オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚でわかるMCPとA2A

»

ChatGPTなどの登場により、AIは私たちの「優秀なアシスタント」として定着しました。しかし、AIの進化はそこで止まりません。現在、AIは単なる「壁打ち相手」から、自律的に業務を遂行する「労働力」へと劇的な進化を遂げようとしています。

その進化の鍵を握る2つの重要なキーワードが、「MCP(Model Context Protocol)」「A2A(Agent-to-Agent)」です。

  • MCPとは: AIが社内のあらゆるデータやシステムと直接繋がるための「世界共通のコンセント」です。
  • A2Aとは: 複数の専門的なAIが「チーム」を組んで、自律的に連携・相談しながら仕事を進める仕組みです。

MCPによって「必要なデータとシステム(道具)」を自在に操れるようになったAIたちが、A2Aによって「組織(チーム)」として働くようになります。これにより、人間が毎回細かい指示を出す単発の作業(点)から、「業務プロセス全体を丸ごとAIチームに任せる(線)」世界へと、ビジネスのあり方が根本から変わります。

スクリーンショット 2026-02-20 5.17.20.png

1. MCP(Model Context Protocol):AIのための「万能コンセント」

これまでの課題:AIは「自社のこと」を知らない

どんなに賢いAIでも、そのままではあなたの会社の社内規程や、昨日更新されたばかりの顧客データベースの中身を知りません。これまでは、AIに自社のデータ(Slack、Notion、社内データベースなど)を読み込ませるために、それぞれのツールごとに専用の「接続システム」をエンジニアが個別に開発する必要がありました。これは非常に手間とコストがかかる作業です。

MCPの本質:「USB」のような世界標準の規格

MCP(Model Context Protocol)は、Anthropic社(Claudeの提供元)などが提唱している「AIと外部ツールを繋ぐための共通規格」です。

パソコンの世界で考えてみてください。昔はマウスやプリンターを繋ぐ端子の形がバラバラでしたが、「USB」という共通規格ができたことで、どんな機器でも簡単に繋がるようになりました。

MCPはまさに「AIにとってのUSB」です。

MCPという規格に対応さえしていれば、AIはSlack、Googleドライブ、社内データベースなどのあらゆるツールに、安全かつスムーズに接続し、情報を引き出したり操作したりできるようになります。

もう一つの重要な側面:社内システムがAIの「頭脳」を手に入れる

MCPの革新性は「AIが社内データを見に行ける」ことだけではありません。逆の視点で見ると、「社内の既存システムが、AIの知的処理能力を簡単に利用できるようになる」ということでもあります。

例えば、これまでの経費精算システムは、人間が入力した数値をルール通りに処理するだけの「記録ツール」でした。しかし、MCPという標準規格を通じてAIと繋がることで、システム自体が「この領収書の項目と申請内容は矛盾していないか?」「過去の傾向と比べて不自然な経費ではないか?」といった、人間の思考に近いチェック(知的処理)を自動で行えるようになります。

つまり、MCPは「AIを自社システムに組み込む」ための強力な架け橋となり、社内のあらゆるシステムにAIという「優秀な頭脳」を付与することを可能にします。

ビジネスへのインパクト

  • 爆発的な開発スピードの向上: 新しいツールや自社データとAIを連携させるコストが激減します。
  • 「本当に使える」社内AIの実現: AIが自社の最新データを直接参照して回答・作業できるようになるため、「一般的な回答しかできないAI」から「自社のコンテキスト(文脈)を理解したAI」へと進化します。
  • 社内業務システムの「知的化」: 既存のシステムがAIの推論・判断能力を取り込み、単なる「作業の道具」から「自律的に考え、提案・処理するシステム」へとアップグレードされます。

2. A2A(Agent-to-Agent):AI同士の「チームプレイ」

これまでの課題:1つのAIでは「複雑な業務」がこなせない

現在のAIの使い方の大半は、「人間が指示(プロンプト)を出し、AIが1つのタスクを返す」という一問一答形式です。しかし、実際のビジネスは「市場調査をし、企画書にまとめ、法的リスクをチェックし、関係者にメールする」といった、複数の専門性が求められる複雑なプロセスの連続です。これを1つのAI(1つの画面)で完璧にこなすのは限界があります。

A2Aの本質:AIによる「会社組織」の構築

A2A(Agent-to-Agent)とは、「AIエージェント同士がコミュニケーションを取り、協働する仕組み」です。

人間が会社組織で働くように、AIの世界でも役割分担が行われます。

例えば、以下のようなAIのチームを作ることができます。

  1. リーダーAI(人間と対話): 「来月の新商品のマーケティングプランを立てて」と人間から指示を受ける。
  2. リサーチ担当AI: リーダーの指示を受け、Webや社内データを検索して競合情報を集める。
  3. クリエイティブ担当AI: リサーチ結果を受け取り、キャッチコピーや企画案を作成する。
  4. 法務・チェック担当AI: 企画案を受け取り、表現に法的・倫理的リスクがないか審査する。

これらが人間の介入なしに、AI同士で相談・修正を繰り返しながら最終的なアウトプットを導き出します。

ビジネスへのインパクト

  • 「点」の効率化から「線(プロセス全体)」の自動化へ: 単純作業の代替だけでなく、特定の業務プロセスそのものを丸ごとAIチームに委譲できるようになります。
  • 専門性の掛け合わせによる高品質化: 1つの万能AIに頼るのではなく、特定のタスクに特化したAIを組み合わせることで、人間チームのような高度な成果物が期待できます。

3. MCP × A2A が生み出す未来のビジネス

この2つは独立した技術ではなく、組み合わさることで真価を発揮します。

  • MCPによって、各AIエージェントは必要な道具(データベースやツール)を自由自在に扱えるようになり、さらにシステム側もAIの思考能力を借りることができるようになります。
  • A2Aによって、それらのAIエージェントやスマート化したシステム同士がチームとして連携します。

【未来の業務イメージ】

あなたが「A社の最新動向を調査して、来週の商談用の提案書ドラフトを作っておいて」と一言指示を出します。

すると、リーダーAIリサーチAIに指示を出し、リサーチAIはMCPを使って社内のSFA(営業支援システム)からA社の過去の取引履歴を引き出し、同時にWebで最新ニュースを検索します。その情報を元に資料作成AIが提案書を作り、チェックAIが確認して、あなたのSlack(これもMCPで接続)に完成品が送られてきます。

同時に、このプロセスの中でSFA自体が「このA社は最近重要度が増している」とAIの判断を元に自律的にフラグを立てる、といったことも起こり得ます。

私たちが今考えるべきこと

ITビジネスパーソンにとって重要なのは、AIの技術的な仕組み(モデルの構造など)を深く知ることではありません。

「AIがあらゆるシステムと繋がり、システム自体も賢くなる(MCP)。そして、それらがチームを組んで自律的に動く(A2A)時代が来る」という前提に立ち、「自社のどの業務プロセスをAIチームに任せられるか?」「そのために、社内のシステムやデータはどうあるべきか?」を企画・設計することです。

AIは「便利な文房具」から「優秀なバーチャル社員のチーム」、そして「業務システムの新しい頭脳」へと進化しています。この変化をいち早くビジネスに組み込める企業が、次の時代をリードしていくことになります。



ITプロフェッショナルとして働く喜びを知り、自信と誇りを持って現場に向き合えるようになること。それが本研修の目的です。

今、「AIをどう使うか」という段階は終わり、「AIと共にどう変わるか」が問われる時代へと、世の中は大きく変わりつつあります。変化はAIだけではありません。ITの潮流もまた、「レガシーIT」から「モダンIT」へと構造的な転換期を迎えています。

営業職であれエンジニア職であれ、新入社員や若手がこの「現実」を知らないまま現場に出ればどうなるでしょうか。お客様との会話は噛み合わず、信頼を得ることは難しいでしょう。その結果、せっかくの才能を持ちながら、仕事への自信を失ってしまうことになりかねません。

そのような不幸なミスマッチを少しでも減らしたい!この研修は、そんな想いから始まりました。

今年で10年目を迎えますが、これまでの経験を土台に、変化の速いIT常識の全体像を、基礎・基本やビジネスとの関連性とともに分かりやすく紐解きます。さらに、ITプロフェッショナルとしてどう役割を果たし、どう学び続けるべきか、AI時代に即した「すぐに使える実践ノウハウ」も解説します。

お客様の言葉が理解できる。社内の議論についていける。そして何より、仕事が楽しくなる。そんな「確かな自信」を、本研修を通じて手にしていただければと願っています。

>> 詳しくはこちら

新入社員のための1日研修 「最新のITトレンド」

ITプロフェッショナルとして抑えておくべき、ITの基礎と基本、最新の常識をビジネスと関連付けて学びます。また、ITに関わる仕事の楽しさ、やり甲斐を知り、AI前提の時代に、自分のキャリアをどのように伸ばせばいいのかを考えます。

新入社員のための1日研修 「IT営業のプロセスと実践スキル」

IT営業の役割や仕事の進め方を学び、磨くべきスキルを考えます。また、AIを武器に、先輩にも負けない営業力を磨く方法についても解説します。

>> 詳しくはこちら
Comment(0)