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「入れ歯専門の歯医者」が実際の症例と治療、治療に対する考え方を紹介する記事を中心に書いていきます。

普通の入れ歯が入れられないので、最小限の大きさの入れ歯を作ったら、入れられるようになりました。

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「入れ歯を入れなければ、と頭では分かっているんですけど...」50代女性のNさんは泣きそうな顔でいらっしゃいました。

 入れ歯を使えないのが悩みです。自分の歯が数本しかないので必要なのは本人も自覚していました。でも違和感がすごくて外してしまう。
 カバンから取り出した入れ歯はよくできています。必要な部分をよく覆って、噛み合わせも安定しています。歯科大学で学んだ教科書に載ってもいいような出来映えです。
 私も普通に作ったら、このような形を目標にしていたでしょう。

 しかし入れ歯で最も大事なのは教科書どおりに作ることではありません「患者さんが使えること」です。教科書を無視していいわけではありませんが、その想定を越えるような症例は、いくらでもあります。

 フルサイズで作ると自分の歯を含めて合計14本にそろえるのが理想ですが大きすぎて装着できません。小さく作るしかない。そこで合計で6本という学術的な常識では考えられない入れ歯を作ることにしました。患者さんにとってツラくない大きさです。

 1か月後に拝見したところ歯グキの若干の痛さを訴えました。きちんと装着しているからこそ起こる症状です。
 調整して改善したNさんは「入れ歯が使えるようになって良かったです」とおっしゃってくださいました。

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