体調の悪さを見て、内科受診していただいたら1か月で回復した症例
「おっとっと、危ない、危ない」
奥さまの腕にしがみつくようにしてヨロヨロしながら入っていらしたのは、父の代から通っている80代男性Yさん。
体格が良く、先週までは
「よっ、また来たよ」
といつも飄々とした感じだったのに、この1週間で急に足がふらつくようになって奥さまの助けがないと歩くこともできなくなっていました。
治療台のイスへも奥さまと私とで後ろから腰を支えてようやく座ります。
「歳のせいだねえ」
Yさんは困った顔でおっしゃいますが、これはおそらく歳のせいとは言い切れません。
脳か、または心臓に何かが起こっている可能性があります。
こうした専門外の病気を歯科受診がきっかけとなって発見されることはよくあります。
入れ歯も急に装着できなくなったとのことで、歯科専用の入れ歯安定剤で歯グキと合わせました。
しかしここからが本題です。
「今すぐに、かかりつけの内科に行ってください。これは緊急です」
とお伝えしました。
── そして3か月後
「よっ、また来たよ」
あのいつもの飄々としたご様子。
今回は、奥さまは後ろからついていらしてるだけ。
Yさんはすっかり回復していました。
前回からの経緯を教えていただくと、かかりつけのクリニックからすぐに救急車で都心の大病院へ転院。
検査の結果、脳も心臓も「異常なし」。
しかし毎日飲んでいる薬に担当医師が注目。
7種類飲んでいた薬を5種類に減らしました。
すると1か月で、すっかり回復したのだそうです。
手術も入院も必要なくて本当に良かった。
とはいえ当院に長年通ってくださっていたから私も変化に気づくことができたのだと思います。
体調の急激な変化は体に何かが起こっているという信号です。
「この程度で救急車なんか呼んだら悪いかも」
「歳のせいだから」
と思わず、かかりつけの医師にまず相談してください。
あまりにも急激な変化でしたら迷わず119番です。
場合によっては今回のように歯科医師でも微力ながら役立てることもあります。
ちなみに今回のYさんの歯グキと入れ歯を安定剤で合わせる治療は保険治療1割負担で約1,000円でした。(治療費は症状により個人差があります)。
https://www.ireba-ito.com/→いとう歯科医院