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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

No2の仕事論

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組織においてNo2というのは誰のことだろうか?

内閣なら、首相に続く副首相、副首相がいなければ官房長官?
会社なら、社長に続く副社長、副社長がいなければ専務?

では、歴史上ではどうだろう?

「三国志」の蜀なら劉備の軍師である、"諸葛亮孔明"。
「新選組」なら、近藤勇の下に副長として、"土方歳三"。
中国史上最高の宰相と言われる"管仲"もそう。
「銀河英雄伝説」という小説なら、ラインハルトの下に"オーベルシュタイン"。

彼らの仕事は何だろう?
本職、例えば、会計だったり、マーケティングだったりで違うのだろうが、
実際に求められる仕事は、

「会社を組織的に会社たらしめる」

ということであると言えるのではないか?
上記の例で考えてみよう。
孔明は行政だけでなく、軍事においても組織化をし、国というものを作り上げた。
土方は、闘うだけの組織に秩序をとりいれ、組織とした。

組織は、放っておくと、秩序がない。
それは、会社が掲げる理念や目標に賛同して動く社員が、おそらくは皆無だからだ。
では、なぜ、人はそれぞれの会社で働くのか?

『お金がなければ生活できないから』

だろう。
そういう人たちを組織に組み込むのは、大変な仕事だ。
なぜなら、お金だけでつながっている組織だからだ。
その証拠に、会社が傾きだすと、沈む船からネズミが逃げていくように、
経理の社員から逃げ出し、社員がどんどん辞めていく。

しかし、もしお金だけでない繋がりであったら、こんなことにはならない。
新選組は、国を守るという使命感が中心にあった。
会社も、そのために理念や目標があるが、どうしても、
危機感という点では幕末と今では比較にならない、

こういう組織を組織たらしめるのがNo2の仕事だ。

だから、様々な話も飛んでくる。

「あの人辞めるらしいよ」
「◯◯さん、最近モチベーションが下がっているみたい。何かあったのかね」
「◯◯さん、セクハラがひどいみたい」

などなど、それぞれは確かに大事な情報で、
組織維持のためには、何とかしなければならないことだ。
しかし、大局を見なければならないNo2にとって、
この情報は正直些細な部類に入る。
できれば、人事や総務、
それぞれのマネジメントラインに対応してもらえばいい仕事だ。
しかし、情報は重要だ。耳に入れなければならない。

大局的なこと・・・。それは何か?
大きく定義すれば、

◯事業的側面
◯会計的側面
◯経営的側面

に分けらる。
それらをどんどん下に下に仕事を落としていくと、
先ほどのようなセクハラ話も出てくる。
ここでも、孔明で考えてみると、
事業的側面・・・軍事、行政
会計的側面・・・租税
経営的側面・・・国家運営、全体最適、意思決定
ということになろうか?

能力としては、ある意味、組織のTOPよりも能力が高くなくてはいけない。
劉備玄徳が死ぬときに孔明に皇帝になってくれてもいいと言ったぐらい、
圧倒的な能力が必要だ。
上記3つの側面に関わる能力、つまりは、
会計、マーケティング、経営、折衝能力、ビジネス感覚のみならず、
人を知るという意味では哲学的な能力も必要だ。

そして、ときにTOPと闘わなくてはならない。
TOPの言いなりでは仕事にならない。
TOPも人間であり、当たり前にミスもする。
TOPも人の子。判断が遅れることもある、思い込みもある、
意地もある、泣き言もいう・・・(これ以上は愚痴になるから、止めます)
間違ったときに闘わなければ、組織として致命傷になる。
私も多くの喧嘩をしてきた。最近は大人なので、もう少しうまくやるが、
若いころは、かなり闘ってきた。
しかし、この経験があるからこそ、様々な意思決定もできるようになる。

人に嫌われるということも平気でなければならない。
ここまできたら、すべて孔明の例で通すが、
劉備の義兄弟である関羽や張飛から、孔明は嫌われた。
軍師なので、関羽や張飛を使う立場。
安全なところで命令を下す奴としか見えないのだろう。
しかし、ここで、好かれようとへりくだったりしては、仕事にならない。
断固として、超然として、嫌われなければならない。
私も、嫌われてきた・・・本当に嫌われているのか?好かれたいとは思う・・・。
しかし、そういうつらいときには、ブッダや老子などを読んで、
自分の正しい道というのを考え、耐えてきた。
ストレス満載である!

というように、No2の仕事というのは、
多岐にわたり、凄まじい闘いの日々だ。

こういう仕事を目指したい人は、とても変わり者かもしれないが、
これだけのことをやってくれば、何でもできるようになる。
圧倒的な能力を身につけられる。
ある意味TOPよりも面白い、目指して損はない仕事だ。

誰でも、孔明になれる!

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