「お客様の立場に立つ」とはどういうことか
「お客様第一」、「お客様の立場に立って」という言葉を私たちは安易に使ってはいないだろうか。
弊社オフィスの最寄り駅「吉祥寺」のある中央線。この路線の遅れや運休は、日常茶飯事だ。そのたびに、車掌は、「申し訳ございません」と謝罪の言葉を述べている。
考えてみれば、彼の責任ではない。では、JRの責任かといえば、そうとも限らない。先日も高円寺で起きた事故での運休では、酔った若い女性が、線路に落ちたことが原因だと聞いている。それでも、車掌は、「申し訳ありません」と謝罪する。
人は、理屈だけでは動かない。遅れた、止まったことの理由の如何にかかわらず、人は苛立ち、不満や怒りがこみ上げてくる。この感情がある限り、人は、理性的な判断ができない。だから、まず「申し訳ありません」という言葉で、相手の感情の高ぶりを抑えようと試みる。
システム・トラブルは、ITの宿命だ。私が現役の一時期は、大型の汎用機が主流だった。汎用機はその名の通り、多くのユーザーが、同時にいろいろな業務で利用している。それがトラブルを起こし、ダウンしようものなら大変なことである。そんなことが起きたときには、とるものもとりあえず、まず頭を下げにゆくのが、営業の鉄則だと教えられていた。そこで駆け引きをすることは許されない。
こちらに非があろうがなかろうが、頭を下げにゆく。そして、相手を気遣い、「私どもも全力を尽くします」と誠実に伝えることだろう。それでトラブルが解決するわけではなのだが、まずお客様に顔を出し、こちらも事態をしっかりと受け止めていることを伝える。そして、お客様の感情的高ぶりを静め、理性的な解釈や判断ができるようにすることが、営業の役割だと心得ていた。理屈はそれからだ。
お客様も困っている。憤りを感じている。それを誰かにぶつけたいに違いない。ならば、その受け皿となってあげれば、いいではないか。そんなお客様の心の動きや、意思決定に至る葛藤、会社や家庭における彼の立場や期待。そういういろいろなものが、彼を突き動かしている。そういうことを想像することが、お客様の立場に立つということだ。
昨日も書いたが、思いやりや愛情も、同様である。相手のことを想い、いろいろと想像し、どうすれば相手が幸せになれるかを考え行動する。その想像力が足りなければ、相手は、あなたに愛情が薄いと不満を言うだろう。
これは職場でも同じことだが、相手の気持ちを想像できず、いや、想像することもせずに、自分の考えていることだけを話したり、相手の嫌がる質問をしたりする人間のことを「KY(空気が読めない)」というではないか。
まず頭を下げるというのは、決して「非を認める」ことではない。非を認めるかどうかは、理屈の結果である。まずは、感情の高ぶりを抑え、その上で、徹底的に論理的に事実を追求し、責任の所在を明らかにしなければならない。「相手の言いなりになる」必要もない。そのことと、最初に頭を下げるということは、目的がまったく違う。
「人は、起こしたことで非難されるのではなく、起こしたことにどう対応したによって非難される」
まずは、冷静に状況を考える。そして、想像力を働かせ「相手の立場に立つ」ことだ。そうすれば、そうでないよりも、ましな対応ができるだろう。
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン