『ハスラー』に学ぶプロフェッショナリズム
プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。
先日、興味深い本が出版されたので、いま読んでいるところです。
■ プロフェッショナルは「客引き」とならなければならない
『ハスラー プロフェッショナルたちの革新』という本です。メインタイトルである「ハスラー」とサブタイトルの「プロフェッショナル」という文言がミスマッチだと感じるかもしれませんが、まさにそのミスマッチこそがこれから求められているというのがテーマです。
「ハスラー」というと、プロのビリヤードをする人を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、ここでいうハスラーとは「客引き」のことです。
訳者は『地頭力を鍛える』で有名な細谷功さんです。細谷さんは訳者まえがきで、プロフェッショナルと呼ばれる人たち(士業、コンサルタント)について、このように述べています。
クライアントや顧客に対して何らかの「変化」を要求するこれらの人々が、往々にして最も変化に対して抵抗を示す
かつて、プロフェッショナルと言われる人たちは、仕事を待っていればよかった。しかし、すでにそんな時代は遠くなり、「ハスラー(客引き)」として、能動的に自らの能力を広報し、営業しなければならなくなっています。
■ プロフェッショナルとして求められる3つの要素
まだ読んでいる途中ですが、そのために必要な要素として、「目立つこと」「熱意を持つこと」、そして「専門知識をわかりやすく示すこと」が挙げられています。
まずは自分の存在を知ってもらわなければ始まりません。さらに、現代ではプロフェッショナルが問題を解決することそれ自体よりも、クライアントのためにいかに熱心に取り組んだかのほうが問われているといいます。
専門知識をわかりやすく示すことは、前のエントリーにも書いた「専門家の説明責任」にも通じる話です。問題を解決できる知識が存在すること、そしてそれはどのような知識なのかをわかりやすく説明する責任は、専門家にあります。
■ 会社とビジネスパーソンの関係はプロフェッショナル化する
他にもこの本では、ソーシャルメディアの活用方法、人脈の考え方など、単なる資格持ちのプロフェッショナルから、クライアントに信頼されるアドバイザーになるための考え方と方法が書かれています。
このような考え方は、士業、コンサルタントだけではなく、ビジネスパーソン全般に必要なものです。それは今後、企業とビジネスパーソンの関係がプロフェッショナル化していくからです。
先日、日本維新の会が公約に「解雇規制の緩和」を挙げて物議を醸していますが、雇用を流動化し、生産性を高めるためには、この方向性は避けることはできないものです。企業とビジネスパーソンの関係は、「雇用」というハードなつながりから、実質的に「契約」というプロフェッショナル的な関わりになっていくのです。
今後の働き方を考えるためにも、読むべき一冊だと思います。
<知識体系 公開のお知らせ>
この本を読んだからというわけではありませんが、ホームページ上で、私の専門分野の知識体系の公開を始めました。
このブログでは、プロジェクトマネジメント、プロセス設計について発信していますが、ブログという性質上、知識や情報が断片的なものになりがちです。そこで、ホームページ上でそれらの知識を体系化し、読者のみなさんに現場で役立てていける形にしていきます。
まずは「プロセスデザイン」の基本的な考え方、プロセス設計の進め方について、アップしました。今後、プロジェクトマネジメント、ファンクショナルアプローチなどについても、どんどん充実していきますので、ぜひ読んでいただければ思います。