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手段にしか目を向けていない新規事業など、うまくいくはずはない

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GoogleはもうMapReduceを使わず、より優れた処理系の「Google Cloud Dataflow」を使っている」(Publickeyの記事より)

今サンフランシスコで開催されているGoogle I/Oでこんな発表があった。MapReduceを開発した本家本元のGoogleがこのような発表をするとは、と思われた方も多いのではないか。

HadoopもHadoop2となり、MapReduceとは異なるDAGベースの新しい処理方式への移行がすすんでいることを考えれば、当然とも言えるが、改めBig Dataに関わるテクノロジー進化の加速度の速さに驚くと共に、興味が尽きない。

ところで、Big Dataという言葉が、世の中でこれほどまでに注目されるようになった背景には、デジタル・データの爆発的増大がある。Wikipediaには次のように書かれている

「情報収集モバイル装置、空間センサー技術(リモートセンシング)、ソフトウェアログ、カメラ、マイクロフォン、無線ID読取機、ワイヤレス・センサー・ネットワークの普及」

しかし、データそのものの増大以上に、それを扱うソフトウェアであるHadoopやNoSQLの出現とその進化に寄るところが大きいのではないかと思っている。つまり、データがいくらあってもそれを扱えなければ、存在しないと同じであり、それを扱えるようになったからこそ、Bid Dataという存在が認識されるようになった。ソフトウェアばかりでなく、CPUやメモリー、ストレージなど、ハードウェアのコストパフォーマンスが向上し、低コストで膨大なデータを扱えるようになったことも理由として挙げられる。

いずれにしろ、ITの世界は、このようなイノベーションが絶え間ななく出現し、それを繰り返している。ITのもたらす価値の本質は、この普段の変化と革新にあるとも言える。

ITビジネスとは、この変化と革新を、どのように顧客価値に結びつけるか、ということに他ならない。その本来的価値を追求しないビジネスは、時代の変化にいつまでも翻弄され続け、やらされるだけの、儲からない、こき使われる仕事へと自らを貶めてゆくだけのことになる。

このようなITの変化と革新は、手段であるソフトウェアやハードウェアが注目されることが多い。しかし、そこには理由かがあることを忘れてはいけない。

「なぜこうしたものを作ったかといえば、それは我々自身がこのようなものを必要としていたからである」(Publickeyの記事より)

これが何かを知ることがとても大切だ。

「必要」が何かに関心を持たずして、イノベーションの価値を理解することはできない。また、その「必要」こそが、変化の源泉なのだと考えなくてはいけない。

クラウド、仮想化、Big Data、ソーシャル、IoTなど、様々なテクノロジーのイノベーションは、必要が生みだした。そして、その必要が、価値観、ライフスタイルやワークスタイル、人と人との結びつきを変えてゆく。これこそが、イノベーションのもたらす本質的変化であって、ITビジネスとは、この本質的変化に向き合うことである。

手段への対応だけでは、力仕事であり、下請けであり、いずれは、体力勝負の消耗戦へと自らを追い込むことになる。そうではなくて、この本質的変化に対応することこそが、市場を作り、成長を支える。「新規事業」とは、この本質的変化への取り組みでなければならない。

Googleの今回の発表を見て、あらためて彼等の「本質を見る目」の鋭さを感じている。私などの素人の凡人に、この「本質的変化」を生みだす力などないが、それが如何なるものかを見極め、どのような「本質的変化」が起ころうとしているのかを考える努力だけは、続けてゆかなければいけないと思っている。それは、ITビジネスに関わるための最低限の基本動作ではないだろうか。

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