたので、改めて紹介と共に私見を述べたい。出所の【小川紘一「プロダクト・イノベーションからビジネス・イノベーションへ」(IAM Discussion Paper Series #1)JEITA「主要電子機器の世界生産状況」」】によれば、DRAMメモリー、液晶パネル、DVDプレーヤー、リチウムイオン電池、カーナビなどの「日本が得意とした製品」に興味深い市場シェア傾向がある。
どれも、製品の市場投入初期段階では、
「90%から100%近い世界市場シェア」を獲得しているのである。
親の世代は、この世界シェアを死守しながら世界市場の拡大の波に乗り、売上拡大と利益拡大をしてきた。
ところが....現代ではどうか。上記ような素晴らしい製品の世界シェアは、瞬く間に低下してしまっている。市場が2倍に拡大すると日本のシェアが1/2になるという状況である。つまり拡大した市場の
「増加分は後発の海外勢」に取られてしまっているのである。
Geoffrey A. Mooreの「Technology Adoption Life Cycle」のInnovatorsやEarly Adoptersで示される製品投入直後の市場段階では大きな利益を出すことは難しい。Chasmを越え、次の段階であるEarly Majorityで急成長し、Late Majority以降で最大の利益が出る。しかしながら、この時点で前述の日本製品の世界シェアは20%以下に低下してしまっており、
「美味しいところを頂けない」のである。
一概に国策の問題とも言い難いが、お隣韓国では、後発ながら国策でマーケットを取りにくるケースが良くある。韓国は日本と異なり、国内市場が小さいため、はじめから世界を相手にものを考える。日本は国内にそれなりの市場があり、海外に出なくても商売ができてしまう。
この中途半端な国内市場の大きさが、ソフトウェア業界にも影響を与えていると思っている。世界で戦うためには、海外版を作ってから、日本に逆輸入してローカライズするように物作りの順番を変えなければならない。国内から海外の順番では、国際展開のスピードで負けてしまう。特に変化の早いクラウドにのったICT業界は
「順番とスピードが大事」 ですね。