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プロセス改善に必ず失敗する方法

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こんにちは。
プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。

「なぜ、プロセス改善がうまくいかないのか?」という質問をよくいただきます。
答えは一つではありません。しかし、これをやれば必ず失敗すると言えることはあります。

■ 必ず失敗するアプローチ

プロセス改善の失敗は、さまざまな原因が絡み合って、障害をつくっています。うまくいかない原因を探るのは、カンタンではありません。どーんと大きく現象がパッケージとしてあるものを、一つひとつ分解して、要素間のつながりや、依存関係を明らかにしていかなくてはなりません。

しかし、その前に、そもそものアプローチが間違っていれば、いくら原因がわかったとしても、うまくいかないのは目に見えています。そのアプローチの間違いの最たるものが「お仕着せのプロセスをあてがう」という間違いです。

■ プロセスベースアプローチの問題点

従来のプロセス改善は、「プロセスベースアプローチ」といい、うまくいっている企業がどのような活動を行っているのかを「モデル化」し、そのモデルと自社のプロセスとのギャップを埋めていくことで、プロセスを改善しようとします。

実際には、組織のビジネス目標や文化、強みや弱みによって、その組織で機能するプロセスは異なります。外部のコンサルタントがやってきて、いくら「こうしなさい、ああしなさい」と言ったとしても、しょせんは外部の人間なので、その組織にふさわしいプロセスをつくることはできません。逆にその組織の強みを損なってしまうことになりかねないのです。

さらに、市場の変化によって「モデル」そのものの有効性も揺らいでいます。経営者側から見ても、QCDは安定するかもしれないけれども、ビジネス目標に沿っていないために、改善の活動を続けるメリットがないのです。

■ お仕着せではなく、ゼロベースデザイン

機能するプロセス、経営目標に沿ったプロセスを確立するためには、プロセスをデザイン(設計)する必要があります。モデルは参考にしても、あくまでもゼロベースでデザインするのです。

そして、デザインするのはコンサルタントでも、改善担当部門でもなく、現場でそのプロセスを実行する人たちです。マーケティング、営業、販促、開発、サポートなど、あらゆる部署、あらゆる立場の人間が知恵を出し合い、いっしょにデザインする場をつくることです。

タスクフォースを結成し、短期集中、たとえば10日間かけて、自分たちのためのプロセスを作ります。コンサルタントや改善担当部門は、そのファシリテーションをします。けっして答えを与える役割ではありません。

そうやって作り上げたプロセスは、お仕着せのプロセスでありません。「自分たちのプロセス」です。自分たちのものであれば、人はみずから動きます。周りに必要性も説明してくれるようになります。

■ 変化を受け入れるプロセスデザイン

自分たちでプロセスをデザインすることで、その後の継続的改善も可能になります。ビジネス環境や経営目標が変化すれば、それにあわせて自分たちが成果をだせるプロセスをリデザインしつづけることができます。

変化を積極的に取り入れ、つねに最適化するためにも、お仕着せのプロセスをつくるのではなく、プロセスをデザインすることが、いま求められています。



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