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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

市場調査なしでマーケティング戦略は作れない!

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先日マーケティング入門の研修を開いたとき、
「マーケティングとは何ですか?」
と冒頭に受講生に聞いてみると、
「市場調査」
という答えが非常に多く聞かれました。

おそらく、一般的に、
マーケティングと聞くと、
市場調査のことを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか?
市場調査自体はマーケティングのほんの一部でしかないのですが、
マーケティング戦略を作る上での出発点となります。

マーケティング戦略の構築というのは、市場の状態を見た上で、
それに対応した戦略を作り上げることです。
ですから、本来、市場調査なしで、マーケティング戦略はおろか、
戦術レベルのものさえ、作ることはできないはずなのです。

しかし、この市場調査という作業は何気に難しい。
クルマや家電製品、ビールなどは
ネットで調べると結構シェアや各社の売上などがでてくるのですが、
ほとんどの会社の商品・サービスは調べても全く出て来ません。

何とか協会という、その筋の業界の協会があって、
その業界の市場規模を調べているケースもありますが、
必ずしもそのまま当該会社の市場として
捉えられるものではなかったりもします。
つまりは、全く使えないということです。
広すぎたり、狭すぎたり、
当該企業の市場としてストライクにはなかなかなりません。

何年も前のことです。
僕は、マーケティングの本はかなり読んだのですが、
この問題はなかなか解決できずにいました。
そう、市場の定義がなかなかできないのです。
あるとき、ある大学のマーケティング専門の教授とお話する機会があり、
そのことを思い切って聞いてみました。
答えは、目から鱗!!
言われてみれば簡単ですが、
確かにそれでいいじゃないっ!というものでした!

教授に教えていただいたことは、
「市場はその会社独特のものでよい」
「会社で独自に市場を定義してしまえばいい」
ということでした。

1,『市場はその会社独特のものでよい』

例えば、同じクルマを売っていても、
ターゲットが女性だったり、若者だったり、お年寄りだったり、市場は違います。
同様に、同じ業種であっても、会社によって、商品によって、
ターゲットが違うことは往々にしてあることです。
よって、市場は会社独特のものとなり、
同じ市場というのはある意味存在しないと思ってもいいのです。

2.『会社で独自に市場を定義してしまえばいい』

市場が会社独特のものである以上、
市場は会社で定義してしまえばいいということになります。
定義の方法が驚きのものでした!
「競合の売上額を足していくなり、
様々なアプローチで出てきた結果を市場とすればいい」
と言われたのです。
つまりは、必ずしも確かなものではありません。
しかし、それ以外に方法がないのです。

その通りの方法で、私は考えられうるいくつかの方法で、
ある事業の市場を定義していったのですが、
なるほど、誤差もたいしたことがなく、大体の市場規模が掴めました!
当然、何とか協会で発売している雑誌に書かれている市場とは大きな差がありました。
しかし、我が社はそんな広い市場全体では戦っていないのです。
この定義した市場でようやく、自社の存在が見えてきて、競合も見えてきます。
こうして市場を定義してから、
ようやく、どう戦うかの、マーケティング戦略がホンモノになるのです!

やってみれば、大したことはない!

聞いてみると、大した話ではないのですが、
こんなことはなかなか巷の本に書いてあることではありません。

もし、私と同じような悩みで市場調査をすっ飛ばして、
マーケティング戦略をつくってしまっている方がいれば、
ぜひやってみてほしい!!!と思います。

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