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良い営業と信頼される営業の違い

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「お客様に信頼される。そんな営業になりたいと思っています。」

営業研修の冒頭、「自分の描く理想の営業とは」という質問に、40代半ばの営業課長から、このような答えが返ってきた。

「ではどうすれば、信頼される営業になれるでしょうか?」と質問を続けた。

「お客様のご要望にすぐに応えること。お客様の相談に親身になってお応えすること。そういう日々の誠実な態度が、お客様からの信頼につながるのだと思います。」。

私は、この方はとても誠実でいい人だとの印象を持った。気負いもなく、とてもまじめな方のようだ。しかし、残念ながら、「いい人」に留まっている。

「いい人」であることは、なにも悪いわけではない。好感が持てて、話しやすく、安心感もある。納期も守り、仕事も丁寧、マメにこちらの要望に応えてくれる。だからといって、それが頼りになる営業かというと必ずしもそうではない

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優秀な営業は、「要望に応えられる営業」ではけっしてない。むしろ、「解決策をお客様と一緒に考えられる営業」だ。これができなければ、ただの「いい営業」だ。

かつてITがまだまだ企業に浸透していなかった時代、ITの活用は企業に、劇的なコスト削減や効率の向上をもたらした。ITを生業にする企業は、そんな変革をもたらしてくれる存在であったにちがいない。しかし、いつしかITは当たり前になり、コモディティとなってしまった。

そんなコモディティ化したITの保守や運営を任され、それで稼ぐことが本業になっていった。それ自体は、何も悪いことではないが、提供するのはかつてのようなお客様をわくわくさせるイノベーションではなくなってしまった。つまり、ITベンダーは、「イノベーションを生み出す会社」から「労働力を提供する会社」へと変わってしまった。そんな状況で、継続的に確実に仕事を獲得するためには、「いい営業」は、最強の営業力となる。しかし、いま再びITにはイノベーションが求められている。

いま、かつての成功体験を抱えた人たちが営業管理者となっている。残念なことに、担当営業が業績を上げられないのは、お客様の要望をしっかりと聞き取る誠実さが足りないためであり、その結果、個人的な信頼関係が築けないことに問題があると思い込んでいる人がいるようだ。

「うちにできない話しを持ってきてどうするんだ。それよりもうちにできることを取ってくるのが営業の仕事だろう。」 

こう言ってはばからない人がいるとすれば、まさにそういう人なのだろうと思う。

  • これまで売れたものが今でも売れるという勘違い。
  • 仕事がとれないのは単金が高いからと言う単純思考。
  • ありものにしがみつく頑なさ。 

確かに、日銭を稼ぐためには、既存のビジネス資産を活かさなければならない。しかし、お客様の期待が変わろうとしている今、営業の属人的な努力だけで、新規顧客の獲得や受注の拡大を期待しようというのは、無理な話だ。

いま、営業管理者に求められるのは、解決策を示すことではない。ビジョンを示し、現場の意欲を高めることだ。「このままではいけない」は、現場もよく理解している。だからこそ、彼らに任せ、考えさせ、答えを見つけさせることだ。

「自分で考えて行動しなさい。」

私は部下にいつもそう言っていますとはばからない人がいる。一見、部下を信頼し、自発性を促しているように見える。しかし、その前提には、これまでの自分の成功体験に照らし合わせ「核心を突いたものであること、意味のあるものであること、正しいものであること」といった基準に照らし合わせ、妥当な範囲内での「自発性」を認めているに過ぎないことも多い。結局のところ、新しいことを評価せず、問題点のみを指摘して、自分の考えで説得しようとする。

「何でできないんだ。とにかく俺が言うとおりやりなさい。」

「そのやり方じゃあだめだ、このやり方でやりなさい。」

「もういい、俺がやる。」

自分の成功体験=過去の成功体験は通用しないという事実を受け入れるべきだ。彼らと同じ目線で「今」を考え、彼らの考えを尊重しなくてはいけない。彼らを信頼し同時に責任を負わせ、自らもその責任を背負う。そんな謙虚さと厳しさこそ、彼らの意欲を高める。

そういう自由を与えられ、「新しい解決策をお客様と一緒に考えられる営業」を育ててゆかなければならない。また、そういう営業をめざさなきゃいけない。

「いい営業」に留まっていてはいけない。それは、本人の意志と努力も大切だが、そういう部下の育て方も大切であることはいうまでもない

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目次

  • 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
  • 第1章 クラウドコンピューティング
  • 第2章 モバイルとウェアラブル
  • 第3章 ITインフラ
  • 第4章 IoTとビッグデータ
  • 第5章 スマートマシン

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