第四回 ケンブリッジが目指す姿~社員を迷わせない環境を~
第四回 規模が大きくなっても、「社員を迷わせない組織」を維持する
これまで3回にわたって、ケンブリッジが目指す姿を書いてきました。
第一回では、タスクではなく変革を担い、先生型ではなく顧客と一緒につくり、自社の売上よりも顧客の成功を優先する「アンチコンサル」のスタイルについて。
第二回では、AI時代に「変革共創型」がコンサルティングの主戦場になること、その中でも顧客の「変わる力」を引き出す会社を目指すことについて。
第三回では、その目標を実現するために、採用を強化し、一定の規模を目指すことについて書きました。
ここまで読むと、こんな疑問を持つ人もいると思います。
会社が大きくなっても、ケンブリッジらしさは維持できるのでしょうか?
もっともな疑問です。
社員が1,000人になれば、今の200人規模の組織と同じではいられません。
互いの顔と名前が分からなくなり、経営からの情報も届きにくくなる。部門の壁が生まれ、ルールや管理も増えるでしょう。
社員の主体性を大切にしてきた会社が、規模の拡大とともに、普通の管理型組織になってしまう。
これは、私たちが最も避けたい未来です。
では、ケンブリッジはどんな組織をつくろうとしているのか。
社員を「束ねる」会社にはしたくない
「個性の強いコンサルタントを、どうやって束ねているのですか?」
そう聞かれることがあります。
でも、僕らは社員を「束ねる」つもりはありません。ましてや「掌握」しようとも思っていません。
社員は、管理の対象ではないからです。
会社のために社員がいるのではなく、社員と顧客のために会社がある。
これが、ケンブリッジの組織づくりの出発点です。
社員が、持っている力を存分に発揮できる。
社員が、生き生きと働ける。
社員が、余計なことに悩まず、顧客の成功に集中できる。
そんな環境をつくりたい。
僕はこれを、「社員を迷わせない環境」と呼んでいます。
「迷わない」とは、指示どおりに動くことではない
「社員を迷わせない」と書くと、細かなルールや指示を用意するように聞こえるかもしれません。
でも、意図はむしろ逆です。
社員が迷うのは、ルールが足りないからとは限りません。
「顧客にとってはこちらが正しい。でも、ケンブリッジの売上は減る。提案してもよいのだろうか」
「経営がなぜこの判断をしたのか分からない。何か別の事情があるのだろうか」
「本当はこの仕事に挑戦したい。でも、自分から言い出してもよいのだろうか」
こうした迷いが積み重なると、社員は自分の判断で動けなくなります。
上司の顔色や社内事情を気にして、失敗しないことを優先するようになります。
それでは、社員の力は発揮されません。顧客にも集中できません。
ケンブリッジの社員は、一人ひとりが高い能力と判断力を持っています。
判断の土台と必要な情報があり、率直に対話できる状態をつくれば、それぞれが自分で考え、動いてくれる。経営が思いつかなかったことも、次々に実現してくれる。
実際に、ケンブリッジはそうやって成長してきました。
社員を迷わせないための5つの要素
社員が迷わず、自分で考えて動ける状態をどうつくるのか。
私たちは、次の5つを大切にしています。
- 考え方のベースを示す
- 情報格差を減らす
- 対話する
- 「やりたい」を後押しする
- 良質な機会を提供する
1.考え方のベースを示す
社員が自分で判断するには、会社が何を大切にしているのかを理解している必要があります。
ケンブリッジには、Right、Open、Respectをはじめとした行動規範や、経営方針書、ガイドラインがあります。
これらは、社員を縛るためのルールではありません。
「ケンブリッジなら、この場面で何を大切にするのか」
「なぜ、この制度や意思決定が存在するのか」
その背景にある考え方を、共通言語として示すものです。
土台となる考え方が共有されていれば、社員は逐一指示を受けなくても、自分で判断できます。
もちろん、絶対に変えてはいけない憲法ではありません。「こちらのほうがよい」という提案があれば、変えていきます。
自由に動いてもらうために、土台だけは共有する。
扇子に例えるなら、根元の要は共通している。しかし、そこから先は大きく広がってよい。
そんなイメージです。
2.情報格差を減らす
考え方を共有しても、判断に必要な情報がなければ、自分で動くことはできません。
経営だけが事情を知り、社員には結論だけを伝える。そんな状態では、「なぜその判断をしたのか」が分からず、不信感が生まれます。
だからケンブリッジでは、可能な限り情報をオープンにしています。
経営会議の内容、財務情報、案件やプロジェクトの状況など、経営だけが情報を抱え込まないようにしています。
全社員がすべての情報を読む必要はありません。
大切なのは、必要だと思ったときにアクセスできることです。
考え方と情報が共有されていれば、社員自身が経営と同じように考え、ときには経営よりも良い答えを出せます。
3.対話する
考え方と情報をオープンにしても、すべてが伝わるわけではありません。
文章だけでは背景が伝わりきらないこともあります。経営が気づいていない不安や不満もあります。
だから、対話が必要です。
経営から社員へ説明するだけではなく、社員から経営へ意見を伝える。社員同士でも、立場を越えて率直に話す。
対話によって社員の疑問が解消されるだけでなく、経営の考え方が変わることもあります。
Openとは、経営の考えを理解してもらうことではありません。
互いの考えを出し合い、必要であれば経営側も変わることです。
会社が大きくなるほど、自然な対話は生まれにくくなります。だからこそ、縦、横、斜めの対話を、意図的につくる必要があります。
4.「やりたい」を後押しする
考え方と情報が共有され、対話が増えると、社員からさまざまな「やりたい」が出てきます。
「新しい方法論をつくりたい」
「この分野の専門性を強化したい」
「こんな研修を始めたい」
「この社会課題に取り組みたい」
こうした内発的な「やりたい」は、組織にとって非常に強いエネルギーです。
ケンブリッジで生まれた方法論や育成の仕組みの多くも、経営の指示ではなく、社員の問題意識から生まれました。
もちろん、すべての提案を実現できるわけではありません。それでも、社員の声を拾い、挑戦を後押しする。
1,000人の「やりたい」が生まれ、互いにつながり、新しいものが次々に生まれる会社にしたいと思っています。
5.良質な機会を提供する
すべての社員が、明確な「やりたい」を持っているわけではありません。
「与えられたプロジェクトで、顧客に最大限貢献したい」
それも、立派な「やりたい」です。
そうしたプロフェッショナリズムを持つ人には、良質な仕事と成長機会を提供したい。
人は、研修だけで育つわけではありません。成長の多くは、実際の仕事を通じて生まれます。
だから、プロジェクトへのアサインも、単に空いている人を当てはめる作業にはしたくありません。
本人の経験、強み、今後のキャリア、プロジェクトとの相性を考え、できる限り良い機会をつくる。
まだ十分に実現できているとは言えませんが、大切にしたい考え方です。
経営の想像を超えて、成長する組織へ
経営陣が考えたことだけを、社員が忠実に実行する。
そんな会社では、経営陣の器が会社の限界になります。
それでは、つまらない。
経営の仕事は、すべての答えを出すことではありません。
社員が迷わず、持っている力を発揮できる環境をつくること。社員の挑戦を支え、ときには経営の想像を軽々と超えてもらうことです。
正直に言えば、今のケンブリッジが、常に理想的な状態を実現できているわけではありません。
情報が十分に伝わらないこともあります。対話が足りないことも、「やりたい」を拾いきれないこともあります。
しかもこれから採用を強化し、規模を拡大しようとしています。組織づくりの難易度は、間違いなく上がります。
それでも、挑戦する価値はあります。
多様な才能を持つ1,000人が、同じ考え方の土台を持ちながら、自分の意志で動く。
互いの強みを持ち寄り、新しい方法論やサービスを生み出す。
顧客にとって正しいことを考え、日本中の変革を前へ進める。
そんな組織が実現できたら、とんでもないことが起こるはずです。
ケンブリッジが目指しているのは、単に規模の大きなコンサルティング会社ではありません。
1,000人の力と意志が、経営の想像を超えて広がっていく組織です。
そんな会社を、一緒につくってみませんか。
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