【図解】コレ1枚でわかるSI事業者やITベンダーのこれからの戦略
SI事業者やITベンダーはどのように事業を作り変えればいいのか
ユーザー企業は、AI搭載アプリ/ツールを普及させ、エンドユーザー自身で自分に必要なITサービスを作れるようになります。また、内製の範囲は拡大し、自分たちの業務で使えるマイクロサービスの整備や充実、さらには、それを使えるシステム環境の整備をクラウド前提で進めていくことになるでしょう。このようになれば、「ITシステムを外注する」という必要はなくなります。
一方で、上記のようなユーザーの取り組みを支援する需要は、増大します。ここにITベンダーやSI事業者は、ビジネスのチャンスを見出すことができるはずです。具体的には、以下の3つです。
- ユーザー企業のデジタル戦略の策定や業務変革の支援。システムを作る工数ではなく、デジタルを前提にお客様の事業を作り変えるための知恵や方向を示すことであり、その技術的な裏付けを提供すること
- 自らが、デジタル・サービスの事業者となり、新たな収益源を生みだすこと。これまでの経験値を踏まえて、得意分野を切り出し、そこに特化したオリジナリティのある・サービスを顧客に提供すること
- お客様のAI活用や内製化を支援するためのデジタル・サービスの実装やツールの導入、環境の整備など
これらは、「工数で稼ぐ」ビジネスではありません。「技術力で稼ぐ」ビジネスです。つまり、ひとり一人の商品価値を高めて、これを高く買って頂けるようにしなくてはなりません。これは、多くのITベンダーやSI事業者にとっては、根本的なビジネスの土台を作り変えることになりますから、相応の覚悟と努力が必要になります。
SI事業者やITベンダーが直面する課題
「ITシステムが必要なわけじゃない、欲しいのは、ITサービスだ。ITベンダーに頼まなくてもそれができるのなら、そのほうがいい。」
「ITシステムは作ったら何年も同じものを使い続けなくちゃいけない。メンテナンスの手間もかけなくちゃいけない。でも、簡単に作れるのなら、必要な時に作り、いらなくなったら捨てて、新しく作り変えればいい。」
専門家でなければできなかったことを、AIが代わりにやってくれます。コストが安いだけではありません。ユーザーのやりたいことを先読みして提案してくれます。効率やセキュリティー、コンプライアンスや法律・規制についても確認し、必要な要件を満たしてくれます。そのための打ち合わせや手続きや見積もりをとる必要もありません。しかも、こうじゃないか、ああじゃないかと、きめ細かく世話を焼いてくれます。そんなパートーナーがいつもそばに寄り添って、仕事を手伝ってくれます。
自分の実現したい目的の達成や課題の解決を、外部の人に頼ることなく、自分でできるのなら、それが一番いいわけです。しかし、これまでは、「ITの専門知識やスキルを持つ人たちに頼らなければできない」という壁が立ち塞がっていました。だから、ITベンダーやSI事業者には、存在意義があり、彼らに対して、適正な対価を支払うことには、合理性があったのです。
この前提が、AIによって取り払われてしまいました(正しくは、取り払われようとしています)。これまでと同じ理屈で、ビジネス合理性を見出すことは、できなくなりました。
「ITシステムを作る」ための自動装置の歯車という役割から脱しなくてはなりません。「ITシステム」を作らなくてはならないという、誰もが当然のこととして受け止めていたITベンダーやSI事業者の事業の前提も、もはや意味がなくなってしまいました。
これからの戦略を考える
これからの戦略の要点を整理すれば、次の3点です。
- ユーザー企業のデジタル戦略の策定や業務変革を支援する
- 自分たちがデジタル・サービスの事業者となり新たな収益源を生みだす
- 圧倒的な技術力でユーザー企業の内製化を支援する
これは、工数提供で収益を上げていたITベンダーやSI事業者にとっては、会社を作り直すほどの大変革です。しかし、この現実に向きあうしか生き残る術はありません。
確かに、古き良き時代の常識から抜け出せないユーザー企業も多いと思いますし、彼らがそう簡単に、いままでのITとの係わり方を放棄して、新しいやり方に移行できるとも思えません。それであるならば、これまでのやり方をそのままにITベンダーやSI事業者は、事業を続けていくこともできます。そして、緩やかに、静かに終焉を迎えることができるでしょう。それもまた、ひとつの選択肢です。
しかし、生き残り、これからも成長したいという選択をしたいのなら、お客様のDXや事業変革を叫ぶ前に、自分たちの足下に火がついていることに気づき、これを解決するために必死に取り組むべきです。その経験と実績に裏打ちされたノウハウこそが、これからの自分たちの売り物になるのだと思います。
AIの進化はまだ過渡期であり、このシナリオが直ちに実現されることはありません。ただ、急激な技術発展やサービスの充実を考えれば、遠い将来の話しでないことは、言うまでもありません。過去の常識にとらわれ、直ぐには変わらない、変わって欲しくないと内心思っている人たちにとっては、その期待を裏切ることになるでしょう。
「ビジネスの前提が変わることに適応するために、会社を作り変えること」が、SI事業者やITベンダーのDXの実践です。お客様のDXを叫ぶ前に、そんな自分たちのDXに向き合い、その体験から学んだ知恵やノウハウ、すなわち、これから求められる圧倒的技術力を、商品に育ててゆくことが大切です。
【募集開始】次期・ITソリューション塾・第46期(2024年5月15日[水]開講)
ChatGPTをはじめとした生成AIの登場から、わずか1年半で、IT界隈の常識が一気に変わってしまいました。インターネットやスマートフォンの登場により、私たちの日常が大きく変わってしまったことに匹敵する、大きな変化です。いま社会は大きな転換点を迎えています。
システムの開発や運用、さらには様々なシスカテム案件が、「AI前提」となりつつあります。これに対処できるかどうかが、企業や個人を問わず、格差につながっていくことは、紛れもない現実です。ITベンダー/SI事業者の皆さんにとっては、これまでのビジネスの前提が失われ、既存の延長線上で事業を継続することは、難しくなるでしょう。また、ユーザー企業の皆さんにとっては、内製化を加速させるチャンスが到来したとも言えるでしょう。
ITに関わる仕事をしている人たちは、この変化の背景にあるテクノロジーの進化を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
詳しくはこちらをご覧下さい。
- 期間:2024年5月15日(水)〜最終回7月24日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
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新入社員のための「1日研修/1万円」
今年で8年目を迎える恒例の"新入社員のための「1日研修/1万円」"の募集を始めました。
社会人として必要なITの常識を学び、ITに関わることのやり甲斐を考える
ChatGPTや生成AIの登場でビジネスの前提が大きく変わってしまいました。DXもまた再定義を余儀なくされています。アジャイル開発はもはや前提となりました。しかし、ChatGPTに代表される生成AIが何か、何ができるのかも知らず、DXとデジタル化を区別できず、なぜアジャイル開発なのかがわからないままに、現場に放り出されてしまえば、自信を無くしてしまいます。
そんな彼らに、いまのITの常識をわかりやすく、体系的に解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと企画しました。
お客様の話していることが分かる、社内の議論についてゆける、仕事が楽しくなる。そんな自信を手にして下さい。
【前提知識は不要】
ITについての前提知識は不要です。ITベンダー/SI事業者であるかどうかにかかわらず、ユーザー企業の皆様にもご参加頂けます。
これからの営業の役割や仕事の進め方を学び、磨くべきスキルを考える
ChatGPTの登場により、ビジネス環境が大きく変わってしまいました。もはや、お客様からの要望や期待に応えて、迅速に対応するだけでは、営業は務まりません。お客様の良き相談相手、あるいは教師となって、お客様の要望や期待を引き出すことが、これからの営業には求められています。
AIやテクノロジーに任せるべきことはしっかりと任せ、人間の営業として何をすべきか、そのためにいかなる知識やスキルを身につけるべきなのか。そんな、これからの営業の基本を学びます。また、営業という仕事のやり甲斐や醍醐味についても、考えてもらえる機会を提供致します。