カリスマ飲食チェーンオーナーが教えてくれた、商売のたった一つのコツ
プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。
高校生のころでした。ある会社の社長と知り合いになりました。飲食チェーンのオーナーでした。大学を卒業して東京に出てくるまで、なにかと可愛がってもらいまいした。もう十五年以上前のことです。今でもその社長に教えてもらったことは、よく覚えています。
きょうは、社長に教えてもらったことから、一つ紹介します。
■ 商売で大切なたった一つのこと
その社長は、一人で屋台を引くところから始めて、二十年ほどで関西では誰が聞いても知っている飲食チェーンを築きあげた人だった。私が大学に入って間もないぐらいのときだった。社長が急に私に問いかけた。
「芝本くん、商売でいちばん大切なことは何かわかるか?」
そのころの私は、商売のことなんて全く考えたこともなかった。「わかりません」と答えると、社長はこう言った。
「芝本くん、それは『見える』ってことだよ。
武道でもボクシングでもそうだろ。相手の動きが見える、読めることが大事だ。
商売もそれと同じなんだよ。
ここに店を出したら、どんなお客がくるのか、家族連れなのか、一人なのか。
何時にくるのか、どんなメニューを頼むのか。
最低どれぐらいの売り上げが上がるのかが、ぜんぶ『見える』こと。
これが大事なんだ。
大学に行ったも、こんなこと教えてくれない。
時間とカネのムダだ。ウチにこい。ぜんぶ教えてやる」
その社長は、新しく店を出すときは徹底的に調査させた。アルバイトを雇って、候補地の近くにある店をすべて調査する。どんなお客がくるのか。どんな構成なのか。家族連れなのか、一人なのか。何を頼むのか。徹底的に調べるのだ。調べて「見えない」と判断したら決して出店しなかった。だから、出す店、出す店、すべてが当たっていた。
■ 見えればコントロールできる
この「見える」ということの大切さを教えてもらったことは、私の仕事の仕方に大きく影響した。「見える」ことが大切なのは飲食店に限らない。すべての仕事において、「見える」ということは基本なのだ。
なぜなら、見えることで始めてコントロールすることができるからだ。
プロジェクトマネジメントでいえば、燃やすプロジェクトマネジャーは、プロジェクトが見えていない。袋の中に手を突っ込んで仕事をしているようなものだ。プロジェクトの構造が見えない。だから対応が場当たり的になる。
見えていないから、本人も、プロジェクトメンバーも、毎日を不安の中で過ごすことになる。人は見えないものに怖れを感じるからだ。
一方で、プロジェクトの構造が見えているプロジェクトマネジャーは、ストレスが少ない。プロジェクトをシステムとしてとらえて、プロセスの連鎖が見えている。何が、どこに、どのように作用するのか。それが「見える」のだ。
プロセスを設計することも、プロジェクトマネジメントも、いかにプロジェクトを『見える化』するかという方法論だ。
企業を経営する人間、プロジェクトを運営する者の、もっとも大切な仕事は、マネジメントの対象を『見える』状態に保つことだ。
『見える』から、コントロールできる。
それがマネジメントの出発点なのだ。
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