ブルース・ロックとそうじゃないロックの境界線
シンコーミュージックから発売されている『ディスクガイドシリーズ 21 BLUES ROCK』という音楽本をとうとう手に入れた。このシリーズは、いろんなジャンル別に、そのジャンルを代表するアルバムを解説してある貴重な音楽本で、僕の愛読書の一つになっている。
パラパラとページをめくっているだけで楽しくなってくる不思議な本で、音楽には聴く以外にも、見たり読んだりする楽しみ方もあるということを教えてくれる。
このディスクガイドシリーズ、ブルース・ロック編だけなぜか買うタイミングを逃していたのだが、先週末に有麟堂横浜ルミネ店で発見。そして、当然迷わず購入。何と言っても、ブルース・ロックだけわざわざ一冊の本にして発売するという心意気が嬉しい。
このブルース・ロックというジャンル、ハードロックよりもよりブルース色の濃いロックを指していて、1960年代後半から1970年代前半にかけてがピークだ。たくさんの素晴らしいバンド、アーティストがいて、現在のロックにも大きな影響を与えている。
また、ブルース・ロックのことを、黒人が演奏しているブルースに対抗してホワイト・ブルースと呼ぶ場合もある。でも、僕はこのホワイト・ブルースという呼び方が嫌いだ。ブルース・ロックという呼び方の方がしっくりくる。
問題は、ブルース・ロックとそうじゃないロックとの境界線だ。実は、この二つを明確に線引きすることは意外に難しい。なぜなら、ロック自体が本来ブルースにかなり影響を受けている音楽だから。極論すれば、どんなロックでも多かれ少なかれブルースの影響を引きずっている。両者を分けているのは、程度の差だけなのだ。
ただ、この難題に関しても、『ディスクガイドシリーズ 21 BLUES ROCK』は明快な解答を出してくれている。レッド・ツェッペリンを例にすると、ファースト・アルバムはブルース・ロックで、それ以外はハード・ロックという分け方。この境界線の引き方に、この本のポリシーが現れているような気がする。もちろん異論がある人もいるだろう。
反対にちょっと疑問に思ったのが、ジミ・ヘンドリックス、ローリング・ストーンズ、オールマン・ブラザース・バンドが外れていたこと。アルバムによっては、個人的に取り上げてもいいと思うような作品がある。やっぱり、ブルース・ロックとそうじゃないロックの境界線は難しい。
ちなみに、『ディスクガイドシリーズ 21 BLUES ROCK』は、アーティストをUSとUKに分けて紹介しているのだが、先にUKを取り上げている点もいい。ブリティッシュ・ブルースが後のブルース・ロックの発展に果たした功績を考えれば、この順番もうなずけるから。