オルタナティブ・ブログ > ITソリューション塾 >

最新ITトレンドとビジネス戦略をわかりやすくお伝えします!

【図解】コレ1枚でわかるDXとは何をすることか

»

DXDX.png

デジタル技術を駆使しても、仕事のやり方や組織のあり方を根本的に作り変えなければ、圧倒的なスピードを手に入れることはできません。例えば、SlackTeamsを使ってコミュニケーションの手段を高速化しても、稟議決済はアナログ時代のままに、月1回の経営会議を通さなければ、行動を起こせないとなると、結局は、アナログ時代のスピードのままです。また、IoTAIを駆使して、時々刻々変化する事象を正確に捉えることができても、上司の判断を得るためには、報告書を作成して会議を開き、判断を仰がなければならないとすれば、絶好のタイミングを逃すか、危機的な状況を招きかねません。

旧来のやり方を変えることなく、デジタルを使えば使うほど、この乖離が顕著になります。言わば、事業プロセスの動脈硬化です。この事態を放置すれば、そこで働く人たちの能力を十分に活かすことができず、企業は疲弊し競争力を失ってしまいます。

デジタルを使うほどに企業は疲弊し衰退する

日本企業が国際的な競争力を失ってしまったのは、海外とくに米国からもたらされるデジタル・ツールやデジタル・サービスを使うことには熱心ではあっても、それら製品の背景にある思想やビジネス・プロセスの変革を無視して、効率の悪い使い方を行い、十分にその価値を引き出せないからかもしれません。例えば、次のようなことです。

  • MAMarketing Automation)ツールを導入しても、案件を発掘するチームであるデマンドセンターを作ることなく、ただの広告宣伝自動化ツールとしてしか使っていないために、マーケティングツールとしての効果を十分発揮できない。
  • ERPパッケージは、本来、業務変革を加速するためのツールとして登場した。しかし、既存業務のやり方に合わせるために、カスタマイズやアドオンを膨らませ、膨大なコストを支払っている。
  • セルフサービスの仕組みとして機能を充実させ続けているクラウド・サービスを導入しても、外注先に丸投げして、自分たちで使いこなすことをせず、多大なコストを流失させ、俊敏性を損なっている。

背景や思想を無視し、カタチばかり真似ていると、デジタル・ツールを使えば使うほど、次のような事態に陥ってしまいます。

  • ムダな作業を増やし、生産性を低下させる。
  • ツールの機能を生かし切れず、コスパの悪い使い方になる。
  • ツールの機能や使い方に拘束され、現実との乖離を拡げて、現場のストレスや負担を増やす。

結果として、ツールを使うことに経営資産を消費してしまい、業績に貢献できない、あるいは、貢献しても投資に見合わないということになります。これでは、背景や前提を当然のこととして理解して使っている本家本元にかなうはずもなく、労働生産性の低下を招き、企業を疲弊させ、衰退させてしまいます。

DXとはデジタルを使いこなすための前提を作ること

DXもまた同じようなことになりかねません。デジタルを使うことが目的化してしまい、それらを使いこなすにふさわしい仕事のやり方や組織の仕組み、働き方も合わせて変えなければ、デジタルの価値を十分に引き出せないばかりか、現場を疲弊させるだけです。このようなDXは、百害あって一利無しです。

デジタルを使いこなすためには、チャートで示したようなデジタル以外にやることが沢山あるのです。

「デジタルがリアルを包括する社会に適応するために、手段としてのデジタルを駆使しつつ、会社を作り変えること」

前節では、DXをこのように定義しました。これを次のように表現することもできます。

「デジタルがリアルを包括する社会に適応するために、手段としてのデジタルを駆使して、デジタルの価値を最大限に引き出せる会社に作り変えること」

いずれにしても、デジタルと会社の仕組み、文化や風土を同期させ、変革しなければ、デジタル前提の変革は進みません。

DXとはテクノロジーの発展をビジネスに組み入れること

ビジネス環境とテクノロジーは、お互いに影響を与え合いながら、変化、発展し続けています。これらを切り離して考えることはできません。例えば、インターネットの登場は、顧客と企業との関係、人と人とのつながり、掲載のメカニズム、収益のあげ方などのビジネス環境を、それ以前とはまるで違うものに変えてしまいました。これに続くスマートフォンの登場は、インターネットと人間との常時接続を仲介し、インターネットありきの日常を定着させました。

生成AIは、これら2つの出来事に匹敵するビジネス環境の変化をもたらすかも知れません。詳しくは、テクノロジー編で解説しますが、AIエージェントとしての役割は、大きな変化をもたらすことになるでしょう。

AIエージェントとは、とても優秀な自分専任の秘書のような存在です。何をしたいかを伝えれば、情報を集め、手順を整え、サービスや機器を操作して、結果を出してくれます。例えば、出張の予定をスケジュール表に書き込めば、交通手段の手配や宿泊先の予約、先方へのアポイントメントの確認などを人間に変わってやってくれます。

また、「新規事業のアイデアを洗い出して、その可能性や課題をレポートにまとめて欲しい」と問いかければ、自分の担当する事業分野、同業他社の動向、使えそうなテクノロジーの情報などを調べ、テーマを導き、イメージ図を描き、アイデアを説明し、工程表を示してくれます。そんな未来が、もうそこまで来ています。

このような仕組みをショッピング・サイトに組み込めば、顧客は何が欲しいのかの仮説を立てて、質問を投げかけ、その答えから要件を絞りこみ、最適な商品を紹介し、なぜそれがふさわしいのかを説明してくれます。また、コール・センターに使えば、顧客の曖昧な説明から何をして欲しいのかの意図をくみ取り、対話してさらに絞り込み、最適な応答を返してくれるようになります。

このように、テクノロジーの発展によって、人間と機械の役割は、おおきく変わります。業務プロセスやビジネス・モデルもこれまでとは違うものになるはずです。

デジタルの価値を最大限に引き出し、ビジネスに活かすには、このような変化を日常と受け止め、思考や行動の前提に据えることです。

DXとは、このようなことが当たり前にできる、企業の文化や風土を育て、定着させることでもあります。

ITソリューション塾

募集開始 次期・ITソリューション塾・第45期 を2024年2月14日[水]よりの開講いたします。

次期、ITソリューション塾では、臨時補講として「生成AIの実践ノウハウ」をこの分野の第一人者にお願いしました。また、特別補講では、「トヨタのデータ&デジタル戦略の最前線」をド真ん中の当事者に語っていただきます。

ご参加をご検討頂ければ幸いです。

  • SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
  • ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
  • デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
  • IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
  • デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん

そんな皆さんには、きっとお役に立つはずです。

詳しくはこちらをご覧下さい。前期・第44期の講義のダイジェスト動画も掲載していますので、よろしければご覧下さい。

  • 期間:2024年2月14日(水)〜最終回4月24日(水) 全10回+特別補講
  • 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
  • 方法:オンライン(Zoom)
  • 費用:90,000円(税込み 99,000円)
  • 内容:
    • デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
    • IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
    • これからのビジネス基盤となるIoTと5G
    • 人間との新たな役割分担を模索するAI
    • おさえておきたい注目のテクノロジー
    • 変化に俊敏に対処するための開発と運用
    • アジャイルの実践とアジャイルワーク
    • クラウド/DevOps戦略の実践
    • 経営のためのセキュリティの基礎と本質

神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO

banne_rpamphlet.png

IMG_4293.jpeg

Comment(0)