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部下に「危機感」を持たせる方法

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「いくら、営業の育成をしても、中堅管理職がこのままでは、営業力強化といっても、無理ですよ。」

あるSI事業者の役員が、ため息混じりに話してくれた。

営業力を何とか強化しなくてはという思いは、この会社だけではない。そのための努力もしているが、数字に現れてくれない。そんな、焦燥感を募らされていた。

経営者からみれば、彼ら中堅管理者の努力不足を問題と考える。一方、管理者は、経営の無策が原因だと考えている。デリバリーに責任を持つエンジニア部門は、営業が新規顧客や案件をとってこないのが悪いという。営業は、既存のお客様の深掘りに不熱心なプロマネやリーダーたちに原因があるという。

なぜ、こんなことになってしまうのだろうか。

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「危機感が足りない。意識改革が必要だ!」、それが原因だと考える人もいる。

本当にそうだろうか?危機感が強まれば、状況は改善されるのだろうか。そんな簡単なものではないだろう。では、どうすればいいのだろう。

「危機感を持つ」ことがいけないわけではない。問題はその持ち方だ。感情的に、感覚的に危機感というものをとらえても、それだけでは、解決の方策が見いだせない。大切なことは、この危機の本質や業績に及ぼす影響を丁寧に分析し、論理的、数値的に危機の事実を明らかにすることではないか。

今、SI事業は、大きなパラダイム転換の只中にある。この変化の行き着く先には、人月積算型収益構造の崩壊、お客様の期待するスキルやテクノロジーとのアンマッチ、新たな競合の出現などが待ち構えている。

危機感とは、「従来」と「現在」とが、どう変わったかを対比することだ。そして、あるべき姿の「未来」と今ここにある「現在」のギャップを冷静に捉え、受け入れることだろう。

感覚の問題ではなく、論理の問題ととらえること。それを共有すること。危機感とは、そうやって意志づけられる。

感覚的言葉だけで、危機感をあおってみても、混乱を招くだけだ。それぞれに都合のいい解釈をし、自分たちの組織や仕事の変化を最小限に食い止めようとする。それが、混乱を招く原因となっている。

危機感を論理的、合理的に語られれば、あるべき姿は何か、何を目指すべきかは、共有しやすくなる。また、手段をどうするかについて議論は、なくなることはないにしても、あるべき姿を実現するために、どうすればいいかを合理的に判断できるだろう。気に入るか、気に入らないかの感情論は、排除される。

精神論、宗教論として、危機感を醸成するだけでは、危機の本質を見誤ることになる。

危機感は合理的で、論理的であるべきだ。そうすれば、目的は自ずと明らかとなり、人の気持ちも収斂するのではないだろうか。 

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