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表現を磨けば本質を理解できる

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営業として現役だったころ、旧三洋電機をお客様として担当していたことがある。エアコンを作っていた事業部で、配線の取り回しを簡素化し、作業時間の短縮と原価低減を図ろうとの検討がされたという話を聞いた。

わたしも見せていただいたことがある。その配線の取り回しはみごとだった。整然と配線され、機器内の構造物と一体化していた。職人技とでも言うべき、乱れのない、そして、撚りのない配線に、私は美しさを感じた。

しかし、このような美しい配線は、手間のかかる作業だ。もっと簡素に作業すれば、作業時間を短縮できる。配線だから、機能に違いはない。過剰品質ではないかという議論もあったという。

しかし、結局、その作業に手をつけることはなかった。詳しい事情は覚えていないが、そうでないこと自体を受け入れられない、理屈を越えた空気のようなものがあったのだという。

工場の方が、「そんな日常の当たり前が、私たちのモノ作りの基本にあるんですよ。品質は、そんな現場の当たり前の結果です。必ずしも厳しく管理されてできるものではないんですよ」との話を伺い、なるほどと感銘を受けたことを記憶している。

私もまた、自分の資料作りに、私なりのこだわりがある。そのポイントのひとつは、「一瞬のわかりやすさ」だ。細々と理屈を積み重ねて説明しなければ、わかってもらえない内容を、どうすれば、一枚のチャートだけで、瞬時にわかってもらえるようにできるか。パワーポイント上に配置されるボックスの形や色、左右上下の位置関係、それぞれの内容に応じた色分け、空間の均整と間の取り方などを考えながらの資料づくりは、必ずしも生産性の高いものとは言えない。一度書き上げても、もう一度見直すと、何かしっくりこない。改めて、全体のバランスを考えながら、配置や形、色を調整する。

スクリーンショット 2015-03-24 9.03.49.png【明日の「ITソリューション塾」で使用する講義資料の1枚】

「そんなことに時間を割くなんて馬鹿なこと。もっと中身を考えることに時間を割くべきだ」と、人に言われることもある。しかし、中身と表現とは表裏一体だ。表現をわかりやすくしようとすると、中身というか、本質というか、それは何だろうかと考えなくてはならない。

一見複雑で、漠然としていることを、相手にわかりやすく伝えようとすると、伝えたいことの本質を考え、その要素をバラバラに因数分解して、自分の言葉を紡ぐ。そして、これをどう並べれば、相手は理解できるだろうかと考える。

何色を使い、画面のどこに配置すれば、思考に無駄な雑音を発生させることなく、すっと相手に伝わるだろうかを考える。

資料の順序も大切だ。「自分は分かっているからこの順序で大丈夫」ではなく、分かっていない人の思考プロセスを想像し、その順序を考えてゆく。そうすると、なるほど!と思える展開が見えてくる。

表現を追求することは、中身を徹底的に理解しようとする取り組みでもあるのだ。

あの旧三洋電機のエアコンも、本質を追究してゆくと、もはやこうせざるを得ないというカタチになってしまったのだと思う。それが一番いいコトかどうかはともかくとして、そうでなければ自分が、納得できない。それは、結果として、見た目にも美しいものに仕上がってしまうのだろう。

効率は悪いかもしれない。自己満足かもしれないし、過剰品質かもしれない。しかし、その追求をやめることは、もはや気持ちが悪い。

「さあみていろよ。なるほど!と、相手をうならせる資料を作ってやるぞ」と燃え、その一方とで、「今日中に間に合うだろうか?」と不安がよぎる。

仕方がない。気持ち悪さを残したままのプレゼンテーションは、結局、後味の悪いものになることは、分かっている。今日もまた、そんな時間を過ごすことになりそうだ

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目次

  • 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
  • 第1章 クラウドコンピューティング
  • 第2章 モバイルとウェアラブル
  • 第3章 ITインフラ
  • 第4章 IoTとビッグデータ
  • 第5章 スマートマシン

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