貧富の差はあるほうがいいのか?
ふと、
Necessity is the mother of invention.(必要は発明の母)、が真理だとすると、逆に必要のないところにはイノベーションが生まれない。
つまり、お困りでないところに、ソリューションも、課題解決型のビジネスもいらない。
みんながのんびり幸せに暮らしている国があったとしたら、そこに創意工夫や、新しい産業や、ビジネスチャンスは出てこないということか。。。
実は、よくラオスについて、外国人もラオス人も半分本気、半分冗談で、ラオスは"みんな幸せ"なのが、問題だ。
などと言ったりします。
いわゆる後発開発途上国(LDC: Least Development Country)、別の言い方では最貧国などとも呼ばれるラオスですが、貧困や飢餓に苦しむというイメージとは違う姿をしています。
また、「温暖で肥沃な土地の恵みがあり、あくせく働かなくても飢えて死ぬことはない」と言われたりも。
そして、親戚同士や村の共同体、見知らぬ間同士でも、助け合いの精神に富み、例えば、おなかをすかせている人がいたら、自分はおにぎり一個しか持っていなかったとしても半分差し出すような風土があります。
ある意味で、必要最低限の衣食住が満たされている同じような富の水準の人で構成された平和な社会かもしれません。
ラオスは、社会主義の体制をとっています。
日本人が社会主義と聞くと、息苦しい管理社会を想像しますが、そういう負側面ではなく、ラオスは社会主義のプラスの側面と相性がいい民族性なのかもという気もしています。
しかし、
「みんな貧しいからみんな幸せ」と言われていた時代が終わろうとしています。
2000年頃には300ドルちょっとだった一人あたりGDPは、近年2500ドルを超え、首都ビエンチャンに限るとその数値は5300ドルで、これはハノイやホーチミンのそれを上回ります。
街には新車が走りまわり、おしゃれなカフェが軒を連ねる。
経済発展の素敵な面がどんどん顔を出しています。
一方で、社会における所得分配の不平等さを測る指標とされるジニ係数はじわじわと上がってきていて、つまり、貧富の差が広がっているのも事実。よくある幸福度指数のランキングも低下傾向(特に幸せの実感度などで)にあります。
一般的に考えると、貧富の差が広がるのは好ましいことではないでしょう。もちろん、ラオスでも。
しかし、逆の捉え方をすると、ある程度富に対するあこがれのようなものが芽生えたほうが、「発明の母」の居場所が増えるかもしれないとすると、貧富の差というのもわるくないのかも?と。
もともと、アメリカンドリームは、新興の地で努力と工夫によって富を得るものでした。
ちょっと違うかもしれませんが、社会主義+新思考経済の中で、富裕層があこがれのライフスタイルとしてのロールモデルになれば、いろいろなイノベーションやビジネス機会が生まれるのではないかと思うのです。
Laotian Dream?
ピンチはチャンス。
ピンチというほど困窮していなくても、擬似的にピンチととらえてチャンスに変える。
ラオスもそういうフェーズにきているような気がしています。
そして、それは他の国の話ではなく、日本にとっても今は同じような正念場ではないかと思う次第。
そこそこなんとかなってるからとたかをくくっていると、茹でガエルになってしまうかもしれません。
私のラオスとのきっかけは、これから変革の時を迎えるはずのラオスが、経済的な成長と幸福さをどう両立していくのか、そこから日本の将来に向けて学ぶことができるところがあると感じたからです。
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今朝のラオスの新聞に、建設業の労働者がとても不足しているという記事がありました。
建築プロジェクトが増加していることもありますが、建設現場に出かけるより銀行の快適なオフィスで座っているほうがいい、そんな雰囲気で、大学で経営管理が人気の専攻だったりで、人材不足になっています。
特にあくせく仕事してもしなくても結果があまり変わらない社会では、楽なほうがいい。難しい建築工学を勉強して、そんなにいい仕事にありつけないのだとしたら。現場で汗をかかなくても、食べるのには困らなければ。
他の新興国では、学生や若い人が建設系のエンジニアになりたいと言っているのをよく聞きます。売り手市場で、建設エンジニアになればいい給料がもらえるというのがあるそうです。
ラオスでも、建設だけでなく、ものづくりや、これからは農業などにも同じようなトレンドがくるでしょう。
より豊かな生活(いい意味で)を求めようとする、それが本質的な幸せにつながる、そうしたWANTSやNEEDSが顕在化して、社会のイノベーションが実現するとすると、貧富の差があったほうが健全なのかも。
そんなことを考えました。
(公正さが担保されている環境で、適正な範囲で、という前提ですけども)
*関連して、Facebookページにも書きました。リンク先もご覧いただけますと幸いです。
Lao-Japan Gateway
https://www.facebook.com/laojapangateway/photos/a.1970095963210850/2384532831767159/?type=3&theater