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バネを締めたら、入れ歯がピッタリした話

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「入れ歯がパカパカするんです」
そう訴えるのは60代男性のHさん。

部分入れ歯がパカパカするのは残っている歯に引っかける金属のバネが緩んでいることが原因であることが多いのですがHさんの口の中を覗いたとき、予想外の歯の状況に私は口には出しませんが「あっ」と思いました。

歯が大きく欠けていてバネが全く合わなくなっていたのです。
バネで歯を左右から挟むようにして入れ歯を固定していました。
ところがこのバネの右側の1本が、歯が欠けているせいでどうやっても歯に接触させることが出来なくなっています。

通常であれば、かぶせもの等で歯の形を回復してからバネを合わせるのがセオリーとはいえ患者さんは今、困っています。
今すぐ解決する必要がありました。

そこでセオリー通りではないものの、もう1本の左側のバネを大きく曲げて、欠けた歯と合わせてみました。
90度ほど曲げて引っかけるというよりも「回りこむ」ようにして歯とバネを密着させました。

「あっ!これならパカパカしません!」
Hさんは笑顔でおっしゃってくれました。
1週間ほど様子を見たところ、このまま使えそうです。
欠けた歯も痛くないとのことで治療終了となりました。

歯科の世界もコンピューター化や精密化が進んでいます。
今回はその流れに逆行するような、金属バネをプライヤーで強引に曲げて残った歯に無理やり合わせるという、なんとも原始的で荒っぽいやり方ですが、それが功を奏する。
入れ歯の治療ではまだまだこうしたケースがいくつもあります。

https://www.ireba-ito.com/→いとう歯科医院

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