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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

新規事業からいつまでも撤退できない理由

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新規事業を始めて、途中で撤退するということは非常に判断が難しいことです。
しかし、儲かりもしない事業をいつまでも続けていても、
大事なお金を垂れ流すだけで、何の意味もありません。

では、なぜ撤退できないのでしょうか?


A)撤退できない4つの理由

以下の4つが主なものではないでしょうか?

1)いつか成功するという微かな希望があるため。
もう少し、もう少しだけやれば、うまくいくんじゃないかと、
何の根拠もなく思って事業を続ける人は多いと思います。
しかし、根拠があればいいとは思いますが、
何もなければ、すぐに決断すべきです。

2)せっかく投資したお金が無駄になるのが怖いため。
これまで新規事業のために多くのお金と人をつぎ込んだにもかかわらず、
撤退ということになれば、このお金がすべて無駄になってしまうので、
絶対に撤退はできないと考えている人も多いと思います。
しかし、続ければ、もっと無駄なお金が増えるのは明白です。

3)メンツを守るため。
自分の発案や自分の決定で始めたことであれば、
撤退すれば、自分のメンツが潰れてしまうという人もいると思います。
心配しなくても、失敗していれば既にメンツは潰れています。
早期の撤退を決断することのほうが難しいのですから、
撤退の決断をすれば最後の最後にメンツは守れると思います。

4)人間関係のしがらみ。
新規事業に知り合いを含めて、多くの人を巻き込んでいます。
お金も人もつぎ込んでいます。
この人達になかなか撤退は言えませんという人もいます。
彼らは、もう、成功しないことは、
もっとわかっていると思いませんか?


このような撤退できない理由は、
より多くの血を流すことに繋がります。


B)撤退の決断をすべきタイミング

では、事業はどうなったら、撤退の決断をすべきでしょうか?

1)そもそもの重要戦略を外したとき。
事業を始めるときは、例えば法律改正で、
規制が緩和される予定から始めた事業が、
そうでなくったら、やはり止めるでしょう。
電車がここを通る予定だから出店しようとしましたが、
その予定は噂に過ぎなかった場合も止めるでしょう。
このように、事業開始時に重要戦略のひとつとしていた部分が、
崩れた場合には、撤退をすべきです。

2)計画を大きく下回ったとき。
新規事業の計画作りは非常に難しいのですが、
やはり、計画より、大きく売上を下回った場合は、
やはり考えなくてはなりません。
それが続くようですと、もはや目論見が外れていると思っていいのです。

3)スケジュール通り進まず低空飛行を続けているとき
スケジュールでは、だんだんと売上が上がっていく予定でしたが、
まったく上がらず、ただただ経費を食いつぶしているというケースもあります。
もはや離陸は無理です。
それが、その事業の限界値です。

こういうときには、撤退を決断すべきです。


C)撤退計画の作成

しかし、最も重要なことは、新規事業の計画を作る際に、撤退計画も作ることです。
始める前に負けることを考えていると、アントニオ猪木に怒られそうですが、
これは絶対にやるべきでしょう。
戦地に向かうときにも、万が一の撤退を考えておかないと、
絶大な損害を生じかねません。
あらかじめ、撤退計画を作ることは、撤退できない理由で述べたような、
いろんな思いを断ち切るためにも必要なことなのです。

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