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転職の3つのタイプ/個人にとっても企業にとっても成長の好機

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転職には、アップグレード転職、横滑り転職、ダウングレード転職の3つのタイプがありそうだ。

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アップグレード転職とは、自分の新たな可能性の発見と成長の機会を手に入れる転職だ。採用側は、将来の可能性に投資する。

彼らは、社外の人たちとのつながりを通じて、常に自分を外の世界に晒し、会社の基準ではなく、世の中の基準で自分を客観的に評価し、自分の社会的価値を値踏みできる人たちだ。だから、「こういう仕事をしたいからこの会社に転職しよう」というときに、選択権を自分で行使できる。

こういう人たちは、世の中の基準を見ながら知識やスキルを磨き、自分の世の中的な実力を心得ている。転職斡旋会社に頼らなくても、社外とのつながりを通じて、転職の話しが持ち込まれることも多い。

転職によって、仕事の幅も広がり、収入も増えるだろ。常に社外の基準で自分を評価するマインドセットも変わらないから、そこでの成長のポテンシャルは高い。当然、将来の転職のためのキャリアアップにもなる。いまの会社での評価も総じて高いので、会社にすれば、転職して欲しくない人材であろう。

横滑り転職とは、いまの仕事の知識やスキルを買われる転職だ。採用側の人材不足を補うことを目的とする。もちろん将来の可能性を期待しないわけではないが、重要なのは、いまの不足を補うことだ。昨今の事業会社によるIT人材の採用熱もそんなところに理由があるのかもしれない。

もちろん、不足しているのだから現状より高い収入をオファーされるだろう。しかし、期待されているのは、いまの知識やスキルであり、これまでの経験が採用理由として重要になる。

このような転職は、悪い話しではない。これまでの自分にはなかった価値観に触れられるだろうし、物事を見る視野も広がることで、成長の機会となるはずだ。ただし、そういうマインドセットを持って、転職後の仕事に向き合えるかどうかが大切だ。それができれば、将来のキャリアアップにもつながるだろう。

一方、いまの会社が嫌だから、あるいは、漠然と「したいことができないから」という理由で、転職するのであれば、また転職先でも同じ不満を持つ可能性は高い。そんなことでは、自分のキャリアアップにはつながらない。

ダウングレード転職は、なかなか辛い。「この給与でよければ」と採用側の企業に値踏みされる。その人の能力や可能性ではなく、単に人手不足を補うことが目的の場合もあり、新たなチャレンジの機会にはなりにくい。

もちろん、そんな会社に転職して、奮起して、成長することもできるだろう。あまりにも酷いいまの会社の現状から、退避するために、どうしようもない選択かも知れない。

しかし、転職した以上は、その会社の業績のために貢献する心構えが必要だ。腰掛け、あるいはフリーライダーを決め込んで、努力を怠れば、また同じことを繰り返すだけになってしまう。

もちろん転職の理由は様々であり、この3つに収まりきれるものではない。家庭の事情もあるだろうし、どうしてもいまの企業の文化や仕事の内容が、自分には向いていないとの理由から、転職したいと考えることもあるだろう。

ただ、もし、自分の成長のために、あるいは、キャリアアップのために、転職を考えているのであれば、まずは、冷静に自分に向きあうことからはじめるべきだ。そして、「自分は何をしたいのか」を考えてみることだ。

そのためには、世の中の評価軸で、自分を評価できるようになろう。社外の人たちの付き合いを増やし、沢山の本を読むことをおすすめしたい。興味や関心のあることを、自分で試してみるコトも大切だ。そうすれば、自分とはどういう存在なのかが、見えてくるだろう。そういう冷静さが、転職を人生の好機にしてくれる。

もちろん、待遇が良く給与も高そうだから、あるいは、いまの会社がつまらないから、漠然となんとなく転職したいからという理由で転職することも、ひとつの理由だ。新たな出会いが、人生を変えてくれるかも知れない。しかし、これはかなりのバクチであろう。それだけに頼って転職を繰り返していれば、自分の人生を自分で選ぶことができなくなってしまう。

私は、多くの人に転職を勧めたい。自分の可能性を広げ、仕事と才能のミスマッチングをなくし、社会を健全な方向に向かわせる原動力となからだ。

視点を変えれば、転職者から選ばれる会社は成長し、選ばれない会社は存続が難しくなるだろう。生産年齢人口が急速に減少するいま、経営者は、この現実に向きあい、必要とあれば、大鉈を振るって、転職者にとって魅力的な会社にする努力を惜しまないことだ。そのためには、社会の評価軸で、自分たちの会社を評価できなければ、ならない。

転職しようという人たちは、選択の自由を手に入れるために知識とスキルを社会基準で高めてゆくことだ。会社が与えてくれる仕事をこなすだけではなく、独学し、社外へと人のつながりを増やし、いろいろと自分でやってみることだ。体験こそ、最高の教師である。そうやって、自分を磨き続けることが、選択の自由を手に入れる最良の方法だ。

もはや転職が後ろめたい時代ではない。特に、IT業界にあっては、転職は「おめでとう」と言われる世の中になった。

経営者は、そういう人材の往来を好機と捉え、自社の成長の機会と捉えてはどうだろう。変革の原動力となる人が集まり、そうでない人たちは去っていくことは仕方のないことだ。もちろん、いまの人材活かし、学び直しや成長の機会を与えることを怠るべきではない。しかし、その機会を活かせるか活かせないかについては、本人の問題であることも少なくない。彼らにもまた、自分の選択があり、それを尊重すべきだ。

DXとは、企業文化の変革である。転職もまた、そんな変革の手段のひとつである。それは、会社にとっても、そこで働く個人にとっても、である。

DXを実践できない企業からは、優秀な人たちは、去って行くだろう。それは、この会社の将来が不安だからだ。自分の成長の機会を閉ざされる不安があるからだ。一方、試行錯誤しながらも、DXに真摯に向き合っている企業は、そんな優秀な人材を引き寄せる。それは同時に、転職先を自分で選べる人材になれば、自分もまた新たな成長とキャリアアップの機会を手に入れられることを意味する。

そんなお互いの関係が、世の中を良い方向に変えていくだろう。転職とは、企業や個人、世の中を変える機会となる。

企業にとっても、個人にとっても、転職を武器にできるかどうかが、それぞれの成長にとって、大切な時代になったのかも知れない。

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【改訂】DXとはVUCAの時代に対応するための変革 p. 19
【新規】なぜ、自律的な組織が必要か p.20
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