タイのロングステイセミナーに参加してきました。:タイブログ
2011年11月12日(土)にロングステイ財団(http://www.longstay.or.jp/)主催のタイのロングステイセミナーに参加してきました。
ロングステイ財団はロングステイに関する情報を発信し広めるための普及・啓発活動、調査や研究を行っている公益法人です。
ロングステイセミナーとは、海外の1ヶ所に長く滞在して暮らすために、その国の知識や文化などの情報を得るためのセミナーです。
ロングステイと聞くと年金をもらうシニアの方が海外で過ごすことだと思う人が多いと思いますが、ロングステイの定義は年齢問わず2週間以上の期間を海外で過ごす人を表します。
とは言っても、ロングステイ=シニアの方が海外で暮らすというイメージの方が強いように思います。
日本はこれから少子化と高齢化が進み、暮らしにくい世の中になることが予想されています。
データでは2014年に日本人口の4人に1人が65歳以上になると言われており少子化も進むことで少子高齢化社会となります。
そうなると日本にとどまらず物価の安い国へ移住したいというニーズが高まってくることが予想されます。住みにくい国となればシニアの年齢に届く前に海外へ移住される方が増える可能性もあります。
私がなぜロングステイセミナーに行ったのかというと、物価が安い国の選択肢にはもちろんタイが入るわけですが、仮にたくさんの日本人がタイへ移住した場合、どんなことが起きるのか、自分の目で確認しておきたかったからです。
また、チェンライを旅したときにシニアの方から日々のお話を聞き、大変充実した生活をしておられることがわかりましたが、チェンライに限らずタイ全域で同じように充実した暮らし方が出来るのか興味を持っていたからです。
ロングステイセミナー会場は200~300人ぐらいの方でほぼ満席状態となり、ほとんどの受講者が見たところ60歳以上の方のご夫婦ばかりでした。シニアの方の関心の高さを感じますね。
会場風景
セミナー前半ではタイの知識、ビザの種類、交通機関、住居の種類、食事、宗教、生活費、日本人会などの説明がありました。15分ほどの説明でしたが簡潔で分かりやすい内容だったように思います。
セミナー後半ではプーケットやホアヒン、サムイなどのリゾートについての説明がありました。プーケットは欧米人経営のお店が多くチーズやワインなどの欧米食が多くあり、病院で外国人の受け入れ態勢が整っていることなどの説明がありました。(前回のセミナー内容がチェンマイだったようで今回のお話はプーケットが中心でした)
ロングステイセミナーでは実際の暮らしの内容が聞けるかと思っていましたが、初心者向けの解説になっており、私には少し物足りなく感じましたが、シニアの方はみなさん熱心に耳を傾けておられました。
今回のセミナーを受けて感じたことは、ロングステイは誰かに説得されて行くようなものではないということです。
その理由はまず、日本人が異文化慣れをしていないことと、その努力をしてこなかったことです。
ほとんど外国人と接触することなく長い間過ごしてきた世代に、急に外国人に慣れてくださいと言っても無理な話です。今までIT関係で仕事をしてきた人に、明日から美容師として働いてくださいと頼むぐらい無理な話です。
ハサミを持てば髪は切れますが、まともに切れるようになるまでどれだけの労力がいるでしょうか。自発的に努力したとしても、技術の習得に長い時間がかかります。その労力に耐えられるでしょうか。
それから医療や介護の問題があります。バンコクには日本語が話せるスタッフが居る病院がありますが地方の病院では日本語は通じません。
また、バンコクの病院は医療が進んでいますが介護サービスについてはさっぱり進んでいません。
その理由は、タイ人はとても家族を大事にするからです。介護が必要になったら家族みんなできちんと面倒を見ます。金持ちには病院に大金を払って手厚いサービスで介護を実現させる人もいますが、それはほんのわずかな人だけです。
もし介護が必要になったら日本に戻ってくるという選択肢もあるかもしれませんが、せっかく慣れた新しい環境からまた日本の環境に慣れることをしなければなりません。しかも日本に戻ったとしても介護認定に時間がかかり、介護してもらえるまでの手続きや段取りなど長い道のりがあります。
食事の問題もあります。タイ料理が食べられれば問題ありませんが口に合わなければ自ら食材を調達して食事を作らなければなりません。タイで日本食材を買えば高くつきます。
セミナー講師の方が「医食住」として衣→医と表現していました。1番が医療の問題、2番が食事の問題、3番が住居の問題の意味ですが、今回のセミナーを受けてその通りだと思いました。
こうやってネガティブ要素を並べていくとシニアのロングステイは非常に敷居が高いように思いますが、これは「夫婦」で移住する場合に大きな問題になるように思います。
夫婦には2人の世界があり環境を変えることは容易ではありませんが、1人で海外へ移住するぶんには、移住したい国に強い興味があれば問題なくやっていけると思います。
要するにロングステイを検討するときに重要なことは、自由度が高いか、高くないかではないかと思います。
後日、チェンライでとても快適に暮らしているシニアの方々を紹介したいと思いますが、ほとんどの方が「タイへ来てタイ人と出会い結婚して移住する」というケースです。
つまり何か強い目的が発生すると環境に適応しようとするので多少の困難があっても乗り切れてしまうということです。また1人であれば行動も自由に取りやすいということです。
そうは言っても、今後ますますロングステイに関心が高まることは間違いありません。ロングステイの情報発信の回数と質を高めていくことが重要だと思います。
まだまだ情報が少ないので、すでにロングステイされている方の声をもっと発信し、ロングステイのイメージがある程度頭に浮かぶような情報を一般に公開することが出来れば、ロングステイの敷居をさげることにつながると思いました。
最後に、ここはセミナー室の外に設けられたタイ国政府観光庁様のブースです。
セミナー終了後はたくさんの受講者の方がパンフレットをもらいに来ていました。私のように若い人(そろそろ若くないけど、笑)が混ざっていたのは違和感があったことでしょう。
こちらのブースで遠慮なく介護の問題やビザについてなどロングステイについての疑問をぶつけてみたところ、とても親切丁寧にお話をしてくださいました。ありがとうございました。
そしてこの日一番ラッキーだったことは、タイのロングステイアドバイザーの山下様とお会いできたことです。笑顔を絶やさないとても素敵な方です。私は緊張してカブキ顔になっていますが気にしないで下さい(笑)
ロングステイアドバイザーというのはロングステイ財団認定の資格です。研修と試験を受けて合格すれば認定されます。
山下様はタイのロングステイの講師としてシニアの方へロングステイのアドバイスをされている方です。もちろんタイのことは大変お詳しい方です。
また、ご自身で「日タイ・ロングステイ・ネットワーク」を経営なさっており、ロングステイのための視察旅行などを企画なさるなど精力的な活動をされておられます。
私は山下様にも遠慮なくこれからロングステイの需要が増えるのか、どんな需要があるのか、どんな問題があるのかと質問攻めをしてしまいました。
いきなりでさぞ驚かれたことと思いますが(苦笑)さすが長年タイを見てこられた方です。言葉ひとつひとつに頷きたくなるようなお返事をしてくださいました。たくさんお話を頂いた中でも一番印象に残った言葉があります。
「文化は良し悪しではなく違い。ロングステイがうまくいくかは自分の価値観を変えることが出来るかですよ」
先ほどロングステイの問題は医食住と書きましたが、実は心の問題が一番大きいのかもしれません。
それまで積み上げてきた経験の中に、海外に移り住むという経験値はありません。安定して生きることを望んできた人達が180度逆の不安定な生き方を選ぶということはとても抵抗があることだと思います。
そこには、今まで積み上げてきたものがまったく通用しない場面があると思います。だからロングステイでは「安心」を提供することが重要だと山下様はおっしゃっていました。
今回は本当に貴重なお話を聞かせて頂き勉強になりました。ありがとうございました。
もっと詳しいお話を伺いたいと思っていたところ2011年11月15日に行われる山下様主催のロングステイセミナーのお声がけを頂きましたので「日タイ・ロングステイ・ネットワーク」のご活動内容と共に後日レポート出来ればと思っています。
今回色々な関係者の方とお話をして気づいたことは、いつもタイ人と過ごしている方は笑顔が絶えないということです。
’もらい笑顔’とでも言いましょうか。微笑みのタイ人と話していると笑顔がうつるんでしょうね!
30年後はタイに住もうかな~~?
とちょっと思い始めた窪田です(笑)
でもね、私は一人っ子なんで親を置いてはいけないかなって。いつもヘラヘラしていますが、私なりに考えなければいけないことがあったりします。
今回は楽しかったな~。
またタイが好きになりました。
明日もマイペンライで行きましょう。