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ヒューマンスキル講師として2児の母として、人が学んだり育ったリすることについて書いていきます。

自分の提案を通すための、ただ1つの条件とは?

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はじめに
 
本ブログでは、某企業の若手社員「私」の"困った""悩んだ"毎日を舞台に、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒン
トをご紹介します。
 
 「私」は入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信もついてきた頃で
すが、先日希望と違う部署に異動になりました。「私」はややヒューマン・スキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。

 「私」を自分に置き換えてもよし。「私」にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思って頂ければ嬉しいです。それでは本編へGO! 

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先日、同じ部署で最も楽しそうに仕事をしている柿山さんから、仕事の「意味づけ」について教わった。そして私は、柿山さんが楽しんで仕事をしている理由が分かった。柿山さんはきっと、いつでも仕事の「意味づけ」をしながら、業務に取り組んでいるのだろう。

ということで、私が今いる部署「お客様総合窓口」と、憧れの「××を企画する部署」との関連を考えて、私なりに「意味づけ」をしてみた。「意味づけ」した中でも、今の部署に人脈がつくりやすい特性があることに気付けたのは大きかった。「お客様総合窓口」は、得た情報を社内のあらゆる部署にフィードバックするので、他部署と関わりやすい。より意識的に関わることで、今後に活かせる人脈づくりができる、と私は考えた。

「意識的にコミュニケーションをとる場といえば、飲み会、でしょ」

私は早速営業1部との懇親会を企画し、上司に提案した。上司は私の提案によい反応は示さなかったけれど、熱意に負け、最後は「やるだけやってみたら」と言ってくれた。私はすぐに部署内に、懇親会の参加者を募るメールを出した。しかし数日経っても返信はほとんどこない。そんな時、柿山さんから「営業2部との懇親会」を企画したメールが出されたのだ。あっという間に参加人数が集まり、柿山さん提案の懇親会は、開催が決定した。

柿山さんのメールは、私が出した内容とほぼ同じ。なぜ私の提案は通らずに、柿山さんの提案は通ったのだろうか。結局、私の提案は流れてしまった。渋々報告する私に対し、上司は質問した。 

上司:ところで今回、あなたの提案が通らなかった理由はなんだったと思う?

私  :営業1部より2部の方が人気あるとか、そういうことですか?

上司:自分にとって良くないことが起こったときに、すぐに自分以外に原因を探すクセはやめなさい。それではこの後の対策を考えられない

私 :・・・では、私の提案内容が悪かったのでしょうか

上司:提案内容は別に悪くなかったよ。柿山さんの提案と大差なかったでしょ?

私 :じゃ、なんでですか?

ちょっとキレ気味な私。上司は「柿山さんとの違いを考えて。この機会に、自分のことをきちんと客観視してみることだ」と言い、仕事に戻るように指示を出した。

仕事に戻っても考え込んでしまって、私はあまり集中できないでいた。そんな私を見て、この部署唯一の同期が「なんかあったの?」とランチに誘ってきた。私は上司から言われたことを説明し、今回の一連の出来事についてどう思っているかを聞いた。 

同期:うーん、正直、提案する時期が早かったように思う

私 :早かった?

同期:うん、「その提案、あなたが言えることではないでしょ」って感じがした

私 :なんで私が言ってはいけないの?

同期:うーん・・・。正直ね、「他にすべきことあるんじゃないの?」って思ったよ 

同期は、少し申し訳なさそうな表情を浮かべてから、改めてまっすぐ私の目を見て言った。 

同期:この間ある人から「信頼蓄積理論」っていうのを、聞いてさ。たぶん今回のことって、この理論が関わってると思う。

「信頼蓄積理論」って、「自分の意見や提案をする前は、受け入れてもらう「土壌」づくりが必要」という考え方のことでね。当たり前のことを当たり前に行うことで、周囲からの「信頼」を貯金できる。貯金が増えると、意見や提案を行える「土壌」ができる。この「土壌」ができてはじめて、周囲への影響力を発揮できる、ということなんだって。

でね、あなたはまだこの「土壌」ができてないのに、影響力を発揮しようとした。だから早いって感じたんだ

私 :つまり当たり前のことが出来てないってこと・・・? 

あまりの言われように、目の前が真っ暗になった。では、今までの2年間はなんだったのか。 

同期:いや、私は同期だから、今まで2年間、あなたが前の部署でがんばったのは分かってるよ。だけど他の人は、ウチの部署に異動してきてからのあなたしか知らないじゃない。ウチの部署での「土壌」ができないうちは、やっぱり意見や提案を通すのは難しいと思うんだよ。

私 :当たり前を積み重ねて「土壌」をつくる・・・。じゃ、当たり前って何なの?

同期:簡単に言うと「約束を守る」ことじゃないかなぁ。「納期」や「品質」というくくりは分かりやすいんだけど、もっと大きく言えば「期待された仕事の役割を果たす」のが「約束を守る」ことだと思うんだよね。3年次には3年次、10年次には10年次にそれぞれ期待された役割があって、いろんなことを会社や周囲と「やります」って約束してるの

私 :約束を守る・・・。例えば?

同期:私達には「お客様対応窓口の3年次社員」としての役割があるから・・・。例えば「全ての顧客対応を単独で適切に行うこと」「後輩に対応のコツを教えられること」「後輩の手本となる言動をとること」とか・・・。うわー、細かく言えばいくらでも出てきそうだね。

この部署に移ってきてからの自分の立ち居振る舞いを考えてみると、まさに赤面ものだった。たぶん表情も暗く、イヤイヤ出社しているのが周囲に伝わっていたはずだ。顧客対応も未だに一人では自信をもってこなせるとはいえない。「土壌」どころか、当たり前ができていない自分を恥じた。せめて学びとろうとする姿勢や素直に頑張る意欲を見せていれば、まだ違っていたはずなのに。

何を積み重ねれば信頼の貯金が増え「土壌」ができるだろう。
自分の仕事の役割をちゃんと考えて、その内容を上司に報告することから始めようと思った。この上司への報告も、当たり前の一つのはずなのだ。 

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■今日の元気ワード:信頼蓄積理論を確実におさえよう■

「信頼蓄積理論」とは、EPホランダーという社会心理学者が提唱している理論です。
当たり前のことを積み重ねることで、「信頼」が「貯金」できる。満期になったら、周囲が自分の意見を聞いてもらえるよ、ということです。当然貯金なので、使うと無くなってしまいます。約束を守らなかったり、嘘付いたりしても、貯金は減っていきます。

信頼は、貯金し続けるないといけないわけですね。

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