オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚でわかるAIと機械学習の関係

»

MND.png

AIは「人間が行う知的作業を工学的に実現する技術」です。そしてこれは 「コンピュータ科学」の一研究領域です。


そんなAIは、1950年代から半世紀以上にわたり研究が続けられてきました。この間、迷路やパズル、チェスや将棋といったゲームをうまく解くこと(探索と推論)から始まり、人間が持つ知識を辞書やルールとして登録し、専門家のような回答をさせる方法(ルールベースとエキスパートシステム)が登場します。しかし、人間が、世の中の全てを辞書やルールとして登録することはできません。また、人間が日常的に遭遇する「矛盾するルール」 が与えられると処理できなくなることも明らかとなりました。そのため限られた分野では成果を上げましたが、広く応用が利く「人間の"知能"」にはほど遠いものでした。


その後、データから規則や法則、特徴を見つけ出す手法「機械学習」が登場します。そんな「機械学習」のアイデアは昔からありましたが、コンピュータ性能が不十分で成果を得られませんでした。しかし、コンピュータ性能の向上と新たな手法の開発により、この状況は大きく変わりました。また、1990年代に登場し、2000年代に入り広く普及したインターネットにより大量の学習データを低コストで集められるようになったことも、この研究を加速しました。


さらに人間の脳が、どのように知的処理を行っているかの仕組みの解明が進み、これを参考に「ニューラル・ネットワーク(脳神経回路) 」と呼ばれる機械学習の一方式も大きく発展しました。
「機械学習」は、データ群から「着目すべき特徴の選定とその組合せ(特徴量)」、つまりどの特徴に着目して分類や区別をおこなえばいいかをあらかじめ決め、それに基づいて適切な規則や法則を見つけようという手法でした。しかし、特徴量は人間が設計・登録しなければならず、その巧拙が結果を大きく左右します。

この状況を大きく変えたのが、「ディープラーニング(深層学習)」です。この手法は、特徴量の選定や組合せを人間ではなく、データから自動生成するものです。人間の能力に依存せず、人間には気付くことができなかったより適切な特徴量を見つけ出すことができるようになり、精度が大幅に向上しました。


この技術の源流は、AI研究の早い段階から関心を持たれていた「ニューラル・ネットワーク 」です。しかし、かつては、コンピュータ性能が貧弱で、インターネットもない時代でもあり、容易にデータを集めることができず、なかなか成果を出すことができませんでした。


この状況が改善されつつあった2006年、いまのディープラーニングに直接つながる研究成果が、トロント大学に籍を置くGeoffrey Hinton(ジェフリー・ヒントン)教授らにより発表されました。2012年、ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)と呼ばれる画像認識コンペティションにおいて、ヒントン教授のチームによる、この技術を使ったソフトウェアが、画像認識率で他を圧倒する成績をあげたことにより、広く注目されるようになりました。


この技術は、元々は高速学習のアルゴリズムとして開発され、音声認識の劇的な性能の向上をもたらしました。その後、画像認識にも使われ、上記のような成果をもたらしたのです。その後、応用範囲が広がり、自然言語理解でも使われ、人間の能力を凌駕する性能を発揮するようになりました。 また、文章や画像、動画などのコンテンツを創り出す生成AIを支える技術ともなっています。


ディープラーニングが登場したことで、様々な業務への適用が広がっています。また、この技術を使った生成AIは、AIの用途を、情報の分類や可視化、認識や予測といった「情報の整理」から「新しいコンテンツを創り出す」ことへと、その利用範囲を急速に拡大させています。


このように進化を遂げるディープラーニングですが、登場して十数年に過ぎず、未だ多くの課題も抱えています。例えば、ディープラーニングは、どうやって答えを出したかをうまく説明できないという弱点があり、それでは用途によっては使えません。また、精度や性能を上げるには、膨大な量のデータ、かつ莫大なコンピュータ資源を用意して計算する必要もあります。そこで消費される電力のために、大量のCO2を排出して発電しなければならず、環境負荷の増大が懸念されています。


これら課題を解決すべく様々な取り組みがなされています。また、ディープラーニングに代わる新しい方法についての研究も行われています。

新入社員のための「1日研修/1万円」

今年で8年目を迎える恒例の"新入社員のための「1日研修/1万円」"の募集を始めました。

Tr.jpg

社会人として必要なITの常識を学び、ITに関わることのやり甲斐を考える

ChatGPTや生成AIの登場でビジネスの前提が大きく変わってしまいました。DXもまた再定義を余儀なくされています。アジャイル開発はもはや前提となりました。しかし、ChatGPTに代表される生成AIが何か、何ができるのかも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜアジャイル開発なのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、自信を無くしてしまいます。

そんな彼らに、いまのITの常識をわかりやすく、体系的に解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと企画しました。

お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。

【前提知識は不要】

ITについての前提知識は不要です。ITベンダー/SI事業者であるかどうかにかかわらず、ユーザー企業の皆様にもご参加頂けます。

SS.jpg

これからの営業の役割や仕事の進め方を学び、磨くべきスキルを考える

ChatGPTの登場により、ビジネス環境が大きく変わってしまいました。もはや、お客様からの要望や期待に応えて、迅速に対応するだけでは、営業は務まりません。お客様の良き相談相手、あるいは教師となって、お客様の要望や期待を引き出すことが、これからの営業には求められています。

AIやテクノロジーに任せるべきことはしっかりと任せ、人間の営業として何をすべきか、そのためにいかなる知識やスキルを身につけるべきなのか。そんな、これからの営業の基本を学びます。また、営業という仕事のやり甲斐や醍醐味についても、考えてもらえる機会を提供致します。

Comment(0)