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ユーザにとっての使い勝手のよいITについて考える

雲のむこうではなく、近所のシステムがいい?

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最近ASP/SaaSではなく、クラウドというキーワードを聞くことが多くなりました。
当社もサービス開始当初はASPと言っていましたが、その後「SaaS型」と説明するようになりました。最近はクラウドアプリケーションと言われることもあります。

そのクラウドなのですが、以前と比較してかなり導入期に入ってきたのではないかと感じています。
以前の商談では、そもそもASP/SaaSである理由、メリットデメリット、セキュリティリスク等、当社サービスとは違ったところでの話に時間を割かれることが多かったのですが、今年に入った頃から、その時間が極端に短くなってきていると感じています。
従来は担当者が十分理解して、その内容を決済者(経営陣)に分かり易く説明する必要があったと思いますが、最近は、担当者の理解がすすみ、また、経営陣にも理解者が増えているのではないかと思います。

先日の商談でも話題にならなかったので、私の方から「御社ではデータを社外のサーバに預けることに対する懸念や議論がありますか?」と聞いてしまいました。担当者は当然のように、これからは自社でシステムを抱える時代ではないでしょう。と答えて頂きました。
その一方で、最初から「セキュリティリスクを考慮すると、当社の場合は自社にサーバを配置したいのですが、可能ですか?」と切り出される企業様もいらっしゃいます。
どちらの企業様も、既にASP/SaaSについては十分理解して、自社のシステム運用を考慮に入れ、導入方針が十分議論されていると感じています。

いよいよ普及期でしょうか。
いやいや、まだそう思うのは早いのでしょうか?

実は私は、いろいろ宣伝されているクラウド的な導入が普及するのは業種業態、システムのカテゴリーに依存するのではないかと考えています。

すべてが一律に、電気ガス水道、IT・・・ではなく、雲のむこうでもないということになります。


導入期の手応えを感じながら、ASP/SaaSで業績を順調に伸ばしている企業様の経営者の方とお話する機会があり、共通して感じている点があります。

1つ目は雲の向こうではなく、あくまで近所づきあいと例えるべきか、徹底的にシステムをバージョンアップする、またはカスタマイズするというスタイルです。実際にシステム導入すると、当然標準化しやすい業務機能もあるのですが、その反対である機能もあります。会計は前者のように思いますし、後者では人事系の勤怠集計や販売管理アプリケーションというと企業の独自色がかなり出てくるのではないでしょうか。
電気ガスのサービスはサービス内容が変わることもないですし、一般家庭ではニーズに違いもそれほどはないのですが、後者の場合はニーズが多様化しているので、やはり単一的なサービスに置き換えることが難しい部分があります。

2つ目は、単純なシステムサービスに終始せず、なにかマッシュアップされた利便性を提供している場合です。名刺の代行入力や、総務サービス(会計の記帳代行や給与計算代行など)のアウトソースと連動するなどの例があります。
また、当社のサービスでも会計事務所の税理士の先生が顧問先との情報共有、画面共有サービスで会計サポートを行う場合もあります。社労士の先生が給与計算を行っている例もあります。


単純にパッケージ機能をインターネットで利用できるようにしただけでは、なかなか他社との差別化が難しく、さらには、SaaSの方がコスト高になる可能性もありますが、上記の2つの例のように、SaaSでしかできない(利便性が飛躍的に高まる)場合には導入はより進むのではないかと思います。


当社で言うと、1つめの徹底的にバージョンアップすることを戦略としています。そのため、ユーザ様との接点は非常に多く、昔で言うと近所の電気屋さんのようなコミュニケーションスタイルをとっています。

何が正解なのかは今後時間とともに明らかになってくるとは思います。
しかし確実に導入期になっているところは楽しみです。

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