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情報格差などがもたらす情報社会の問題について考える

情報格差の解消方法(1)

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解消方法には、大きく分けて、以下の3点があると考えている。

  1. インフラ面の整備
  2. コンテンツ面の整備
  3. サポート面の整備

 インフラとは、インターネットなどのメディアの情報の流れの構造のことで、ここを整備することで、情報の流れを必要に応じてスムーズに流すようにする。

 コンテンツとは、情報の表現方法のことで、アクセシビリティやユニバーサルデザインなどを含めて、情報の伝播の障壁を取り除くようにする。

 サポートとは、情報強者が情報弱者を救済することで、インクルーシブデザインなどの手法で両者にとってもメリットのある情報環境をデザインしたり、アフォーダンスの手法で、すべての人に情報が自然な形で行き渡るような情報環境をデザインしたりなどの色々な方法により、格差を埋めるサポートを実施する。

前の記事(★情報格差とは )では、情報格差の原因として以下を挙げた。

  1. 組織・人脈のつながりの強弱
  2. 地理的な遠近
  3. メディアの特性の差異
  4. メディアリテラシーの差異
  5. 情報リテラシーの差異

今回は、1の組織・人脈のつながりの強弱について、具体的な考察を進めてみたい。組織などの人のつながりでは、以下の2点のアプローチがある。

  • トップダウン・アプローチ
  • ボトムアップ・アプローチ

 トップダウン・アプローチでは、集団全体のパフォーマンスが一番大きくなることを目標として、情報の流れを設計する。具体的には、階層や役職ごとに必要な情報、不要な情報があるので、それぞれをフィルティングする仕組み、伝播する仕組み、共有する仕組みをインフラ側から設計する。組織の中では、情報リテラシーを含む能力を勘案した役職・地位が決まると思うので、インフラの整備がとりわけ重要になってくる。多くの場合は、CIOがこれを担うと思うので、トップダウンが適していると考えた。それに伴い、人によっては情報量に差が生じるが、それぞれの能力を十分に発揮できる環境がそろい、すべての構成員が同じ目標に向かって進むことが可能になる。

 ボトムアップ・アプローチでは、すべての人がハッピーになれるようなことを目標として、情報の流れを設計する。情報格差は、経済格差などの他の格差の原因にもなるので、まず、情報がフラットに行き渡るようにする。こちらは、インフラよりは、コンテンツやサポートが重要になってくる。こちらは、前者とは違って、伝播するのに望ましい情報が、情報リテラシーに規定されない。このため、情報リテラシーが処理可能な情報と伝播することが望ましいとされる情報の間にギャップが生じる。これを埋めるために、コンテンツやサポートの整備が必要になってくる。

 情報弱者は、以下の2つのパターンに分かれる。

  1. 自分はどのような情報が足りないのかを意識していない
  2. 情報不足を意識しているが、どうしたら良いか分からい。また、情報を吸収しようと努力したが何らかの原因によりできていない

 感覚的な話しになるが、どちらかというと前者の方が多いと考えている。前者の場合は、どういう情報が与えられたらハッピーなのかは、周りの情報強者が判断しないといけないため、難しいものがある。情報弱者の潜在的な情報のニーズを掘り起こすことができるインサイト・気付き・関心がないと、コンテンツやサポートの整備は難しいと考える。
 逆に、後者の場合は、情報強者と情報弱者のつながりがあれば、そのなかで格差を埋めることができると考える。そういう意味で、情報強者と情報弱者の接点を形成していく取り組みは重要だ。例えば、PC教室とかで情報リテラシーを埋めるための自己啓発の場で、色々な情報収集・分析・発信などのノウハウを身につけることができれば、情報格差が埋まると考える。

 次回は、情報格差の原因の2〜5についての具体的な考察を書く予定。

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