【図解】コレ1枚でわかるDX実践の3つのステップ
DXに取り組まなければ、時代に取り残されるのではないかという風潮に押され、自分たちも「何か、できないだろうか」と考えてしまう人たちがいます。このような発想を起点とした取り組みは、「何かをやること」が、目的となります。そこで都合がいいのが、「魔法の杖」、つまり流行りのテクノロジーを使うことです。先進的なことにチャレンジしていることをアピールするにも都合がよく、メディアもまた、これらをDXと結びつけてあおり立てています。
例えば、「(流行りの)AIで、何かできないだろうか」と考えます。次に、AI(手段)がうまくはまりそうなテーマを見つけます。ただ、決裁を得るには、理由を示さなければなりません。そこで、AIを使わなければならない物語(戦略)を作文します。続いて、その物語を正当化する理由(課題)を示します。
「手段としてのAI」ありきで発想し、それを正当化するために「都合のいい戦略」を作り、その戦略にふさわしい「都合のいい課題」を仕立て上げるというやり方です。このようなやり方で、成果に結びつくことはありません。それだけではなく、無駄な時間と労力を使い、お金もかかります。
前節で述べたとおり、成果を得るには、課題の定義、戦略の策定、手段の選択という手順を踏むことです。
課題の定義:「我が事業部がどうしても克服すべき画題は何だろう?」と考え、議論することです。放置できない脅威、これさえ解決できれば突破できること、是非とも実現したいことなどが課題です。
戦略の策定:課題の原因と解決方法についての仮説、解決方法に至る総合的な物語、事業への影響や効果など、課題解決のための一連のシナリオが戦略です。
手段の選択:ビジネス・モデルとビジネス・プロセス、組織や体制、業績評価基準や報酬制度、技術やITサービス、製品や店舗などの組合せが、手段です。
テクノロジーは、手段のひとつであり、テクノロジー以外の手段を組み合わせなければなりません。あるいは、テクノロジーを使わずに、業務のやり方を変えれば、課題を解決できるかも知れません。大切なことは、課題の解決であり、業務上の成果です。それが、DXかどうかどうかはどうでもいいことです。