オルタナティブ・ブログ > 杉並区「入れ歯専門の歯医者さん」今日の出来事 >

「入れ歯専門の歯医者」が実際の症例と治療、治療に対する考え方を紹介する記事を中心に書いていきます。

合わない入れ歯を張り替えて使えるようにしました。

»

「あの先生がいらっしゃれば......」
Kさん(80代女性)の悩みは総入れ歯が簡単にはずれるようになってしまったことです。調整したくても50年以上前からお世話になっていた先生が高齢のため引退されてしまった。
 
仕方なく他の歯科医を何軒も受診して、言われるがまま新しく作り直していたのですがどれも違和感が強くて入れることすらできなかった。なんと使えない入れ歯を3つもお持ちでした。

しかし、運のいいことに長年使い慣れていた入れ歯が残っていたのです。それは丹念に修理や張り替えなどの調整を何度もなされていた、私がお手本にしたい入れ歯でした。

他の歯科医はお手本を見もしないで新しい入れ歯を作り始めたそうです。
今回の治療は、昔の先生のやり方を踏襲して入れ歯のベースを張り替えることにしました。床裏装といって保険治療で普通にできるやり方です。
 
調整すると口を開けても、歯ぎしりをしても、入れ歯は安定しています。
「本当に来た甲斐がありました」とKさんは笑顔で帰られました。

入れ歯を見れば治療方針が決まる。最新の治療の勉強も必要ですが、患者さんの歴史を振り返ることの大切さを再認識した出来事でした。

Comment(0)