2006年春、デジカメのお話
先月24日から、2週間以上もアメリカ取材。たいへんな事、楽しい事、色々あるけれど、やっぱり体力的にはかなり厳しい。朝から取材して夕食後にスグ仮眠を取って、夜中に原稿を書いて、翌朝からまた取材というサイクルを続けている間はいいけれど、ふとイベントが終わって、さらに一仕事するのに気合いが必要になってきている。
もう少し鍛え直さねば。
前半はこういう仕事(http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/pma2006.htm)をしていたり、後半はIntel Developers Forumがあったり、その間にはダグラス・エンゲルバードさん(ハイパーメディア、電子コミュニケーションなどの概念の草分けで、マウスの原案を考えついた人)のインタビューありと、なかなか中身の濃い2週間ではあった。
どれも興味深いハナシが多かったのだけど、少し気になったのはデジカメ業界の今後。ワールドワイドで見ると、急に市場がしぼむことは無さそう(まだまだ未開拓領域が多い)だけれど、利益をきちんと確保するのが難しい情勢になってきているようだ。
たとえば昨年、ニコンがコンパクト機で予想を上回る大きな利益を出した。これは調達・生産などの最適化で、大きくコストを下げることに成功したためだ。ASPが下がる中でも十分に利益を出せる体制を築けた。
しかし今年はやや厳しいかもしれない。これはニコンに限ったハナシではないが、北米における卸売単価が予想以上に下落しているためだ。前半の取材先であるPMAは商談の場なわけだけど、そこでの関係者の実感として予想より15〜25ドルぐらいは下回っているという。それも、とある大手メーカーが率先して下げているというのだが……。
限られた市場でのチャンス、燃料を、シェア確保のために燃焼促進させているのだとしたら残念。物事にはちょうどいい頃合いというのがあると思うのだけど。深刻な状況へと向かっていかないことを望みたい。
ところで昨年末、個人的には初めてのソニー製カメラとなるDSC-T9を使い始め、ひじょうに満足できていた。サイズ、使い勝手、速度、マクロ性能、手ぶれ補正、液晶の見え味など、穴の少ない機種だと気に入っている。
しかし、これまた久々にキヤノンのデモ機を使ってみたら、う〜ん、これが本当によくできている。本音を言えば、”え?またキヤノンなの?”という感じなのだが、これは参った。と思ったのがIXY Digital 800IS。前の700番に比べるとCCDが小さくなったけれど、光学手ぶれ補正、ISO800対応、マクロ性能強化など大きな進歩。また少しだけど薄くなった。
CCDなんか小さくしちゃって、それでいて型番が後継機に見えるなんて許せん!と思っていたのだけど、これがなかなかISO400と800の画質がいい。ローライトのシーンでは、さすがにノイジーだけど、普通の室内光ぐらいの明るさならば、700番よりずっといい。富士写真フィルムのF30には及ばないけれど、これだけの画質で手ぶれ補正付きとなるとなぁ。
なんかつまんない(キヤノンさん、ごめんなさい)けれど、良くできているわ。今年の春は、この800ISと富士写真フィルムのF30がオススメかな?高感度性能がさほど重要じゃないならば、28ミリ広角対応になった松下のFX01もいい。他のメーカーさんも頑張ってください。
もっとも、800ISに全く不満がない、というわけではない。高ISO対応したなら手を付けなきゃいけないところが直っていないんだな。ということで、不満点も良いところも整理して、記事の準備を始めるかな。