新入社員研修で伝えていること
毎年、新入社員を対象に、「最新ITトレンド」の研修をしています。企業個別の場合もあるし、公開研修もあり、1000名くらいの皆さんが、受講されています。そんな研修で何を大切にしているのか、何を伝えるのかについて、紹介します。
「インデックスを手に入れよう!」
冒頭に、こんな話をしています。インデックス、つまり目次を頭の中に作ることがこの研修の目的だと伝えています。この意味を理解してもらうために次のような質問をします。
「Armという言葉を知っている人は手を挙げて下さい。」
手を挙げる人はほとんどいません。そして、その次のような話をします。
「皆さんの持っているスマホやタブレットは、ほぼ全てArmのプロセッサーを搭載しています。日本最速のスパコンには、15万8千個のArmのプロセッサーが搭載されています。最新のMac PCには、Armのプロセッサーが使われています。自動車や家電製品などに搭載されるコンピューターのかなりの数はArmです。クラウドで使われるプロセッサーは、Armが増えています。プロセッサーは、Intelだと思っているかも知れませんが、数の上では、Armのプロセッサーが圧倒的です。」
「えっ!」という顔を見るのが楽しみで、さらに次のような話をします。
「この会社は、どこの国の会社かご存知ですか。本社はイギリスですが、オーナー企業は、別の国です。」
ご存知の通り、日本企業の子会社ですが、それを伝えると、また「えっ!」という顔をします。
Armがなぜこれほどまでに使われているのか、そのビジネスモデルはどうなっているのか。そんなことも伝え、テクノロジー・ビジネスの面白さについても話をします。
「様々なメディアでArmについては採り上げられ、頻繁に登場していますよ。ただ、皆さんには、Armというインデックスがないので、このような情報が一切ひっかかることはなく、あなたの知識にはなりません。情報の感度を高めたい、ITのトレンドを知りたいのなら、まずは、巷にあふれる情報を検知するセンサーであるインデックスを増やすことです。」
しかし、学生時代のように、試験で点数を取るために「暗記する」のでは、記憶に留まることは啼く、仕事には使えません。だから、物語として、覚えることが大切であると伝えます。
「桃太郎の物語に登場する動物を思い出して下さい。ほら、すぐに思い出せますよね。それは、桃太郎の物語を知っているからです。どうやって桃太郎の仲間になったのが、そして、そのどのような活躍をしたのか、そんな物語を知っているから、動物のことも思い出せるわけです。」
ITのことも物語として、捕らえればいいわけです。ひとつひとつの言葉を暗記するのではなく、テクノロジーの歴史やビジネスの現場でどのようにつかわれているのか、それがこれからの自分の仕事に、どのように関わるのかを物語として伝えます。
例えば、なぜ、アプリケーション、プラットフォーム、インフラストラクチャーの関係やこのように整理されることになった歴史的な背景を説明します。Virtualの意味を伝えるときに、VRの例を使って次のような話をします。
「実際には家の中に居るのに、VRゴーグルをかければ、"本物は家の中だけれど、本物と同じ宇宙空間"を体験できますよね。それをVirtual Realityつまり、"本物とは違うけど本物と同じ(=Virtual)現実(=Reality)"を体験できるからこの名前がつきました。つまり、Virtualとは、本物ではないけど、実質的に本物と同じことができる、本物のように扱えると言う意味があります。」
他にもいろいろな物語を駆使するわけですが、単なる言葉の表面を解説するのではなく、歴史的背景やたとえ話を駆使して、本質に迫るわけです。そんな物語を増やすと、インデックスは、どんどんと増えていきます。
仕事の現場で飛び交う言葉が、何が何だか分からずについていけず、不安を感じる新入社員も少なくありません。しかし、「インデックスを物語として知っている」ことで、大体こういうことを言っているのだと分かりますから、不安も軽減します。また、後で調べたり、聞いたりするときも、そのきっかけを掴むことができます。
仕事に馴れるというのは、小さなことでも自信を持ち、それを増やし積み上げて、本当の自信に変えていくことです。そんなきっかけを提供できればと思っています。
そして、もうひとつ大切なことがあります。それについては、明日また書いてみようと思います。
【募集開始】新入社員のための「1日研修/1万円」・最新ITトレンドとソリューション営業
最新ITトレンド研修
社会人として必要なデジタル・リテラシーを手に入れる
ChatGPTなどの生成AIは、ビジネスのあり方を大きく変えようとしています。クラウドはもはや前提となり、ゼロトラスト・セキュリティやサーバーレスを避けることはできません。アジャイル開発やDevOps、マイクロ・サービスやコンテナは、DXとともに当たり前に語られるようになりました。
そんな、いまの常識を知らないままに、現場に放り出され、会話についていけず、自信を無くし、不安をいだいている新入社員も少なくないようです。
そんな彼らに、いまの常識を、体系的にわかりやすく解説し、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと、この研修を企画しました。
【前提知識は不要】
ITについての前提知識は不要です。ITベンダー/SI事業者であるかどうかにかかわらず、ユーザー企業の皆様にもご参加頂けます。
ソリューション営業研修
デジタルが前提の社会に対応できる営業の役割や仕事の進め方を学ぶ
コロナ禍をきっかけに、ビジネス環境が大きく変わってしまいました。営業のやり方は、これまでのままでは、うまくいきません。案件のきっかけをつかむには、そして、クローズに持ち込むには、お客様の課題に的確に切り込み、いまの時代にふさわしい解決策を提示し、最適解を教えられる営業になる必要があります。
お客様からの要望や期待に応えて、迅速に対応するだけではなく、お客様の良き相談相手、あるいは教師となって、お客様の要望や期待を引き出すことが、これからの営業に求められる能力です。そんな営業になるための基本を学びます。
新入社員以外のみなさんへ
新入社員以外の若手にも参加してもらいたいと思い、3年目以降の人たちの参加費も低額に抑えました。改めて、いまの自分とこれからを考える機会にして下さい。また、IT業界以外からIT業界へのキャリア転職された方にとってもいいと思います。
人材育成のご担当者様にとっては、研修のノウハウを学ぶ機会となるはずです。教材は全て差し上げますので、自社のプログラムを開発するための参考にしてください。
書籍案内 【図解】コレ一枚でわかる最新ITトレンド 改装新訂4版
ITのいまの常識がこの1冊で手に入る,ロングセラーの最新版
「クラウドとかAIとかだって説明できないのに,メタバースだとかWeb3.0だとか,もう意味がわからない」
「ITの常識力が必要だ! と言われても,どうやって身につければいいの?」
「DXに取り組めと言われても,これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに,何が違うのかわからない」
こんな自分を憂い,何とかしなければと,焦っている方も多いはず。
そんなあなたの不安を解消するために,ITの「時流」と「本質」を1冊にまとめました! 「そもそもデジタル化,DXってどういう意味?」といった基礎の基礎からはじめ,「クラウド」「5G」などもはや知らないでは済まされないトピック,さらには「NFT」「Web3.0」といった最先端の話題までをしっかり解説。また改訂4版では,サイバー攻撃の猛威やリモートワークの拡大に伴い関心が高まる「セキュリティ」について,新たな章を設けわかりやすく解説しています。技術の背景や価値,そのつながりまで,コレ1冊で総づかみ!
【特典1】掲載の図版はすべてPowerPointデータでダウンロード,ロイヤリティフリーで利用できます。社内の企画書やお客様への提案書,研修教材などにご活用ください!
【特典2】本書で扱うには少々専門的な,ITインフラやシステム開発に関わるキーワードについての解説も,PDFでダウンロードできます!
2022年10月3日紙版発売
2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1
目次
- 第1章 コロナ禍が加速した社会の変化とITトレンド
- 第2章 最新のITトレンドを理解するためのデジタルとITの基本
- 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
- 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
- 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
- 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
- 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
- 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
- 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
- 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー
緑の森でヨガを楽しむ!
8MATO塾・番外編
8MATO塾の番外編として、6月11日(日)10:00から8MATOのオープンデッキで、ヨガの体験レッスン(参加費無料)を行います。健康運動指導士、ヨガインストラクター資格取得者の井上陽(いのうえ よう)さんを講師にお招きしてのレッスンです。森の空気を存分に浴びながら、気持ちよく汗を流してください。シャワー室もありますよ。
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神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。