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「入れ歯専門の歯医者」が実際の症例と治療、治療に対する考え方を紹介する記事を中心に書いていきます。

■ 大切にしてほしい心の声

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「ええっ! なんで?」

患者さんは疑った。
私もまさかそんな乱暴な歯医者さんはいないだろうと思っていました。
でも患者さんは真剣に訴えています。

「なんの問題もない歯を抜かれてインプラントにされそうなんです」

口の中を拝見すると患者さんの言葉どおり、どの歯も虫歯もなく、揺れもなく、これといった症状もなく、どうみても抜くような問題のある歯は私の目には一本も見当たりません。

こんな健全な歯を抜こうとしているのか。

「人の歯をなんだと思ってるんだ!」私は心の中で叫びました。

その患者さんは、すでに抜けている部分に当院で小さな入れ歯を作っただけで治療は終わりました。

もちろん保険治療の適用範囲なので費用は数千円です。

歯科医師は治療を成功させるためには、細心の注意をはらい、かつ適切な判断力が求められます。

私たち歯科医師は歯を抜く、または削るといった一般の人にはできないことを行える資格と技術を持っています。

なんといっても大事なのは専門知識と技術の使い方です。

第一に大原則として挙げられるのは無意味に歯を抜かないこと。

ところが歯科医が「歯が揺れているように見えた」と言えば、患者さんは抵抗できません。

歯科医が抜こうとしているのが「なんの問題もない歯」であることを患者さん自身がよくわかっていても。

そうなれば疑うのは当然です。
「ええっ! なんで?」と思っても不思議ではありません。
当然の反応です。

だれだって、なんの問題もない歯を突然抜くと言われたら「ええっ! なんで?」と疑うに決まっています。

もちろん例外もあって、表面的になんの問題もないように見えても実は問題を抱えている歯だったということもあります。たとえば歯の内部が虫歯になっている場合などは外から見ただけではわかりません。

それでも少しだけ歯を削ってみたら中が大きな空洞になっていてボロボロと虫歯の破片が出てきたとか、だれがどう見ても納得できる状態になっています。もしそうなら、患者さんに現状を確認してもらったうえで抜歯をすすめても歯科医に対して疑いを持つことはありません。

しかし、そうした症状でもないのに、専門用語を並べ立てられて抜歯を宣告されたとしたら患者さんは困惑するだけです。
もしあなたがそんな状況になったら歯科医にそれ以上触らせないほうが賢明です。

ちなみに患者さんが抱いた「ええっ! なんで?」という反応ですが、同じように私たち歯科医師も「ええっ! なんで?」と思うこともあります。とくに高額な自費治療を施術した歯を見たときによくあるのですが

「ええっ! なんでここに無意味なインプラントがあるの?」
「ええっ! なんでこんな修理ができない金属床入れ歯にしてるの?」
「ええっ! なんでこんな難しい咬み合わせの人に調整困難なセラミックブリッジが入ってるの?」

など例を挙げたらキリがありません。

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患者さんだけではなく、私たち歯科医師も常に「ええっ! なんで?」との心の声を聞き逃さないようにしています。

同じように患者の立場に立つあなたも、歯科医師と相談しながら自分の心の声を大切にしてほしいのです。

当院では治療を開始する前に、患者さんとの間にあるべき
「この歯科医師の治療なら大丈夫」
「この患者さんにはこの治療が最もふさわしい」
という相互の信頼関係をとても大切にしています。

高額な自費治療を一方的にすすめることもしません。
多くの症例は保険の範囲内で対応できる入れ歯の治療で改善できます。

当院の基本的な方針は、お互いに心から安心できる関係を築くことが第一と考えます。
そのために適切な判断力を発揮できるよう日々勉強しています。

西荻窪 いとう歯科医院ホームページhttps://www.ireba-ito.com

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