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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

視点が低い残念な人の事例 グループ本社取締役会でやっちまった取締役Iの場合 ~視点の研究5~

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これはグループ会社であれば、本当によくあること、いや、確実にあることだが、
ある上場しているグループ企業体の本社の取締役会でのことである。

そのグループでは、子会社から何人かが本社の取締役も兼務していた。
組織上、兼務という役割分担はなるべく避けるべきなのだが、
そのグループ会社では、かなりの人数が兼務していた。

取締役会では、子会社それぞれの業績などを確認・議論するのだが、
議論する取締役のほとんどは、参加している他社のことはもちろん、
自社についても議論することとなる。
自分の会社が調子のいいときであればいいのであるが、
調子が悪いときには、当然、他社について議論することに遠慮がでる。
よって、会議は活性化しない。するはずもない。
本当は話さなければならないことも話さずに済ましてしまうことが多々生じるのだ。

ある子会社の取締役Iは、このグループ本社の取締役会に参加していた。
取締役Iの会社は、コンテンツ作成の会社で経済低調の折、
成績は全く芳しくなかった。
他の子会社についてアレコレ話すこともなく、
自らの会社についての説明の順番となった。
「売上は芳しくありませんが、本社へのアウトソーシング料金を抜けば黒字になんとかなります」
と話した。
グループ会社ではよくあることだが、
社長などの本社専属役員はもちろんだが、
経理や人事、経営企画部門などのスタッフ部門を本社におき、
プロフィット部門でないために、グループ会社から徴収するということをやっていた。
こういうグループ体の会社ではよくやる方法だ。

この言葉を聞いたグループ会社社長は激怒した。

「徴収しているアウトソーシング料金は、グループとしてのルールだ。
それを理由にして赤字の責任を回避しようとするというのは、おかしい。
であれば、グループに加入したときから言うべきだし、加入すべきではない。
例えば、グループから借入もしていて、それはどういう活動から生まれているかわかるのか?
経理や財務が資料を作って、銀行と話して、俺が保証人になって、借りた金だ。
そういった保証、活動も引っくるめてアウトソーシング料としてとっているわけで、
それがなければ、仕事に専念なんてできなくて、今頃は金策に駆け回ってるはずだろ」

とまくしたてた。
取締役Iは真っ青な顔になり、その後、一言も発することはなかった。

取締役Iはどう考えるべきだったのか?

・グループはどういう組織構造になっているのかを知る。
・アウトソーシング料金とは何を根拠に徴収されているのかを知る。
・自社の成績が芳しくないのは、どこに理由があるのかを考える。
・成績が芳しくない理由があれば、それにどう対応するのかを考える。
・対応の結果、どうなるのかを考える。

ということを考えた上で会議に出席すべきであった。
ちなみに取締役Iは、きたる役員改選のときに取締役から外されることとなった。。。
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