スピーチの依頼を請けておこなうべき3つの合意
「IoTとデジタル・ビジネスについて、講演していただけないでしょうか。」
このようにテーマや内容を予め決めて、講演のご依頼を頂くことがあります。そうかと思うと、こんなご依頼をいただくことがあります。
「人材育成の担当者が集まるので、何かそれにふさわしい話をして頂けないでしょうか。」
もっと、ざっくりとしたご依頼を頂くこともあります。
「若いヤツに元気が出るような話をしてもらえませんか。」
ご依頼の頂き方は様々ですが、それにお応えをするために必ず次の「3つの合意」を心がけています。
期待する結果を合意する
これが最も大切で、最初におこなうべきことです。講演の結果、話を聞かれた方の気持ちや行動をどのように変化させたいかです。例えば、「IoTとデジタル・ビジネス」の内容で話をしてほしいと依頼されたとしましょう。それは、「旬なタイトルで集客を増やしたい」のか「この分野で我が社と一緒に仕事をしてくれるパートナー発掘につなげたい」のかでは、自ずとタイトルの付け方やストーリーの組み立てが変わってきます。両方だとしても、どちらに重心を置くかをまずは明らかにしなくてはなりません。
依頼者の多くは、この「期待する結果」すなわち「目的」を持ちながらも、タイトルや内容の話を先に伝えようとする傾向があります。しかし、それだけでは講演者は「成果」を約束できません。講演者にとってみれば、「目的」だけ講演者に明確に伝え、内容は講演者から提案させた方が、よい講演になる場合も少なくありません。
講演の目的は「期待する結果を得ること」であって、「話の内容」は手段です。この関係を理解しておく必要があります。
依頼者の中にはこの辺を曖昧にご依頼頂く場合もあるのですが、そういう場合は、こちらから「期待する結果」を問い、場合によっては少し時間をかけてディスカッションをおこない、その中で明確にしていく場合もあります。まずは、この点をすっきりさせ、合意さえしておけば、講演者としてはストーリーを組み立てやすくなります。
ストーリーを合意する
「期待する結果」を合意した後は、ストーリーについておおよその流れを説明するようにしています。口頭で伝える場合もあります。あるいは、ノートやホワイトボードに走り書きをする場合もあります。いずれにしろ、全体の流れを共有し合意しておくことです。
ストーリーを考える考える上で、まず依頼された講演を受講される方々のプロフィールをイメージします。誰を対象としているかによって、ストーリー展開は変わります。その上で、これまでの講演で話したこと、最近の話題、さらには依頼者の会社のことなどを考えながら、これではどうでしょうかと「私の正解」を提示します。「仮説」といってもいいでしょう。まずは、具体的な「仮説」を依頼者に提示することで、依頼者のイメージしていることとの誤差を洗い出してゆきます。それをディスカッションしながら修正して「共通の正解」を見つけて合意します。
キーワードを合意する
最後は、どんなキーワードを使って欲しいかをはっきりさせておくことです。同時に、使って欲しくないキーワードについても明らかにします。
使って欲しいキーワードは、自社の商材、伝えたい思想や戦略、知らせたい言葉など、受講者に持ち帰ってもらいたい「何か」です。これが受講者の記憶に残らなければ、意味が無いといったキーワードもあるかもしれません。
一方、使って欲しくないキーワードは、競合製品を利するもの、自社の印象を損ねるもの、業界でのタブーなどです。このあたりのことを確認すると「特にありません」といった答えを返される依頼者もあるのですが、それは「常識の範囲でお願いします」という願意が前提にある場合が多く、ここがなかなか困るところです。というのも、こちらにその「常識」がない場合も少なくないからです。こちらには依頼者が働く現場の肌感覚がありません。ですから、「常識」が同じではないのです。ここをちゃんと確認しないままに講演をすすめてしまうと、知らず知らずのうちに依頼者の意向を損ね、その後のこちらの仕事にも支障をきたすこともあります。
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以上の3つの合意は、普通1回の打ち合わせ、1〜1.5時間の中でおこないます。当然限られた時間ですから、正しく合意できたという保証はあれません。そこで、打ち合わせた内容をこちらで文書にして相手に送ります。それは、決して自分の保身という意味ではなく、合意したことを改めて自ら振り返り、イメージを鮮明化するためです。その過程でコンテンツの展開がおおよそ出来上がります。そして、依頼者にも覚悟してもらうためでもありす。
こんな過程を通じて、講演の依頼には応えるようにしています。スピーチの依頼を請けた場合のご参考になるでしょうか?
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