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【図解】コレ1枚でわかる減点型マネージメントと加点型マネージメント

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「なぜ、もっと早く報告しないんだ。早くわかってたら、やりようがあったんだ。だから、こんなことになるんだ。」

四十代後半の営業課長が、若い営業マンを前にして、怒りをぶつけている。

「彼は、確かに一生懸命です。でも、ちゃんと報告しないし、相談もしない。自分で何とかしようという気持ちは立派だけど、これじゃあとれるものも取れませんよ。」

この営業課長は、こんな話もしてくれた。

「どうも、最近の若い者は、覇気がなくていけない。確かに、忙しく仕事はしていますよ。遅くまで仕事をすることもいとわないし、よく頑張っていると思う。でも、チャレンジしないというか、自分から進んで新しいことをしない。私の若いころはねぇ・・・」。

こういうマネージャーが、部下の成長を阻み、組織の活力を殺いでいるんだなぁと思わずにはいられない。

彼には、次の3つの点で自覚が足りない。

報告しないのは、部下の問題と考えていること。

チャレンジしないのは、世代の問題で、自分の問題ではないと考えていること。

「頑張っている」、「忙しい」は、仕事が多いからで、別の意味があるとは考えていないこと。

この思い込みが問題なのだが、それに気づいていない。部下は、次のように言うだろう。

「報告しない」のは、報告をしたくないから。

報告をしても、結局は、自分のやり方を押し付けられる。

こちらの話は、途中までしか聞かず、こうやればいいと指示される。

日報やレポートを提出しても、まともなコメントなど返ってきたためしがない。

チャレンジしないのではく、チャレンジしても無駄だと考えている。

いつでも相談できる、助けてくれるという安心感がない。

頑張れ、自発的にやれとは言うが、失敗は、許されない雰囲気がある。

結局は、自分のやり方の枠に当てはめようとする。それ以外のことは、そんなことは言ってないぞと、はしごを外される。

忙しいから「頑張っている」わけではない。忙しいふりをしているだけ。

ちゃんと仕事をしています。余計な仕事をふらないでくださいねというメッセージ

忙しくすることで、仕事をしている気持になりたい。自分を正当化したい。

自分のことに没頭していたい。余計な干渉は受けたくない。

マネージャーには過去の成功体験がある。自分はそれでうまくやってきた。誰に教えられたわけではない。自分で苦労して見出してきた。なぜそれができないんだという気持ちであろう。そんな思い込みが、部下の意欲をそいでいることに気が付いていないようだ。

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部下を自分の基準で評価し、できていないことを指摘し、「だからだめなんだ」と考える。「減点型のマネージメントスタイル」の典型だ。また、時代が違うことにも気付いていない。かつては、お客様に足繁く通い、顔を覚えてもらい、要求には応え、トラブルにも直ちに対応する。そうすれば、仕事がもらえる時代だった。それができることが優秀であり、その時代の成功原則でもあった。

しかし、いまは、それでは仕事は手に入らない。お客さまは、「いままでのお付き合い」だけでは、発注はしてくれない。かならず複数社との比較検討を求められる。その相手は、国内とは限りない。オフショアやクラウドも同じ土俵の上にいる。もはやかつての成功原則は通用しない。

こんな現実に目をつむり、自分の過去の成功体験を基準にしているようでは、若い人材を活かすことはできない。

部下の能力やいままでの実績。あるがままの本人を基準にし、「彼にしては、よくやっているなぁ」、「こんなことができるようになったんだ」、「こんなことが得意なんだ」という視点を持つ。良いところや成果を評価する。これが、「加点型のマネージメントスタイル」だ。

「減点型」を改め、「加点型」へとマネージメントスタイルを転換する。これが、部下を活性化させる。

自分の成功体験は、自分の名誉であり、歴史であり、自信として、心に刻むことだ。ただし、その方法論は、かならずしも通用しないということも自覚すべきだ。だからこそ、部下と一緒になって、どうすれば新しい成功体験ができるかを真摯に考えてみてはどうだろう。それを分析し、整理し、自分の言葉に置き換えて語ってみる。

一生懸命だが、整理できない。そこに混乱や不安がある。マネージャーは、そんな彼らの言葉を第三者として冷静に聞き、整理をする。それができれば、部下はきっとあなたの言葉に耳を傾けてくれる。

マネージメントのスキルは、担当者のそれとは異なる。過去の経験の延長線上で、できるものではない。自分がその分野では経験が浅いこと、新しい時代となり成功原則が変わったということ。その前提に立って、マネージメントを謙虚に学ぶべきだろう。

その教師は、書籍や研修ばかりではない。いまあなたの目の前にいる部下もまた、いまの時代の教師だ。彼らの話に真摯に耳を傾け、謙虚に質問する。日報にも真剣に自分の考えや意見をぶつけてみる。そうすると、部下も報告や相談を進んでするようになるだろう。

一生懸命話を聞いてくれる人が、そこにいる。相談に乗ってくれる人がいる。そんなセーフティネットが、部下にチャレンジの意欲を与え、潜在力を引き出し、活力ある組織を生み出してくれるはずだ。

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