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「眠れる森の美女」は侮れない

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 昨日、ウォルト・ディズニーStudiosのホームビデオ部門が主催するディーラーコンベンションに行ってきました。新作DVDやBlu-rayソフトの紹介を流通に対して行うのが主目的のイベントですが、一部のプレスも招待されます。

 そのイベントの冒頭、司会のウッチー(内田恭子さん)のイントロで登場した内藤剛志さんが、ディズニーアニメの魅力やアニメ制作会社に勤めるというお嬢さんの話で盛り上げた後、Blu-ray版の「眠れる森の美女」が上映されたのです(一部ではなく、すべて上映されました)。

 イベントではサラリと流していましたが、家庭向けコンテンツを、フルレングスで、恵比寿ガーデンホールに設置した大スクリーン(大きすぎて何フィートぐらいの幅か、見た目ではわかりにくいのですが、ホールの幅いっぱいを使っての投影です)に、しかも映画を見慣れた人たちに見せる、なんてことはDVD時代にはもちろん考えられなかったことです。

 なぜなら、従来の家庭向けの映像(主にDVD)なんて、超大画面の劇場スクリーンに映すと、アラだらけで見れたもんじゃない低画質に見えてしまうからです。それどころか、Blu-ray Discソフトだとしても、マスターの質、圧縮の質がともに揃っていなければ厳しいでしょう。大スクリーンで長時間、映画慣れした人に見せるというのは、それだけ画質に自信があるということなんですね。

 なにしろ、上映されたのは、Disney Classic史上唯一、いやアニメ史上で唯一の70ミリフィルムで撮影(70ミリと言われるシステムにはいくつかありますが、これはテクニラマだそうです)された「眠れる森の美女」。1959年公開ですから、約50年前の作品なのですが、さすがにフォーマットが大きいだけに、素材はすさまじく高画質。

 Disney Classicは「バンビ」の修復でも、その修復技術に驚かされましたが、「眠れる森の美女」に関しても、ゴミ・キズが皆無な上、色も自然な質感のまま見事に復元されていました。

 アニメーション技術に関しても、久々に見ると驚きばかり。24コマフルアニメーション撮影による動きの滑らかさ、すべてのコマが丁寧に描かれている緻密さなども素晴らしいのですが、何より、立体感、奥行き感がセルアニメなのにしっかりと出ていることに驚きました。

 これは、70ミリという大きなフォーマットを用いた上で、ディズニーの巨大なマルチプレーン・カメラを用いて撮影したからでしょうか?以前、ディズニー本社を訪れた時に、第1作目のディズニーアニメ「白雪姫」を撮影したマルチプレーン・カメラが展示されていました。

 マルチプレーン・カメラとは、背景とセルを複数のレイヤに分けて配置し、カメラとの位置関係やライティングを変化させることで、被写界深度や光の回り込みをコントロールすることが可能な特殊なカメラ(というよりも、カメラと絵を配置するための治具のようなもの)です。

 ディスニーが使っていたものは、これがものすごく大きい。天井がかなり高い部屋、それも2階まで吹き抜けといったかなり大きな部屋でなければ入らない大きさです。あの巨大なマルチプレーン・カメラと、70ミリ撮影の恩恵であるとするなら、もうこのクラスの映像は他のタイトルでは見ることができないのかもしれません。

 緻密で滑らかな動きと、細かく書き込まれた美術品のような背景画によって、素晴らしい映像に仕上がっている。しかし、ひとつ忘れてはいけないことがあります。これは劇場用のデジタルシネママスターじゃないんですよ。Blu-rayの市販ディスクで感じ取れるんですから、時代の進歩を感じざるを得ません。

 仕事柄、超高画質のマスター映像には慣れているつもりです。たとえば圧縮する前のフィルムスキャンしたデータをつなげたDIマスターや、CGアニメのレンダリング直後の非圧縮映像なども何度も見ました。ですから、そうそう高画質だからといって驚きはしないのだけど、眠れる森の美女BD版は、その制作時期の古さも相まって、ちょっとしたカルチャーショックを受けるほどの素晴らしさでした。

 アニメ好きならば、アニメの歴史に興味を持っているならば、ディズニーアニメの真髄を感じたいならば、是非、コレクションに入れるといいでしょう。いや、ほんと、驚いたよ。

 実はこうしたセルアニメは、仕事での試聴を除くと、ファーストガンダム以来(さすがに古いよね)、ほとんど見ていなかったのですが、最近、少し興味を持ち始めています。きっかけは、先日、DEGのセミナーで喋った時に知り合ったバンダイビジュアルの方に頂いた、「ストレンヂア -無皇刃譚- (Blu-ray)」という時代劇ベースのファンタジーアニメと、「DOT HACK//G.U. TRILOGY」という作品です。

 後者はまだ未見ですが、前者を見るとアクション映画として十分に楽しめる上、映像面もかなり凝っていて、大画面でのハイビジョン投影でもまったく違和感がない。"日本のアニメはアニメファン向け"で、ちょっと普通の映画ファンは近付けないイメージを少しだけ持っていたのだけど、これならば映画ファンでも楽しめそうです。

 というわけで、少しづつ、アニメも見ていかないとと思っているのだけど、ちょっと値段が高めなのと、(僕自身の)時間が不足していることで頓挫中。見たい実写映画も、溜まりまくっています……。

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