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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

プロジェクトマネジャーはカーナビ
行ったことがないところに、迷わず連れて行く

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クルマで旅をするときに、あると心強いのがカーナビです。カーナビがあるとなぜ安心なのか。それは「行ったことがないところに、迷わず連れていってくれる」からです。

プロジェクトとクルマの旅は似ています。どちらも「行ったことがないところに行く」のは同じだからです。そして、プロジェクトにおいてカーナビの役割を果たすのが、プロジェクトマネジャーです。

カーナビの主な機能には、このようなものがあります。

  1. 目的地を設定する
  2. ルートを引く
  3. ルートを案内し、進み具合をリアルタイムに把握する
  4. ルートを再探索する
  5. 事故や渋滞に臨機応変に対処する
  6. コンビニやガソリンスタンドを探す
  7. ドライブを楽しくする

カーナビの機能をよく見ることで、プロジェクト管理の「コツ」がつかめるかも知れません。

1.目的地を設定する

クルマでどこかに旅をするときには、かならず目的地ああります。どこに向かうのか、まずは目的地を設定しなくてはなりません。

プロジェクトにもかならず目的地があります。何を達成したいのかというビジョン。そのビジョンを達成するための目標が必要です。どこに行くのかわからなければ、どこにも行けません。

目的地を設定しなければ、どこにも行けないように、プロジェクトのビジョンと目標がなければ、前に進むことはできません。プロジェクトマネジャーの仕事は「目的地の設定」から始まります。

2.ルートを引く

目的地が決まったら、次は「ルート」を引きます。目的地にいくまでのルートは一つではありません。高速道路を使うのか、それとも一般道を行くのか。また、冬なら山道は危険ですから、山道を避けたルートをとるほうがいいでしょう。

プロジェクトにおけるルートとは「プロセス」です。新規性があまり高くないプロジェクトと、新しい技術を利用したり、リスク要因が多い場合とでは、プロセスを変える必要があります。ナビが複数のルートを提示するように、プロジェクトマネジャーは、いくつかの「プロセスを設計」します。

3.ルートを案内し、進み具合をリアルタイムに把握する

目的地を設定し、ルートを選んだら、カーナビは「案内」を開始します。案内ポイントでは、数百メートル前から音声案内や「交差点拡大図」などで、ドライバーが迷わないように誘導してくれます。

そして進行中、カーナビはクルマの位置をGPSで把握しながら、ルートをどのぐらい進んだのかをリアルタイムに把握しています。進み具合によって「到着予想時刻」を、リアルタイムに更新してくれるおかげで「あとどれぐらいで着くのか」を知ることができます。

しかし、多くのプロジェクトマネジャーは、カーナビとちがって「どれぐらい進んだ?」とメンバーに尋ねます。もし、カーナビに「どれぐらい進みましたか?」「いまどこにいますか?」と聞かれたら、そんなカーナビはいらないと思うでしょう。しかし、そんなプロジェクトマネジャーは多いのです。

4.ルートを再探索する

途中で、予定していなかったところに立ち寄りたくなったり、道を間違えたりすると、ルートから外れてしまいます。そんなとき、カーナビは即座にルートを再探索して、案内に戻ってくれます。

一方、プロジェクトマネジャーはどうでしょうか?クルマに合わせてルートを引きなおすのではなく、ルートを守ることが大事だと、元のルートに戻そうとしている人が多いのではないでしょうか。

クルマで旅するのと同じように、プロジェクトにも変更がつきものです。お客様からの要件の変更、想定外のトラブルなど、当初考えていたルートとずれたときには、「正しいルートに戻ってください」とカーナビが言うことはないように、ルートにクルマを合わせるのではなく、ルートを引き直すのが現実的です。

5.事故や渋滞に臨機応変に対処する

カーナビは、事故や渋滞の情報があれば、そこを避けてルートを探したり、すでに走っていれば、ルートを変更してくれます。「この先何が起こるのか」を予想して、トラブルを避けたり、ダメージを軽減してるわけです。

プロジェクトでも、考えられるリスクに対して、軽減策や発生時対策を考えておくことで、いざリスクが顕在化したときに、あわてずに対処することができます。

「目の前」のことだけではなく、「この先何が起こるのか」という予想をもとに対策を立て、行動することが大切なのは、クルマの旅もプロジェクトも同じです。

6.コンビニやガソリンスタンドを探す

途中でトイレに行きたくなった。ノドが乾いた。ガソリンが少なくなってきた。こんなときには、ルートの周辺にあるコンビニやガソリンスタンドを探す「周辺検索」がとても便利です。

プロジェクトで困ったことがあったり、必要な知識が足りなければ、周りの支援をとりつける必要があります。誰に助けを求めるのか、誰が何を知っているのかを把握し、必要なときには支援を求めることが、プロジェクトマネジャーの大きな役割の一つです。

そのためには、日頃から周りとのコミュニケーションと関係づくりが重要です。つながりがあってこそ「周辺検索」が可能になります。

7.ドライブを楽しくする

最近のカーナビは、ただ目的地に連れて行くだけではなく、オーディオ機能も搭載しています。音楽を聞いてドライブを楽しんだり、ラジオを聞きながら会話もできるわけです。

カーナビが目的地までのプロセスを楽しく演出してくれるのであれば、プロジェクトマネジャーがやらない手はありません。ただ、目的地に連れて行くだけではなく、プロジェクトマネジャーがプロセスを演出することで、プロジェクトはもっと楽しくなります。


カーナビは誕生以来、すでに30年以上が経ち、どんどん進化し、便利な機能がたくさん開発されています。しかし、その目的の原点は「行ったことがないところに、迷わず連れて行く」ことです。これはプロジェクトマネジャーも同じです。私たちがカーナビから学べることはたくさんあるはずです。



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