「共創」の看板は本物なのか?
「IoTについて、教えてもらえませんか?我が社は、これにどのように取り組んでゆけばいいのでしょうか?そんな話をしてもらえないでしょうか?」
ある設備機器関係の企業からこんな研修のご相談を頂いた。いまIT関連企業以外から、このようなご相談が増えている。
ITあるいはデジタル・テクノロジーの積極的な活用が、事業戦略上不可避であるとの認識は、もはや広く行き渡っている。しかし、ITベンダーやSIerに相談しても、「何をしたいか教えてもらえれば、その方法を提案します」というスタンスを崩さない。だから「共創」だと言うのだが、一緒に考えはするが主導権は常にお客様であり、自分たちはサポート役として助言をする立場を越えようとしない。自らもリスクを共有し、お客様と一緒になって新しいビジネスを作って行こうなどとは考えていないので、結局「共創」は生まれない。
だから、お客様は自分で考えなくてはならない、取り組まなければならない。だから基本的なことを教えて欲しいと思う。そんなことは、本来「共創」を標榜する企業に相談すればいいはずなのだが、たぶんお客様は彼らの視野が狭いと感じているのだろう。だから、こんな私に相談が舞い込んでくる。
自分たちにできること、あるいは自社のサービスや製品の範疇でしかテクノロジーを語らない。お客様の経営や事業に踏み込んで、何をどのように変えてゆけばいいのかを一緒に考え、広くテクノロジーのトレンドや可能性から助言を与えてくれるようなことはない。そんな相手に相談しても、「売り込まれるだけ」と壁を立ててしまうのではないだろうか。「共創」とはかけ離れた状況だ。
ここに一枚のチャートがある。これは、SI事業者がこれから関心を持つべきテクノロジーのキーワードを整理したものだ。クラウドやIoT、AIなどということばは描かれてはいないが、もはやそれは前提ということで、このチャートを作った。詳細な解説はこちらをご覧頂きたい。
【詳細】2018年・SI事業者が注目すべき9つのキー・テクノロジー
実装できるかどうか以前の問題として、これらテクノロジーによって、何ができるようになるのかを理解していなければ、お話にならない。それができなければ、お客様の事業にどのように活かせば、お客様の競争力を高めることができるかを語ることはできない。
お客様の事業や経営に踏み込んで、テクノロジーの価値を語る力がなければ、「共創」などという理念だけの看板は引き下げるべきだろう。
お客様はシステムを作ってもらうことをIT事業者に期待しているのではない。ビジネスの成果に貢献することを期待しているのだ。そしてIT事業者である以上、ITでの貢献を期待する。それなのに旧態依然とした知識や方法論を前提に、テクノロジーの未来を語れない相手に相談しようなんて思わないだろう。
IT事業者ならば、そんな自覚を持つべきではないだろうか。
2月14日(水)よりスタートする次期「ITソリューション塾・第27期」の受付を開始致しました。
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日程 2018年2月14日(水)~4月25日(水) 18:30~20:30
回数 全11回
定員 80名
会場 アシスト本社/東京・市ヶ谷
料金 ¥90,000- (税込み¥97,200) 全期間の参加費と資料・教材を含む
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【お願い】早期に定員を超えると思われますので、まだ最終のご決定や参加者が確定していない場合でも、ご意向があれば、まずはメールにてご一報ください。優先的に参加枠を確保させて頂きます。
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第27期は、これまでの内容を一部変更し、AIやIoTなどのITの最新トレンドについての解説と共に、そんなテクノロジーを武器にして、どうやって稼げばいいのかについて、これまで以上に踏み込んで考えてゆこうと思います。また、働き方改革やこれからのビジネス戦略についても、皆さんに考えて頂こうと思っています。
SI事業者の皆さんには、これからのビジネス戦略やお客様への魅力的な提案を考える材料を提供します。
情報システム部門の皆さんには、自分たちのこれからの役割やどのようなスキルを磨いてゆく必要があるのかを考えるきっかけをご提供します。
講義で使用する500ページを超える最新のプレゼンテーションは、オリジナルのままロイヤリティ・フリーで提供させて頂きます。お客様への提案、社内の企画資料、イベントでの解説資料、勉強会や研修の教材として、どうぞ自由に活用してください。
古い常識をそのままにお客様の良き相談相手にはなれません。
「知っているつもりの知識」から「実践で使える知識」に変えてゆく。そんなお手伝いをしたいと思っています。
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- 開発と運用について大幅に追加改訂しました。
- デジタル・トランスフォーメーションについての解説を増やしました。
- 量子コンピュータについての記述を追加しました。
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追加・更新の詳細は以下の通りです。
ビジネス戦略編
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションの意味 p.5
【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは p.11
【改訂】デジタル・トランスフォーメーション実践のステップ p.12
【新規】デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる能力 p.14
【改訂】SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション p.15
【改訂】共創の3つのタイプ p.82
サービス&アプリケーション・先進技術編/AI
【新規】深層学習が前提となったシステム構造 p.68
開発と運用編
【新規】開発と運用:従来の方式とこれからの方式 p.15
【新規】アジャイル開発の基本構造 p.16
【新規】アジャイル開発の目的・理念・手法 p.23
【新規】スクラム:特徴・三本柱・基本的考え方 p.25
【新規】スクラム:スクラム・プロセス p.26
【新規】スクラム:プロダクト・オーナー p.27
【新規】スクラム:スクラム・マスター p.28
【新規】スクラム:開発チーム p.29
【新規】エクストリーム・プログラミング p.30
【新規】これまでのソフトウェア開発 p.58
【新規】これからのソフトウェア開発 p.59
【新規】Microsoft Azureによる予測モデルの開発方法 p.60
インフラ編
【新規】ストレージ・コストの推移 p.215
テクノロジー・トピックス編
【改訂】ソーシャル・グラフ 解説文・追加&改訂 p.4
【改訂】CSIRT解説文・追加&改訂 p.6
【改訂】3Dプリンター 解説文・追加&改訂 p.7
【改訂】RPA 解説文・追加&改訂 p.17
【新規】量子コンピュータがいま注目される理由 p.73
【新規】D-Waveとは
【新規】量子ゲート方式の限界と可能性 p.82
ITの歴史と最新トレンド
*追加・変更はありません。
サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
*追加・変更はありません。
サービス&アプリケーション・基本編
*追加・変更はありません。
クラウド・コンピュータ編
*追加・変更はありません。
【講演資料】量子コンピュータ
【新規】量子コンピュータがいま注目される理由 p.73
【新規】D-Waveとは
【新規】量子ゲート方式の限界と可能性 p.82
内容:全3回の講義と演習/受講者と講師のコミュニケーション