「知っている」と「理解している」の違いに気付いて欲しい
「言葉」を知ると、それをすっかり知っているつもりになってしまうのは、誰しも経験があることだろう。例えば、デジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉を知らない人はいないだろう。しかし、それを説明して欲しいとお願いすると、しどろもどろになってしまう人は多い。
AIについても同様だ。もし、あなたがAIという言葉は知っているならば、次の質問に答えてほしい。
エアコンの温度を設定すればセンサーが室温を感知して設定温度になれば自動的に送風が停まります。衣服の材質や種類を設定すれば、それに合わせた最適な水量を注水し、適切な洗い方をしてくれる洗濯機はもはや当たり前です。しかし、このような製品を「人工知能(AI / Artificial Intelligence)」搭載とは言いません。一方で、人が運転しなくても目的地まで送り届けてくれる自動運転車(正確には"自律運転車")が、まもなく登場しようとしています。こちらは「人工知能」の代表的な事例として紹介されています。共に、人間が関与せず、一番良い方法を判断し、機械が代わりにやってくれるという意味では同じです。両者の違いは何処にあるのかを説明してください。
さあ、あなたならこの質問にどう答えるだろうか。
では、IoTについてはどうだろう。次の質問に答えて欲しい。
「IoT / Internet of Things / モノのインターネット」でつなぐこと、あるいは、つながることが社会やビジネスを大きく変えるとも言われています。では、何がどのように変わるのでしょうか。事例を挙げて説明してください。
IoTという言葉を知っていても、この質問に答えることは、なかなか容易なことではない。
ITに関わる仕事をしていると、毎日のように新しい言葉が降ってくる。最近で言えば、ゼロトラスト、コンテナ、サーバーレス、Kubernetes、5Gといった言葉が降ってきた。言葉くらいは聞いたことがあるかも知れないが、それは何か、なぜこれほどまでに注目されるようになったのか、これらの技術によって何が変わるのか。あなたはそれが説明できるだろうか。
説明できるようになることが目的ではない。これらのキーワードをビジネスにすることが目的だ。そのために必要なことは、言葉の理解、つまり、その言葉がどのような言葉とつながり、関係を持っているのか捉えることだ。そんな理解のレベルを確認する手段が、説明するという行為だ。例えば、AIとIoTとクラウドはどのような関係にあるかが、人に伝わるように説明できるとすれば、その程度には理解できていると言うことになる。
私の講義を聴いて、次のような感想を頂戴することがある。
「どれも知っている言葉で目新しいものはありませんでした。ただ、それらがつながり、たいへん有意義でした。」
大変嬉しくもあるが、すこし苦笑いでもある。だいたい、こういう表現をするのは、ほぼ全員男性だ。どうも、男というのは見栄を張りたがる。もちろん、自分もそうだからよく分かる。
言葉を知っているだけでは、理解しているとは言えない。先にも述べたとおり理解するとは、言葉と言葉の関係を理解し、その役割や価値をビジネスや社会に関係づけられることだ。その理解のレベルを知る手段が説明することであり、それができなければ、理解しているということにはならない。つまり、言葉がつながっていなかったとは、理解できていなかったことにほかならない。
素直であることが、成長の原動力であることは、多くの先人が語っている。言葉を知っているからと「知っているつもり」になってしまうと、もはや理解の段階へは進まない。素直であると言うことは、自分の現実をありのままに受け入れることであり、このままではいけないという危機感をいつも持っていることなのだろう。「自分は何も知らない」という感覚を持ち続けることが、学びの土台となる。
「学ぶとはどういうことか/佐々木毅 著講談社」には、次のようなことが書かれている。
このような態度を忘れないようにしたいものだと思う。
コロナ禍をきっかけに在宅が当たり前になろうとしている。そうなれば、労働時間で業績を評価することはできなくなり、仕事の成果で業績を評価することが、公平なやり方として、受け入れられるようになるだろう。雇用形態をメンバーシップ型からジョブ型へ変えようという話しが盛んに聞かれるようになったのは、このような背景があるからだ。
当然、業績の評価が、時間ではなく成果となると、これまで以上に個人としての高い専門性が収入や昇進を左右する。当然ながら、自分の仕事に関わる言葉についての深い理解がなければ、それも覚束ないだろう。
ITソリューション塾をはじめて、12年が経った。改めて、こんな時代の必要に答えていきたいと想いを新たにしている。
【募集開始】第35期 ITソリューション塾
オンライン(ライブと録画)でもご参加いただけます。
ITソリューション塾・第35期(10月7日開講)の募集を開始しました。
新型コロナ・ウイルスは、肺に感染するよりも多くの人の意識に感染し、私たちの考え方や行動を変えつつあります。パンデミックが終息しても、元には戻ることはありません。私たちの日常は大きく変わり、働き方もビジネスも変わってしまうでしょう。これまでの正解は、これからの正解と同じではありません。ならば、事業戦略も求められるスキルも変わらざるを得えません。
本塾では、そんな「これから」のITやビジネスのトレンドを考え、分かりやすく整理してゆこうと思います。
特別講師
この塾では、知識だけではなく実践ノウハウについても学んで頂くために、現場の実践者である下記の特別講師をお招きしています。
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- アジャイル開発とDevOpsの実践
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- 日本のIT産業のマーケティングの現状と"近"未来
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- 日程 初回・2020年10月7日(水)~最終回・12月16日(水)
- 毎週18:30~20:30
- 回数 全10回+特別補講
- 定員 100名
- 会場 オンライン(ライブと録画)および、会場(東京・市ヶ谷)
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詳しくは、こちらをご覧下さい。
ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー
【8月度のコンテンツを更新しました】
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新規プレゼンテーション・パッケージを充実させました!
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新入社員研修
【改訂】新入社員のための最新ITトレンドとこれからのビジネス・8月版
講義・研修パッケージ
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとこれからのビジネス*講義時間:2時間程度
> 自動車関連製造業向けの研修パッケージ
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【改訂】総集編 2020年8月版・最新の資料を反映(2部構成)。
【改訂】ITソリューション塾・プレゼンテーションと講義動画 第34期版に差し替え
>これからのビジネス戦略
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ビジネス戦略編
【改訂】デジタルとフィジカル p.9
【改訂】イノベーションとインベンションの違い p.10
【新規】DXを支えるテクノロジー p.18
【改訂】DXはどんな世界を目指すのか p.19
【新規】「モノのサービス化」の構造 p.46
【改訂】ビジネス価値の比較
【新規】ビジネス価値のシフト p.48
【新規】自動車/移動ビジネスの3つの戦略 p.49
【新規】ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用 p.137
【新規】ナレッジワーカーの本質は創造的な仕事と主体性 p.138
【新規】コンテクスト文化から考えるリモートワーク p.139
【新規】リモートワーク成功の3要件 p.140
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【改訂】IoTの定義とビジネス p.15
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】ニューラル・ネットワークの仕組み p.68
クラウド・コンピューティング編
【改訂】クラウドに吸収されるITビジネス p.106
【新規】クラウド・ネイティブへのシフトが加速する p.107
開発と運用編
【改訂】開発の自動化とは p.94
【新規】ノー・コード/ロー・コード/プロ・コード p.95
【新規】ローコード開発ツール p.96
【新規】ローコード開発ツール p.97
【新規】ローコード開発ツールの 基本的な構造 p.98
下記につきましては、変更はありません。
ITの歴史と最新のトレンド編
テクノロジー・トピックス編
ITインフラとプラットフォーム編
サービス&アプリケーション・基本編